適材適所の人員配置と管理者のケアにより職場定着を図る
1. 事業所の概要
昭和55年の農林水産省の食肉流通改善特別大作事業の主旨により高度加工施設整備事業として、香川県の助成を受け、組合員が畜産物を高度利用するとともに生産流通加工製造の合理化を図り、組合員の経営安定と食肉製品の安定供給に寄与することを目的とし、中小企業等協同組合として、認可組合員5企業をもって設立し、昭和56年に創業。
食肉製品加工、製造販売を事業内容とし、トンカツ、ポーションカット、ハム、焼豚、ベーコンその他調理食品を主要品目としている。
2. 障害者雇用の経緯
創業以来、「緑の牧場から食卓まで」をキャッチフレーズに、豊かな自然の贈り物である、より良い食材・食品をより安定した価格で広く社会に提供することを念頭に掲げ事業展開してきた当社は、創業当初から障害者雇用に取り組んでいる。
障害者雇用については、地元に根付いた企業として障害の有無を問わず広く雇用の場を提供するという使命からも積極的に進めるべきものととらえている。現在、当社で勤務する障害者一人ひとりが職場の重要な戦力となっており、定着率も高い。
なお、障害者雇用にあたっては、個々人の能力や資質を見極め、適材適所の職場配置のほか、彼らに対するケアも十分に行うことで働きやすい環境を提供している。
3. 取り組みの内容
（1）柔軟な職場配置
採用・配属に当たって、現場を見学してもらい、その上で本人の意思を尊重しつつ、障害特性や程度能力や適性を考慮し配属を決定する。
なお、内部障害のある社員については、体調管理に十分注意し、適宜休息時間を設けるほか、状況に応じ柔軟に配置転換するといった対応を行っている。
また、知的障害のある社員については、過去に数回、発作により突然倒れたことがあったため、万が一、転倒しても危険のない部署に配属した。現在は容器洗浄を担当しているが、危険回避のため洗浄機を導入した。
（2）職務の設定
障害のある社員の従事作業については、細かな手作業による食肉の成型及び袋詰め、その他カツの衣付けや計量、容器の洗浄など、幅広く設定している。なお、ライン作業も設定しており、ラインに沿って整然と各自が担当作業を行っている。次々と流れてくる食肉への対応に、一瞬たりとも気を抜く余裕は無い。また容器の洗浄は洗浄機を導入したとはいえ、大量の洗浄物が毎日出てくる状況である。
（3）管理者によるケア
職業生活相談員の認定講習を受けた総務部長が、彼らの管理や指導を行っているが、職場における円滑な人間関係を保つうえで欠くことのできない存在となっている。
特に知的障害のある社員に対し、当初は養護学校の先生から支援も受けたが、現在はベテラン相談員として、彼らと昼食を一緒にとるなど日常的に接する機会を設け気を配っているほか、日常会話を通じて個人的な悩み事の相談にものっている。時には彼らの代弁者となり職場内でのトラブルを未然に防いでいる。
（4）健康面への配慮
障害のある社員を含め、社員全員に健康診断を受診させ、日頃から体調管理に留意している。また、通院の必要が生じた場合は、業務との兼ね合いも考慮しつつ、原則的に各人に有給休暇を取ってもらい、現場にて柔軟に対応している。
4. 今後の展望
適材適所の人員配置により1人ひとりが戦力として活躍できる場を提供する当社は、体調管理には細心の注意を払っており、周囲の理解も含め無理をせずできる範囲の仕事を着実にこなしてもらう方針が、障害のある社員の継続勤務に反映されている。
採用時に、当社と求職者が双方とも十分納得した上で雇用を決定しているため、就職後のトラブルも皆無に等しい。
採用後も職場の上司などによるケアは手厚く、安心して仕事のできる職場環境づくりに余念がない。やる気があり、仕事に前向きに取り組んでくれる人材であれば必ず適所はあると考え、新規採用にも前向きに検討している。
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