2006年度作成

事業所名 :

有限会社金丸インテリア工芸

所在地 :

宮崎県東臼杵郡

事業内容 :

商業・文化施設等や一般家庭の什器製作、内装工事、特注家具製造及びレンタルトランクルーム用の木製ドアの製作

従業員数 :

15名

うち障害者数:

3名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	2	木工家具設計・製作
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	1	製作補助及び清掃
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 取り組みの内容
4. 取り組みの効果・今後の展望と提言

1. 事業所の概要

　金丸廣通代表取締役は、昭和48年に創業した家具インテリアを主軸に、学校や病院、老人福祉施設等公共工事の内装工事、特注家具工事、木製建具工事など大手ゼネコンの下請け工事を主な事業の柱として経営を行い、当社は創業33年の経験と実績を持つに至った。しかしながら、下請け工事においては、大企業と中小企業とに工事期間・資金面等諸々について厳然とした狭間があり、それを脱却するためには新たな事業展開を実施していく必要があった。
　2～3年程前から公共建築工事が減少傾向にある中、販路を九州一円に拡大、さらに関東・関西への新規開拓に取り組んだ結果、「プチカラオケ内装セット」や、賃貸オフィスビルの収納スペースとして貸出すレンタルトランクルーム用の木製ドアの製作について、当社製品の直販による量産体制を構築し、売り上げ拡大により経営改善を図っている。

2. 障害者雇用の経緯

　昭和62年にハローワークから障害者雇用について勧奨を受け、聴覚障害のあるKさんの紹介を受けたのが始まりである。Kさんは木工の技術を有しており、バブルの最盛期の中、人手不足も相まって、当初はアルバイトとして採用した。
　商業・文化施設等や一般家庭の什器製作・内装工事、特注家具製造等を手がけている当社において、一つひとつ異なる特注品の説明に苦労するのではと不安があったが、実際Kさんの作業は仕事の飲み込みが早く、精密な木工家具の図面を正確に理解でき、職場で十分実力を発揮することを確認し、採用後直ちに常用雇用とした。
　当初は、特注家具の図面の内容をどのように伝えたらよいか若干不安もあったが、Kさんには筆談で説明し理解することができた。一方、Kさんとのコミュニケーションの効率化を図るため、金丸夫人が手話をマスターした。社長夫人が社長を補佐し、経理を含め労務管理にきめ細かく配慮していることが、当社が堅実で事業運営が円滑に推移し業績も向上している一因でもある。

障害者の勤務状況

障害内容	性別	年齢	障害程度	雇用年月日	職務	通勤方法
聴覚障害	男性	50歳	1級	昭62.12.21	製造部長	乗用車
聴覚障害	男性	49歳	1級	平10.12.1	製造担当	乗用車
知的障害	男性	51歳	重度	平7.7.1	製造担当	社員寮

（1）社内体制

　「障害者でも安心して働ける職場づくり」をモットーとした職場環境の下で、一人ひとりの人格が尊重されながら作業が進められている。代表の姿勢として、障害は「単なるひとつの個性」に過ぎないという受け止め方で、適材適所を見極めながら指導している。

（2）勤務状況

　現在雇用している3人のうち2人が聴覚障害があり、県立延岡ろう学校にて職業教育・訓練を受けているため、重度の障害があっても他の社員と変わらぬ作業遂行ぶりである。
　中でも昭和62年に雇用したKさんは、経験年数と能力を発揮し、曲面が用いられるため高度な技術を要するデパート売場の特殊な接客カウンターや陳列棚の製作を、他の社員と協力しながら立派に仕上げた。このような実積と常に改革の精神を持ち続けるKさんに対して、代表は高く評価し、現場の製造部長としての手腕を期待している。
　また、Kさんを慕って当社への就職を希望する聴覚障害者が後を絶たない状況である。

　知的障害のある社員については10年以上継続雇用しており、持ち場で明るく意欲的に作業に従事している。社員寮に入居し障害者職業生活相談員の支援の下で生活している。

（3）労働条件

①就業時間 8:00～17:00（休憩12:00～13:00）
②休日 週1日（日曜日）・夏期休暇・年末年始
③賃金 最低賃金を基本として設定
④保険 労働保険・社会保険加入
⑤定年 60歳（65歳まで再雇用制度あり）

（4）職場管理

①朝礼会により当日のスケジュールを指示する。
②安全管理を確認し事故防止に努める。

3. 取り組みの内容

（1）職場定着推進チームの設置と指導方法

　平成3年に代表・障害者職業生活相談員・現場指導社員から構成される職場定着推進チームを設置し、障害のある社員の年齢、障害部位、等級はもとより、性格や家族の協力状況、また社員寮の入居者の健康状況等を把握し、職場適応に努めている。
　また、経験に基づき、当社の目的や本人への期待感を意識付けるような指導を行っている。

（2）パトライトの導入

　聴覚障害のある社員の作業を容易にするため、「パトライト」を障害者雇用助成金を利用して導入した。

（3）福利厚生

　職場の人間関係について、聴覚障害のある社員同士だけにならないよう、慰安旅行やボーリング等を企画し、社員間の親睦を深めるよう取り組んでいる。

4. 取り組みの効果・今後の展望と提言

　平成13年度宮崎県知事表彰、平成14年度厚生労働大臣表彰を受賞したほか、宮崎県の地方紙「宮崎日日新聞」にK氏の記事が「カウンターや棚・障害者が製作＝門川・高度な技術を駆使」と掲載された。
　今後、新規事業への取り組みにより事業展開が順調に進行した際には多数の障害者を雇用する意向である。
　また、代表は、県や市町村が発注する公共工事について、障害者を雇用している業者に優先して発注すれば障害者雇用は拡大する余地があると提言する。

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