2006年度作成

事業所名 :

北陸ワコール縫製株式会社

所在地 :

福井県坂井市

事業内容 :

高級ランジェリーの製造

従業員数 :

213名

うち障害者数:

6名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	5	プレスカット作業(3)、縫製(2)
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	1	生地揃え
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 取り組みの内容
4. 今後の展望と課題

1. 事業所の概要

（1）設立の経緯

　福井県は繊維関係の織編物の産地として名実共に北陸の中心であるとともに、世界一を誇っていたが、従前北陸で生産された織編物の殆どが、染色加工されたままの二次製品素材で国内外に出荷されていたことから、繊維産業を中心とした二次産業の大きな転機を強いられてきた。
　その折、当社は、この二次製品素材の繊維を使用して消費者に直結する最終製品を作る趣旨の基、染色加工の雄であるセーレン株式会社・総合商社の蝶理株式会社・株式会社ワコール三社の合弁会社として昭和45年9月1日に設立、昭和46年4月1日から高級ランジェリー製品の製造を従業員70名により創業を始めた。
　昭和52年6月には株式譲渡により株式会社ワコールの100%子会社となり、平成16年4月には株式会社幸和を吸収分割し勝山市に勝山工場を開設、さらなる発展を目指している。

　平成11年3月　ISO9001認証取得
　平成17年1月　KES（環境システムマネジメントシステム）
　平成16年　　障害者雇用優良事業所として厚生労働大臣表彰受賞

（2）事業概要

　当社は、株式会社ワコール（本社・京都）から、世界に誇れるワコールブランド高級ランジェリー用の素材を仕入れ、年間110万枚のランジェリー製品の生産を行いワコール流通センターへ出荷している。
　また、平成16年には、新たな事業展開により、海外（ベトナム）縫製製品を年間70万枚受け入れ、それらの検査を行っている。

（3）社是

　わが社は相互信頼を基調とした格調の高い社風を確立し
　一丸となって「世界のワコール」を目指し不断の前進を続けよう

（4）経営の基本方針

　愛される商品を作ります
　時代の要求する新製品を開発します
　大いなる将来を考え正々堂々と営業します
　より良きワコールはより良き社員によって造られます
　失敗を恐れず成功を自惚れません

2. 障害者雇用の経緯

　昭和63年に、社会的責務を果たすという観点から、聴覚障害者1名の採用からスタートした。
　現在、聴覚障害者5名、知的障害者1名の計6名の障害者を雇用しており、聴覚障害者の職種については、縫製2名、裁断3名、知的障害者においては生地揃え作業1名と、彼らが持つ技術が活かせる職務を設定している。
　当初は障害者に対する知識が不十分であったことから、単純作業にもかかわらず、情報に欠落が見られたほか、作業工程の説明では理解したかどうかの確認不足などでトラブルや誤解が続き、正直、今後このまま雇用を継続して行けるかどうか不安感があった。
　その後も障害を理由に区別することなく、適性や能力に応じた職場配置等について、当社に設置した障害者職場定着推進チームで検討しながら雇用を受け入れてきた。
　平成4年、10年、13年、14年に各々1名を雇用したが、本人の努力や彼らを取り巻く雇用推進チームメンバーはもとより、他の従業員のはたらきかけや福井障害者職業センターのジョブコーチ制度におけるきめ細かな支援、また、ハローワークとの連携による職場実習・トライアル雇用の実施など、障害者雇用の拡大を図りながら様々な取り組みを行ってきた結果、現在まで18年間において退職者を1人も出すことなく全員が元気に就労している。

3. 取り組みの内容

　職場環境について、彼らが孤軍奮闘にならないよう、同年代を意識しながら複数の部署に配置し、コミュニケーションを取りやすくお互いがフォローできるようにした。
　その結果、誤解や情報の欠落が減少され、双方がカバーし合うことで、相談が積極的にできるような環境ができあがっている。

　作業内容については、言葉の微妙なニュアンスの伝達や指示を要する部署は避け、指導者が本人の目の前で実際に手本を示し内容が理解できる作業を設定している。
　また、平成11年3月にISO9001を取得し、作業の文書化、標準化が進んだことにより、コミュニケーションが取りやすくなったため、トラブルやミスが減少した。
　安全面については、レース生地の撃抜き作業で使用するプレス機の操作について、両手をスイッチに添えないと作動しないよう位置を変更し改善を図った。

　福利厚生面では、クリスマスパーティーや決起大会のような大きな社内行事や全社員対象の社員教育等には手話通訳者を依頼し、コミュニケーションに十分配慮した会話のある明るい職場作りに取り組んでいる。
　また、職業コンサルタントによる雇用管理に必要な職業生活に関する相談・指導や、障害者職場定着推進チームを設置し、その能力を十分に発揮できるような職場環境作りの活動を行っている。
　社内情報や社外情報は、社内掲示板の活用と回覧物（労使協議会報告・働く広場・グラフ福井・産業情報保健誌等）により現況情報の共有化を図っている。

4. 今後の展望と課題

　安定した障害者雇用を図るためには、企業のトップがその気になっても、現場の理解が得られないと当然うまくいかないため、企業全体が共通の意識を持って取り組むことが重要であることから、障害者職業生活相談員資格認定講習会に一人でも多く受講させることにより、ノーマライゼーションの理念、雇用管理の実務等について学び雇用拡大の理解を深めていく意向である。
　また、障害者に対して、人事担当者だけではなく全社員で共通の意識を持って、仕事の悩み、健康管理や家庭等のコミュニケーション作り等に取り組むことが重要であり今後の課題である。

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