事業所名 :

株式会社シティサービス

所在地 :

奈良県奈良市

事業内容 :

ビルメンテナンス（清掃・設備管理・警備等）

従業員数 :

121名

うち障害者数:

5名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	2	清掃
内部障害	0
知的障害	3	清掃
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 取り組みの内容
4. 取り組みの効果

事業所外観

1. 事業所の概要

　奈良県内の公共施設を中軸に、清掃・設備管理・警備が主要とした建物サービス業（ビルメンテナンス）として事業展開している当社は、設立から30年近くの歴史を持つ。
　企業理念は、「人を大切にする企業でありたい」。企業として、お客様、従業員、株主などのいわゆるステークホルダーと言われる人々を大切にしてこそ企業の存立の価値がある。そして障害者を雇用する場合にあっても、障害のあるなしに拘わらず「人」そのものを大切にしてゆきたい。障害者雇用に対しての基本的な考え方はこの企業理念を反映している。
　仕事の基本を「お客様の満足感と信頼感！」とする当社は、障害者雇用の現場にあっても、常に顧客の満足をいかに高めてゆくかの目線で作業手順と点検箇所のチェックをしている。
　なお、建物サービスの中で中核を占める清掃業務においては、中高年齢者の従業員が多くを占めているが、障害者を含めたチームとして業務を行うにあたって、「事故なく」「怪我なく」「倦まずたゆまず」といった「凡事徹底」を念頭において毎日の作業が繰り返されることとなる。

2. 障害者雇用の経緯と現況

（1）経緯

　以前から社会的弱者といわれる人々の就労に取り組んできた経緯を持つ当社は、約20年前に奈良県心身障害者リハビリテーションセンターの清掃業務の受託したことをきっかけに、障害者雇用の取り組みが始まった。現在に至るまで、契約先の常駐規模・施設の内容等を考慮しつつ、障害者雇用を継続している。

（2）知的障害者の勤務状況

　受託先である、ベッド数が100床を越える奈良県総合リハビリテーションセンターに、知的障害のある勤続7年のYさんと勤続11年のNさんを配置している。
　Yさんは、朝7時半から午後3時半までの勤務であり、前日のゴミや廃棄物の収集から取りかかる。また慎重に取扱う医療廃棄物の分別も作業に含まれている。
　Nさんは、二人一組によるモップがけと掃除機を使っての廊下の掃除から取り組み、続いて各病室や事務室、共用部分の入念な清掃が日課である。病院内では注意・管理が求められる場所であり、基本的に4～5人のチームプレーでの作業とされているため、意思疎通が作業に大きく影響を与える。障害があるという理由で甘えが生じることは、チームの仲間に迷惑をかけることとなり、企業の信用問題にも及ぶが、汗をかき一生懸命に勤めれば評価を受ける。
　Yさん、Nさんとも習熟するスピードは十分とは言えないものの、当初と比べると着実に成長の跡がうかがわれる。

ゴミの収集作業

モップがけ作業

3. 取り組みの内容

（1）プラスを評価し粘り強く取り組む

　不況と競争激化の中で、どの業種であれどの企業であれ、危機に直面している。企業はお客様から貴重なお金を頂いている以上、満足のいくサービスを提供することが使命である。その意味で、障害者を含めた全スタッフ、会社一丸となって仕事に取り組む熱意、決意が問われている。
　障害者雇用は「粘り強く」、この一言につきる。1年かかってもなかなか上達しない、コミュニケーションがうまく取れない、ペースが遅い等、マイナス要因として捉えられることが数多くあるが、「これしかできない」ではなく「これだけできるようになった」と感じる喜びこそ、大きなパワー源となっている。

（2）雇用にあたって求める内容

　当社での雇用の際は、本人並びに保護者に次の3点を訴えている。
　①休まず出勤すること。
　②上司の指示に素直に従うこと。
　③一所懸命働くこと。
　人にはそれぞれ身についたペースや能力差があるので、沢山仕事をするとか、上手にできるとかは問題にしない。各人が努力し、誠意をもって仕事をしているかが大切だと考えている。

（3）作業現場で強調する内容

　これまでの失敗を教訓として現場では次の点を強調している。
　①単純作業を繰り返し行うことが最も大切。
　②スピードは問わない。
　③チーム内では怒るより褒めるようにする。

4. 取り組みの効果

　赤川社長は、障害者雇用の効果として次の2点を述べる。
　「1点目は会社経営のエネルギーを貰っている事。社会的責務・使命とは何かが常に問われ続けている。現実の厳しさに負けない信念と独自性が培われ、常に挑戦をする勇気を貰っている。
　2点目は社員が成長している事。技術力の向上と共に豊かな人間へと成長していく喜びを社員が持てるようになった。「人こそ企業の財産」であるという事を、自信を持って語ってゆきたい。」
　仕事ができるか否かは、できるまで続けるか否かで決まる。だから、意識が変わるまで粘り強く同じ仕事を続けてもらう。障害があっても「自分は変われる」という意識が仕事の継続に反映され、長期的な視点で見ると少しずつの積み重ねが彼らの大きな変化につながる。
　当社が20年以上にわたって障害者雇用を続けている要因と考える。