2006年度作成

事業所名 :

しみず食品株式会社

所在地 :

青森県八戸市

事業内容 :

菓子製造卸及び販売

従業員数 :

72名

うち障害者数:

5名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	5	菓子製造
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 職場配置
4. 知的障害者の職域拡大
5. さいごに

1. 事業所の概要

　創業以来、半世紀にわたる50有余年の歴史を持つ当社は、業務拡大に伴い本社と工場を現住所に移転したことを契機に「モノづくり、創造企業」のキャッチフレーズのもと、従来のノウハウを製造ラインとして完備し、生菓子・焼菓子・洋菓子・他の総合和菓子、洋菓子製造卸、販売業として展開中であり、この製造ライン体制が、障害者の雇用にも結びついている。

2. 障害者雇用の経緯

（1）経緯

　10数年前に八戸市近隣の知的障害者授産施設に勤めている知人から、障害者を雇用している企業の見学に誘われ、同じ業界の菓子製造業をはじめホテル業や洗濯業の雇用状況を見学、障害者の多数雇用の実態や雇用に伴うノウハウ、障害の種類等いろいろなケースの企業があり、当時の先進的事例として大変参考になった。
　その後、同じ知人から障害者雇用をあらためて要請を受け、11年前に知的障害者を1名採用した。
　初めての障害者雇用経験に対して、本人は仕事に一生懸命であり、また社内の年配社員がよく面倒を見たことから、仕事上大きな問題はなかった。
　更に、数年間で数人障害者を雇用した。

（2）採用後の指導・対応

　職場の同僚達とのやりとりにおいて、本人の内向、閉鎖的な意識に対して多少の配慮を必要としたこともあったが、生活支援センターの指導員からの障害者雇用に関する情報を参考にし、従業員への理解や障害者を交えた職場運営等を心がけてきた。
　現在5名の障害者を雇用しているが、大きな問題は特になく推移している。
　地元の高等養護学校からは、職場実習の要請があり、その都度対応しているが、学校の教員が熱心で、自ら障害者雇用の現場体験が必要と感じていたため、単に障害者の体験実習機会のみならず、先般も4名の教員が実習に参加した。
　採用後の作業指導を考える時、その場面ごとの指導ばかりではなく、教員自身の体験を通じて、教員と生徒と職場の三者の意思疎通を図るとも大事なことと理解している。

3. 職場配置

　当社の業務は大別すると製造部門と販売部門があるが、障害者は全て製造部門に配置している。
　製造ラインといっても、製品が多種にわたるため、全員が同じ製造ラインを担当おらず、それぞれの製品に合わせ、製造ラインの稼働から製品製造、ライン稼働停止までを担当させている。

　また、同様な製品でも材料を変えた製造が必要な場合もあり、そのための一部機械の部品交換のメンテナンスによるライン構成づくりまでをも担当させている。

4. 知的障害者の職域拡大

　単純な商品包装や梱包作業だけでは作業への集中力が低下するであろうことを考え、担当する職務内容の拡大を検討してきた。
　自分が任せられている職場環境をつくることは彼らの就労意欲を高め、また向上心にもつながり、頼られている喜びになっていると考えた。
　業務指導・訓練を根気よく続けることで彼らが戦力になることは可能であり、また戦力化を目指さないと企業として障害者の雇用はできない。
　「障害者もやらせればやる」という言葉は、障害者雇用の経験に裏打ちされた力強さを表している。

5. さいごに

　当社の知的障害者の製造ラインへの配置の取り組みについては、大がかりな改造といった環境づくりではなく、誰もが扱う機械の作業手順を彼らに根気よく指導し、任せられることは任せ、彼らの意欲をかき立て、戦力として活用する。
　そのような考え方が障害者雇用に対して当たり前である、との信念が印象的であった。
　当社からの説明の折々に、さりげなく、人間関係への気遣いやコミュニケーションの大切さといった表現が交えられていたが、人間関係の問題は障害者だからではなく職場には誰にもあること、誰でも良い点を持っているという、当社の受け止め方、前向きな考えがうかがわれる。
　障害者にとっての職域拡大というものは、設備改善によるものばかりではなく、業務適応のための指導に力を注ぐことも大事なポイントであることを再認識させる。
　当社最上階の、明るく眺めの良い、広々とした従業員休憩室のムードに、当社の障害者雇用の前向きな姿勢を感じさせられる。

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