事業所名 :

株式会社エス・アイ

所在地 :

兵庫県姫路市

事業内容 :

データ入力加工（総務、人事、マーケティング、業務単位のアウトソーシング

従業員数 :

65名

うち障害者数:

8名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	7	データ入力
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	1	事務補助（印刷、書類整理）
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要・障害者雇用の経緯
2. 取り組みの内容
3. 今後の展望

1. 事業所の概要・障害者雇用の経緯

（1）概要

　1991年に設立した当社は、企業のビジネスパートナー、データ管理のアドバイザーとして、個人情報の保護に勤めながらデータエントリー、コンピュータシステムによる計算・作表、各種コンピュータのソフトウェア開発等の業務について、70台の機械を使用し一日2～4万件以上のデータ処理を行っている。
　障害者雇用の理念は、「障害者に雇用の場を設け、障害者を雇用する事で社会に少しでも役立ち地元に密着した会社としたい。」

（2）障害者雇用の経緯

　データ入力業務について求人募集をしたところ応募者が出なかったため、ハローワークに相談したところ、聴覚障害者の雇用について紹介を受け、1名を雇用し、作業遂行に支障が無いか確認したところ、逆に周囲の雑音が気にならず作業がはかどり、健常者以上の仕事量をこなすことができたことから、その後何名かの障害者を雇うこととした。

2. 取り組みの内容

（1）聴覚障害

1）職務（データ入力作業）
　データ入力を主にしたパンチ作業においては、健常者と同様の作業を行う。

データ入力処理

2）プロジェクターを活用した連絡事項の伝達
　朝礼時の内容では聴覚障害のある社員に対して、細かな部分まで伝達事項が届かない事があることに加えて、自由出勤制の勤務形態を取り入れていることに対し、朝礼後に出勤した社員や休んだ社員への確実な伝達事項について検討した結果、朝礼時に作業内容や伝達事項をプロジェクターに投影することにより、その日の作業内容やその他の伝達事項について確実に伝わるようになった。
　また、その内容をプリントアウトし誰でも見られるようにファイルに綴ることで、朝礼に出席しなかった社員に連絡事項等を伝達する事が容易となった。聴覚障害のある社員とのコミュニケーションを図るうえでプロジェクターを有効活用している。

プロジェクターを使用し作業内容を確認

3）社員が手話を習得
　今本社長が当社設立前から手話を習得していたこともあり、社員の数名が手話の講習会に積極的に参加し、独自に手話を覚えた。
　作業中に聴覚障害のある社員に確認する際には手話を活用し、コミュニケーションを取っている。
　また、社員のうち4人が「障害者職業生活相談員」の資格を取得した。

手話により作業内容の確認が確実に行える。

（2）知的障害

1）職務（伝票の仕分け）
　知的障害のある社員Aさんは、最初、姫路市に所在する白浜営業所に配置し、大手スーパーの仕入伝票の仕分けの職務を設定。
　作業にあたって、店舗毎に分けられた伝票を入力する機器と、取引先店毎に分けられた伝票を入力する機器の各々に応じた仕分けがAさんに求められる。また、これら仕分けに対しAさんが共通に行うことは、日付と計上日の確認。店舗毎に入力する機器については4種類の伝票区分により計上日ごとに分けバッチ（入力単位毎の表紙）をつける。

伝票枚数を確認

　毎日殆ど同じような伝票を扱う作業であり、内容が不備の伝票については、最初はその都度Aさんに説明を要したが、量をこなしてからは判断できない内容について自分から聞くようになった。
　取引先毎の伝票は1日8,000～9,000枚、日によっては10,000枚を扱うが、入力機器に1回の作業あたり入力するのが45枚なので、Aさんは先ず、大量の伝票を取引先ごと、日付ごとに分類した後、入力担当者が把握できるよう45枚単位で山折りし、おおよそ500枚前後の束にする。
　枚数を数えることが多少苦手なAさんは、当初は45枚を正確に数えることが難しいことが多かったり、その日の体調によって、体調の良い日はあまり間違いが無いが、体調の悪い日は間違いが目立つほか、周囲の動向が気になり作業が進まない事もあったが、多い日には5,000枚の伝票を数えることができるようになった。

2）職務（印刷、書類仕分け）
　Aさんは現在、本社で主に印刷作業や書類の仕分け作業に従事している。
　印刷作業において、輪転機の使用方法については一度説明すると次からは使用方法を尋ねることなく細かな作業や難しい操作もできるようになった。

輪転機による印刷

　指定の原稿を印刷し、指定の枚数に分け、封筒に入れ宛名シールを貼る一連の作業や裁断機等も上手に使用することができるほか、ハガキの内容に応じた仕分けや収集したアンケート等の整理等をしている。
　事務的業務に知的障害者を配置している企業は、一般的には少ないようであるが、当社では貴重な戦力となっている。

ハガキの個人情報保護シールを剥がす

3. 今後の展望

　事務所を拡張し、障害のある社員がより働きやすい環境を整備するため事務所の拡張について検討する。
　なお、併せて当社内に託児施設や集会所等を設置し、地域住民の人々とコミュニケーションが取れるような事業所を目指したい。