2006年度作成

事業所名 :

医療法人仁泉会朝倉病院

所在地 :

高知県高知市

事業内容 :

医療と介護の長期療養病院

従業員数 :

334名

うち障害者数:

6名

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	雑用補助
聴覚障害	1	調理補助
肢体不自由	3	薬剤師、リハビリ、介護
内部障害	1	介護
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 取り組みの内容
4. 取り組みの効果、今後の展望

1. 事業所の概要

　当院が創立された昭和43年当時は、高齢者医療に対する認識が浅く制度面でも立ち遅れが目立つ中、「高齢者の利用を中心とした病院が果たして上手くやっていけるのか」と周りから心配の声を聞いたが、お年寄りが家族と一緒に暮らすのが普通であった昔と異なり、たとえ家庭を離れても健全で安らかな生活を保障できる老人病院を目指した。
　昭和48年に282床、52年に328床、さらに54年には350床と増床を重ねた。
　また、施設面では、平成2年に認知症専門病棟と県下初の転換型老人保健施設「長命荘」を併設するとともに、平成5年にはリハビリ棟をはじめ全病棟を改装し、「医療、看護、介護、さらに心のリハビリテーション」というあらゆる高齢者問題に対応できる高齢者専門病院として現在に至る。
　当院の理念である、①地域に開かれた病院、②ひとりひとりにやさしい病院、③豊かな高齢社会に貢献する病院、のもと、地域の高齢者福祉・医療と介護に尽くすことを最大のテーマとして業務を展開しており、地域への周知活動として近くの団地の踊りに参加するほか、農協の慰問により踊りを披露してもらったり、保育園の慰問を受けている。

2. 障害者雇用の経緯と現況

（1）経緯

　昭和52年に職員を募集した際応募があった障害者について、面接の結果、人柄が良く職務遂行上も支障なしと判断し採用したことがきっかけである。
　病院ゆえハンディキャップがない職員でなくてはいけないということはない。病院はバリアフリーである必要があり、職員の心にもバリアがあってはいけない。こうした視点で考えると、障害者雇用の面では一見ハードルが高いように見える病院が、実は彼らにとってはとても働きやすい職場ではないかと考えている。

（2）障害者雇用の状況

　職員334名のうち、身体障害のある職員6名を雇用している。現在、障害者雇用率は3.98%で、法定雇用率を超えて障害者雇用に取り組んでいる当院は、障害者雇用調整金の支給を受けている。
　障害部位別では、指のやけどによる上肢機能障害のある1名が薬剤師、指切断のあった1名がリハビリに従事。腎臓機能障害があり2級ヘルパーの資格を持つ1名と体幹機能障害のある1名が介護福祉士として介護業務に従事。
　視覚障害がありマッサージ師の資格を持つ1名は、現在はマッサージのニーズがないため庭の草引き等の環境整備に関する雑用役補助員に従事している。
　聴覚障害のある1名は栄養管理部で調理補助員として勤務している。
　勤務時間は、日勤者は9:00～17:00であり、休憩は昼1時間となっている。所定内労働時間は週38.5時間で、病棟や栄養管理部門において深夜や早朝などの交代勤務がある。
　賃金については、障害の有無にかかわらず一律のシステムで支給している。

3. 取り組みの内容

　障害者雇用に際して特別な取り組みは行っていない。労働条件や設備等は基本的には、障害の有無にかかわりなく一律である。

（1）設備改善

　病院として、施設・設備ともにバリアフリー構造である。
　その他、利用者の人権・尊厳を大切にする視点から、個室化や少人数の病室づくりなど、高齢者に自宅と同じような暮らしを保障する取り組みを行っている。

（2）採用

　現在雇用している障害のある社員は、職員等の紹介による。早急な場合はハローワークを利用するが、概ね職員の紹介により雇用している。

（3）職場配置

　職務については、様々な専門分野で活躍できる機会があるが、反面、患者の些細な変化に気づき、適切に判断する能力が同時に求められる部署や、介護士など体力が必要とされる部署もあるため、本人の個性や障害程度に配慮しながら、適性を見極めた上で配置を決定する。

（4）教育・訓練

　必要な知識を持っている専門職は、配置したセクションごとに上司や先輩が、実際の作業を通じて職務上の教育・訓練（OJT）を行う。
　現在雇用している障害のある社員は勤務年数も長く、コミュニケーションは上手く図られており、苦手な部分や不足している部分を互いにフォローできる体制になっている。

（5）福利厚生・健康管理

　福利厚生については、全職員での忘年会を行うほか、職員の慰安旅行、盆踊り、ボーリング大会などを自由参加で行っている。
　健康管理については、年1回の法定健康診断を実施している。
　なお、腎臓機能障害があり透析が必要な職員の通院においては、事前に報告をしてもらった上で、勤務時間の調整を行う。

4. 取り組みの効果、今後の展望

（1）効果

　障害者雇用の取り組みは職員の教育に大きく役立っている。彼らと共に働くことが普段から利用者に必要な配慮を行う心づくりにつながり、結果として当院全体の医療サービスの向上が図られている。

（2）今後の展望

　国の高齢者福祉施策の主流が在宅へと大きく転換しようとしているが、医療と福祉の正しい結びつきを念頭において取り組めば、病院の果たす役割、その重要性は今後も変わることはない、との認識のもと、今後も地域に開かれた病院として高齢者医療サービスの向上のために尽力し、これまでも職員と共に取り組んできた、能率の良い心のこもった看護や介護を念頭におきながら、日々の業務に取組んでいく意向である。
　現在、利用者に直接携わる部門で勤務する障害のある職員は、大半が薬剤師や介護福祉士、理学療法士、ヘルパー、マッサージ師など何らかの資格を持ち、障害程度も比較的軽い状況であるが、障害のため支援を必要とする人についても、1割でも2割でも社会で自分の能力を活かしたいという気持ちがあれば、専門色の強い医療サービスの分野で職域を広げることは可能と考えている。
　なお、医療サービスを側面で支える厨房部門や管理部門においても、利用者に笑顔で接することで、利用者はもとより、彼らにとっても良い効果が出て、医療サービス全体がステップアップしていけるのではないかと考えている。

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