2006年度作成

事業所名 :

オムロンパーソネル株式会社

所在地 :

京都府京都市

事業内容 :

人材派遣、エンジニア派遣、人材紹介、生産請負、コンサルティング事業、アウトソーシング事業

従業員数 :

1350名

うち障害者数:

14名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	ホームページ製作
肢体不自由	12	ホームページ製作(4)、マーケティング調査(3)、人材コンサルタント(2)、営業管理(1)、エンジニア派遣(1)、一般事務派遣(1)
内部障害	1	エンジニア派遣
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 取り組みの内容
4. 障害者雇用の効果
5. 障害者による障害者就業支援事業の取り組み

1. 事業所の概要

　当社は、平成4年にオムロン株式会社100%出資の総合人材ビジネス会社として設立。事業所は本社を置く京都のほか、東京、大阪、名古屋等4拠点に設置。平成18年6月1日現在の従業員数は、派遣社員を除き約150名、派遣社員を含むと約1,350名で、うち障害者は14名（重度障害者11名）。
　企業理念は「最もよくひとを幸福にするひとが最もよく幸福になる」。これはオムロン株式会社創業者の立石一真が残した経営訓・人生訓であり、「ひと」を事業基盤とする人材ビジネス会社の当社にとって、サービスの原点といえるものである。また、「ハートフルコミュニケーション」をコンセプトとし、登録スタッフの人、求職希望の人や顧客企業、そして社員同士の心が通うコミュニケーションを重視している。
　近年は、障害のある人のみならず、育児と仕事の両立を目指す女性、中高年齢者の雇用・就職支援も積極的に進めている。

2. 障害者雇用の経緯

　派遣先で働くスタッフの人数が常用雇用者として換算され、雇用率の母数となることから、従業員数1,350名に対する法定雇用率の達成が大きな課題であった。そこで、身体障害者共同作業所「アイ・コラボレーション京都」と連携し、研修を修了した就業意欲の高い障害者の雇用を平成15年から取り組んだ。その後は各種訓練校、作業所の協力も得て、平成15年12月に2名、翌年には3名を雇用、現在では11名が在籍。平成18年6月時点で雇用率2.0％を達成した。今後も、障害者雇用の促進と企業の社会的責任を果たすべく努力を続けていく計画である。

3. 取り組みの内容

（1）障害者の採用と職務内容

1）採用
　採用の際に最も重視しているのは、本人の「働きたい」という意欲。また当社は人材ビジネス業のため、基本として「人と接することが好き」であることをポイントとしている。

2）障害者の職務内容

障害の種類	人数	仕事内容
身体障害（聴覚障害） 身体障害（肢体不自由）	5名	HP（ホームページ）制作 →HPの作成・更新、広告制作など。
身体障害（肢体不自由）	3名	マーケティング調査 →業界情報の収集・分析、広告管理、効果測定、アクセス解析など。
	2名	人材コンサルタント →障害者の就職支援、企業へのコンサルティング。
	1名	営業管理 →各部署の売上の数値管理、数値資料の作成、など。
	1名	エンジニア派遣
	1名	一般事務派遣
身体障害（内部障害）	1名	エンジニア派遣

　HP（ホームページ）制作の5名は、HPの更新、広告制作も行っている。自社HPを内製化したことで、それまで要していた制作費の大幅コストダウンを実現したことに加え、最新情報を即時アップできるようになった。当初は自社HPのみの制作だったが、そのクオリティの高さが認められ、最近では他社のHP制作も行っており、その受注数は年々増加している。
　マーケティング調査の3名は、業界情報などを適時入手、当社のコア事業の戦略・立案を担っている。また、広告管理や効果測定、HPのアクセス解析などの調査を元に、広告の打ち出し方やHPの制作に関する提案も行っている。その的確な分析結果は大いに役立ち、自社HPのアクセス数は前年比120～200%の伸びを記録。当社の認知度アップに一役かっている。
　人材コンサルタント2名の業務は、障害者への職業紹介や、登録時のキャリアカウンセリング、企業紹介、マッチング、入社後のフォロー、紹介先の開拓を行う。自身の経験を元にした適切なアドバイスが実を結び、スタートして約5ヶ月で5名の雇用に結びついた。
　営業管理1名は、各部署の数値管理、数値資料の作成などを行っており、今では営業戦略立案の欠かせない戦力となっている。

3）職域開発と組織編成
　障害のある社員が希望する「できること、やってみたいこと」と、当社が「解決したい課題」「拡大していきたい業務」を照らし合わせて職域を開発、組織を編成、拡大してきた。今後もこのスタイルは継続する予定で、一層の職域拡大を図る意向である。

（2）職場環境と労働環境の整備

1）職場環境の整備
　重度の身体障害のある社員にとって働きやすい環境を整えた京田辺オフィスを開設。車いす用のユニットトイレにリフォームするとともに、事務室においては、備品として車いすがスムーズに入る昇降式デスク、1人1台の専用パソコン、パソコン作業を容易にするための専用機器のローラーボールを設置した。また、衣服の着脱や食事の買出しなどのサポートを行うため介護の資格を有する社員1名が常駐している。
　本社でも障害者が働きやすいような備品を用意。ビル管理会社と相談し、ビル入口付近の大幅工事を含め、整備を行った。
　平成18年6月1日現在、当オフィスに勤務する社員は7名、本社勤務は4名である。

2）労働環境、労働意欲への配慮
　1日の勤務時間は6時間～7時間45分。体調管理のため、週1～2回の在宅勤務制度を導入し、在宅時でもメールのやり取りなどによる業務連絡を行っている。少なくとも週1回、部内メンバーが顔をあわせて意見交換ができる日を設定している。
　また、モチベーション向上を狙いとした「目標管理面接」を年2回実施。各自の目標に合わせた研修プログラムや通信教育、外部セミナーの参加も促進している。

4. 障害者雇用の効果

（1）社員への影響

　障害のある社員の働く意欲の高さに、他の従業員からは「働く意義を、改めて感じさせられた」「彼らのがんばる姿に、私も負けていられない！と思った」といった声が上がっている。障害がある人と共に働く環境・状況が普通、といったノーマライゼーションの意識が、全社員の中に自然に育ってきている。

（2）第3回アビリンピック京都大会でメンバーが金賞を受賞

　障害者が「機械CAD」「パソコン操作」「ホームページ作成」などの競技種目でその技能を競う全国障害者技能競技大会、通称「アビリンピック」の第3回京都大会に、HP制作チームのメンバーが出場し、ホームページ作成部門で金賞を受賞した。
　「自分は手が不自由でキーボードを打つのが遅いため、上位入賞は難しいだろうと思いましたが、結果的には金賞を受賞。その結果を聞いた母が泣いて喜んでくれているのを見て、うれしさがこみ上げてきました。これも日ごろの業務やサポートしてくださった皆さんのおかげです」と受賞した社員は話している。

5. 障害者による障害者就業支援事業の取り組み

　これまでに培った技術やノウハウを活かし、「障害者による障害者就業支援事業」を平成18年4月から開始した。求職希望の障害者の方に対し障害者雇用に意欲的な優良求人企業を紹介している。
　登録の際の面談は、障害のある社員が行い就業前の疑問や不安に答える。また、応募書類の書き方や面接の受け方の指導、希望があれば面接に同行、入社後の悩み相談にも応じている。
　一方、障害者の受け入れを希望する企業に対しては、設備・環境整備・教育など、雇用にあたってのインフラ（ハード・ソフト両面）整備のコンサルティングや、採用後に発生した問題や悩みに関する相談を随時受け付けるほか、障害者の雇用の促進等に関する法律等や、各種助成金制度に関する情報を提供している。
　現在、商圏は京都府と滋賀県のみだが、順次、全国に広げていく予定を持っている。
　さらに詳細については、当社HP（http://www.opc-info.com/challenged/）にて紹介している。

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