事業所名 :

アピ株式会社

所在地 :

岐阜県岐阜市

事業内容 :

蜂蜜・ローヤルゼリー等蜂産品、健康食品、医薬品の製造販売、養蜂指導と養蜂器具の販売

従業員数 :

470名

うち障害者数:

7名

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	健康食品の抽出・加工
聴覚障害	0
肢体不自由	2	健康食品の加工、事務
内部障害	1	事務
知的障害	3	清掃、蜂の飼育補助、健康食品の加工補助
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 雇用の現状
4. 雇用上の配慮、工夫
5. 今後の方針

事業所外観

1. 事業所の概要

　2007年に創業100年を迎える当社は、近代養蜂発祥の地・岐阜で養蜂業を始め、約10年前には健康食品分野に本格的に参入、自社ブランドの商品を製造販売するのではなく、多くの販売会社の黒子に徹するOEM総合メーカーとしての地位を確立させてきた。
　ここ数年の健康ブームにおいて、当社が創業以来取り扱ってきたハチミツやローヤルゼリー、プロポリスといった蜂産品（健康食品素材）は、現在300種類に及ぶ。
　当社の経営理念の一つに、企業活動を通じて人々の健康に貢献したいという願いを込め「蜜蜂を通じて自然と人間の調和をはかり、豊かな健康生活を創造する」を掲げている。
　事業所は、本社と、東京支店、県内にリサーチセンター、クォリティセンター、5工場、養蜂場を運営している。
　2006年6月現在で、従業員数は約470名、法定雇用の障害者数は9名で、実雇用率は2.05%である。

2. 障害者雇用の経緯

　売上げが5年連続で二桁の伸びをみせ、併せて社員についてもパートを増員してきた当社は、2003年の障害者雇用率0.7%に対して障害者雇用状況報告書が義務づけられることとなり、障害者雇用、雇用率の確保を課題として取り上げることとした。当社の目指す「人々の健康に貢献したい」という願いも、障害者雇用に反映させるべく、「これではいけない」とハローワーク等に相談し、障害者雇用の取り組みを始めた。
　障害者就職説明会に積極的に参加するほか、ハローワークの障害者コーナーにも時折顔を出した。雇用率の確保を目標としたが余剰な人材を採用する余裕はないため、当初は当社に必要な職種について、一般採用の枠で障害者も受け入れることとした結果、1名ではあったがパートとして採用するまでに至った。
　採用した社員は明るく周りのパートとも比較的早く馴染め、長く勤務してもらえると思った矢先に、とあるトラブルから1年経たないうちに退職、加えて従来から勤務していた知的障害のある社員1名も退職することとなり、障害者雇用に取り組んだ1年目は、雇用率0.26%まで落ち込んだ。
　翌年は募集方法を変更し、社内で障害のある人ができそうな職種をいくつか漠然とした形でモデル的に掲げ、興味を持った障害者一人ひとりと相談しながら本人の適職を選定することとした。提示した求人案件が多かったこともあり、合同就職面接会では非常に多くの応募を受け4名の採用を決定した。
　その翌年は3名を採用し、雇用率は目標を上回る2.05%まで達成することができた。

3. 雇用の現状

　障害のある社員7名のうち、2名が正社員、5名がパートとして勤務している。1名の正社員は準社員で採用したが、働き振りを評価し正社員へ登用した。彼らの職務内容や待遇は基本的に他の社員と変わらず、特別扱いはしていない。
　障害の種類と程度も様々で、できることや困難なことも個性であるとの考えから、適材適所を心がけている。採用後しばらくは、本人の了解を取り複数の職場をローテーションで経験してもらい、本人に最も適した職場を決定することもある。障害のある社員も周りの社員も無理をせず働ける職場に配属することが、事業所と障害者が共存できる理想的な形と考えている。
　彼らを配属する具体的な職場は、事務系では工場事務、総務部。現場作業系では健康食品の加工、充填、包装工程。その他、清掃作業に従事する社員もいる。
　従来雇用しても定着せずにすぐに辞めていった社員もいたが、障害者雇用に本格的に取り組みはじめてから4年を経て、それぞれの職場が彼らに対して無理のない対応方法を体得してきたこともあり、現在は各職場で意欲的に仕事に取り組む姿が見受けられる。

ミツバチの飼育作業

ハチミツの製造作業

4. 雇用上の配慮、工夫

（1）下肢障害

　比較的新しい工場を除き、大多数の職場はバリアフリー化されていないため、日常生活エリア（食堂や休憩室等）への移動に階段がないことやトイレが使用できるよう配慮するほか、立ちっぱなしの仕事にならないことや、作業場の動線をなるべく短くするといった配慮、工夫をしている。

（2）視覚障害

　片道40分を自転車で通勤する社員について、薄暮れの時間帯以降はほとんど視力が伴わず危険度が高まるため、秋、冬は就業時間を短縮している。

（3）健康管理

　月1～2回程度、定期的に通院している社員が多く、これに伴う欠勤は有給休暇で対応しているが、通院は最優先として配慮している。

5. 今後の方針

　雇用率の向上を目標に、ここ数年障害者雇用に取り組み、目標に到達することはできた。今後はこの水準をキープしていくことを目標に、これまで構築したハローワークや障害者支援機関等との連携をさらに深め、継続的に障害者雇用に取り組む意向である。
　また、2004には岐阜ろう学校の生徒のインターンシップを受け入れた。これまで聴覚障害のある人を雇用した経験がなく、有意義な企業体験にできるか心配しながら受け入れた。雇用には至らなかったが、聴覚障害のある人の採用の可能性を確認することができ、今後も機会があればインターンシップ等受け入れていく意向である。
　また、障害のある社員に対する採用後のアフターケアは個別に折に触れ行っているが、今後はさらに相談窓口のような担当を設けることを検討している。総務部に障害のある人を配属しているが、特性は十分と判断しており、相談窓口の役割を与えていきたいと考えている。