事業所名 :

株式会社ぎゅーとら

所在地 :

三重県伊勢市

事業内容 :

食料品販売（総合食品スーパーマーケット）

従業員数 :

582名

うち障害者数:

9名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	2	プロセスセンター容器洗浄、店舗管理
内部障害	1	チラシ作成
知的障害	6	プロセスセンター容器洗浄、プロセスセンター荷受・荷出
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 取り組みの内容
4. 今後の展望と課題

事業所外観

1. 事業所の概要

　当社は、昭和24年に精肉専門店として設立、昭和59年に株式会社化した。現在の名称は、平成14年からであり、当社の各店舗においてISO9001及び14001を取得するなど、絶えず経営の変革を行い、向上を目指している。
　当社の企業理念として、『「食」を通じて、“美味しさ”“健康”“感動”を発信することにより我社に関わる人々にいつも笑顔のあふれる心豊かな地域社会の発展に貢献』することを掲げ、地域社会への貢献として幼稚園訪問や地域清掃活動、少年野球のスポンサーとなるほか、CS活動の一環として、お客を水族館や牧場、海岸に招待しイベントを開催するなどの取り組みをしている。
　また、職場見学に関する各種団体や養護学校の依頼に対しては、積極的に受け入れている。なお、三重県労働局の見学者からは「障害者の人も働きやすい」という評価を受け、障害者雇用優良企業として県から表彰を受けた。

2. 障害者雇用の経緯と現況

　当社は、従来から数名障害のある従業員を雇用していたが、本格的に取り組んだのは平成12年頃から。障害者雇用の方法を模索していた当社が本格的に取り組むこととなったきっかけは、公共職業安定所主催の障害者就職説明会において、養護学校高等部の先生から要望を受けた職場実習を受け入れたことによる。
　近年は特に知的障害のある人を従業員として雇用する機会が増えた。「仕事の内容と本人の適性が合えば健常者と変わらない仕事ができる」、が当社の障害者雇用に対する基本的な考え方で、彼ら一人ひとりの能力や適性に合った職務をマッチングさせることが、障害者雇用を推進するにあたっての重要ポイントとした。ほぼ固定している配置部署において個々人の特性を考慮し職務を設定している。
　現在、障害のある従業員は、1名が正社員で、8名がパート採用である。
　職務は、販売促進としての広告チラシ作成等で1名、店長（店舗管理等）1名、プロセスセンターにおける洗い場、容器洗浄、荷受配送等に7名配置している。
　給与は全員が最低賃金水準以上を支給、他のパートと比較し遜色はない。なお、年1回4月に昇給がある。

3. 取り組みの内容

（1）職場実習の受け入れ

　養護学校高等部生徒の職場実習を受け入れに際しては、まず先生に職場と業務を見学してもらうことで、作業内容と生徒の能力や適性を考慮した上で作業遂行が可能と判断される生徒の選定を図ることで、生徒は概ね不適応を起こすことなく順調に2週間の実習を終えることができている。
　養護学校以外からの職場実習については、職安や、地域の障害者就業・生活支援センターからの依頼を受け、実際に雇用した人もいる。
　現在、従業員数が充足しているため雇用を前提とした職場実習は受け入れていないが、数年に一度欠員が出た際には、当社への就職とそのための職場実習を希望する人から雇用している。なお、採用を前提としない職場実習の受け入れは可能である。

（2）採用

　採用に際して、本人の作業遂行力や理解力、特に危険に対する判断能力、対人面はもとより、当社への就職意欲を重点的に確認している。
　採用後は職安の職員がフォローアップで訪問する。また、過去には当社のみで対応困難な場合には市役所等とも連携し解決を図ってきた。

（3）勤務条件の設定

　当社の障害者雇用が拡大した背景には、勤務時間において、当社の提示する条件と、障害のある従業員の希望が合致したことが要因としてあげられる。早朝勤務を嫌忌する傾向の人が多い中、彼らは早朝勤務に対する希望を持っていたほか、5時間程度の短時間雇用であっても欠勤することなくまじめに出勤している。短時間労働が向いている、また、通勤時間帯のストレスから開放されるといったことが彼らの勤務意欲に反映している。

（4）プロセスセンターにおける取り組み

1）職務内容
　知的障害のある従業員を配置しているプロセスセンターでは、配送トラックから降ろした台車に積まれている容器（食材や製品を運ぶためのプラスチック製のコンテナ）を洗浄室に運び、洗浄機にかける。空になった台車を一箇所に集め、洗浄した容器を種類ごとに分類・仕分けし、台車に再度積み込む。
　当日の入庫予定のトラック台数を把握し、現時点で何台のトラックが入っており、残りの台数についても把握している従業員や、他の従業員の出勤予定を把握している従業員など、個々人の得意・不得意な内容に合わせた職務を設定している。
　容器の仕分けに従事する従業員は、文字・色・デザイン等でそれぞれ認識しているため、業者の変更により種類の増減はあるが、おおむね正確に遂行できている。
　作業量については、日によって量が異なるため個々人にノルマを設定せず、全員でフォローしあいながら一日の量をこなすようにしている。

容器を仕分ける

洗浄機を使用

2）作業環境
　プロセスセンターにおける作業は、屋外での作業に加え、洗浄機は非常に高温で運転されるため、洗浄室は夏場になると換気をしても間に合わないほど暑くなり、逆に冬は寒い。夏場はクーラーを導入し対応したが効果は見られず、結局ファンを回すことで解決を図り、現在に至っている。このように厳しい作業環境の中、過去に熱中症で倒れた従業員もいたため、体調管理については現場の責任者である配送課長が、随時顔色をチェックし声かけするなど、配慮を徹底している。また問題やトラブルが生じた際は、センター長に相談するほか、障害者就業・生活支援センターに相談し解決を図っている。

3）指導方針
　従業員にはできるだけ継続して勤務してもらいたい思いがあるため、働きやすさについては十分な配慮をしているが、働きやすさ＝優しい職場ではないので、指導すべき事柄は何度も指導し、彼らの理解力に応じ粘り強く指導をしている。

4. 今後の展望と課題

　当社は現在、社員募集は行っていないが、経営の効率化と障害者雇用の拡大を図る上で、短時間労働により必要な時間帯に重点的に人材を採用することも検討している。
　個々の障害のある従業員の適性に応じて職務を振り分け、戦力として評価する姿勢が、彼らの意欲向上や職場における存在意義の確認につながっていることが、雇用の継続につながっている。