事業所名 :

協同組合クッキングセンター佐賀

所在地 :

佐賀県佐賀市

事業内容 :

食堂受託業務、幼稚園及び学校給食・治療食・弁当等の製造・販売

従業員数 :

120名

うち障害者数:

9名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	2	製品の適合検査等
内部障害	1	一般事務・経理
知的障害	6	ライン作業、樽洗浄、調合等
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要・障害者雇用の経緯
2. 取り組みの内容
3. 取り組みの効果
4. 今後の課題・展望

1. 事業所の概要・障害者雇用の経緯

（1）概要

　当事業所は、昭和40年に協同組合佐賀給食センターとして創業した後、昭和42年から食堂受託業務、昭和51年に幼稚園給食、昭和53年には学校給食、昭和61年からは治療食業務を開始するなど順次事業を拡充してきた。平成2年に現在の名称に変更、平成12年には新工場を建設し移転、現在に至る。

（2）障害者雇用の経緯

　従業員数120人のうち、障害のある従業員8名、うち重度障害者3名で、雇用率は9.16%。障害者雇用は、昭和45年に、専務理事の家族が養護学校に勤務していた専務理事の家族から身体障害のある卒業生の紹介を受け、雇用したことがきっかけである。その後、公共職業安定所や障害者支援施設、養護学校等から雇用の相談を受け、知的障害者雇用についても取り組んできた。
　なお、雇用の際は、先ず実習で受け入れ、経過が良好であれば職場適応訓練を実施している。
　障害者雇用が進んだ背景には、障害者雇用の社会的要請を積極的に受け入れる当事業所の方針と、事業内容が食器や野菜の洗浄作業、食材の切り込み作業、盛り付け作業など、障害者の能力や障害状況に応じた作業工程を継続的かつ安定的に設けていることが要因と考えている。

食器洗浄

食器の取り込み

野菜洗い

食材の切り込み

食材の盛り付け

2. 取り組みの内容

（1）知的障害に対する取り組み

　雇用を始める際に、養護学校や知的障害者支援施設から単純作業が適している旨の助言を受け、弁当箱等の食器を洗浄機のラインに入れ込む作業、洗浄した食器を取り出し収納箱に詰め込む作業、野菜や魚類等の食材を調理するために切り込みを行う作業、調理された食材を食器に盛り付ける作業などを設定し、各作業工程ごとに他の従業員と協働で従事してもらっている。
　なお、特に知的障害のある従業員の職務上の課題や生活面にわたる対応については、障害者職業生活相談員を3名配置し、細かな対応を図っており、加えて相談員が対応に窮する場合は、養護学校や知的障害者支援施設、佐賀障害者職業センターに相談し、特に職業センターについてはジョブコーチの支援を受けながら取り組んでいる。

（2）身体障害に対する取り組み

　当事業所で勤務する肢体不自由のある従業員においては、比較的障害程度も軽いため、作業工程を配慮すれば作業効率は他の従業員とほとんど変わらず。作業上の課題は特に見られない。
　雇用後に途中で受障した内部障害のある従業員においては、仕事は熟知しているため、管理職として継続雇用している。

（3）生活面での取り組み

　3名の障害者職業生活相談員が、彼らの生活面や様々な相談に対応し、職場内のコミュニケーションづくりも意識的に図っている。仲間同士のトラブルや、自分の話を聞いて欲しい、自分と接して欲しいと訴える従業員もいるが、相談員が複数いることで個別の対応も可能となっている。

3. 取り組みの効果

　知的障害のある従業員においては、担当職員を配置したことにより作業は除々に習熟し、現在では、自分達で仕事の段取りを考え作業ができるよう成長した。また、魚のカッティングに興味を持っていた重度の知的障害のある従業員に対し、継続的に作業指導を行ったところ、今では他の従業員に引けを取らない程に上達し、そのことが自信につながり、盛り付けや洗浄部門といった範囲まで対応できるようになった。
　食品製造であるため、衛生面には特に注意しているが、手洗いの励行や衛生管理等について、決められたことはきちんと守る態度や仕事に対する一生懸命さは、他の従業員の模範になっている。
　特に障害者雇用に力を入れてきたここ1～2年の中で、なかには抵抗感を示す従業員もいたが、グループで仕事を一緒にすることで障害に対する理解を示しており、また、保護者との懇談の場に、他の従業員を意識的に参加させることで障害の理解が進んでいる。

4. 今後の課題・展望

　障害者雇用に際しては、自宅通勤を条件としており、現在、家族の協力もあり特に問題は無いが、将来、保護者の高齢化により生活の場がグループホーム等へ移行することが必要な従業員が生じてくることが予想される。
　また、彼ら自身の加齢対策として、将来保障のため年金・医療保険などの社会保険の加入も課題となっている。
　当事業所の将来構想として、食の生産－製造—販売、と一貫した体制を作りあげることを目標としており、各過程に障害者を積極的に雇用したい意向である。