事業所名

株式会社伊徳

所在地

秋田県大館市

事業内容

総合スーパーマーケット

従業員数

1，533名

うち障害者数

28名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	4	チェッカー、検品、倉庫管理
肢体不自由	5	パンの製造・販売、食品の陳列・補充、駐車場料金係、経理事務
内部障害	5	店長、店長代理、衣料品販売、商品代金の精算、食品調理
知的障害	13	食品の陳列・補充、食品製造、青果部門のパッケージ・値付作業、総菜部門の調理・加工・値付・販売
精神障害	1	食品の陳列・補充

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. ショッピングセンターにおける知的・聴覚障害者雇用の取り組み
4. 精神障害者雇用の取り組み
5. 今後の課題と展望

事業所外観

1. 事業所の概要

　明治33年の創業以来、「お客様にご不自由をかけるな」を社是として営業を続けてきている当社は、「社員一人一人が経営者である」という発想のもとに社員教育に取り組み、「人づくりこそが企業づくりの基本」と考え、常に将来を見通した計画と行動により、県内はもとより県外も含め23店舗を運営している。
　常に地域の役に立ちたいという考えから、社会貢献活動については、災害義援募金活動や県の総合防災訓練の場所として店舗を提供するほか、除雪ボランティア、花壇づくりやクリーンアップ大作戦のボランティア等と幅広い活動を展開している。
　また、エコ商品の拡大やクリーンアップ、生ゴミのコンポスト化、簡易包装の呼びかけといった「もっと地球となかよくしたい～いとくエコキャンペーン」への取り組みが評価され、秋田県「あきたエコ＆リサイクルフェスティバル」において環境大賞を受賞するなど地域の環境保全にも積極的に取り組んでいる。
　総合スーパーマーケットとして食料品、衣料品、日曜家庭用品、インストアベーカリーなど幅広い品揃えと最高の鮮度、品質、サービスで地域生活に欠かせないお店として親しまれている。

2. 障害者雇用の経緯

　以前から障害者雇用に取り組んではきたものの、店舗の増加等によりなかなか障害者の法定雇用率を達成するまでには至らない状況であったが、数年前から社会貢献として地域の障害者をより積極的に雇用する方針のもと、人事部が中心となり各店舗で障害者の雇用を進める取り組みを行ってきた。

　障害者雇用については、ハローワーク等と連携を取りながら障害者の就職面接会に積極的に参加したり、養護学校で行っている職場実習の受け入れを毎年実施するなど、関係機関等への協力は継続して実施しており、そうした取り組みが評価され、平成17年度には9月の障害者雇用支援月間において秋田県障害者雇用促進協会長表彰を受賞した。

　なお、当社が設置する23店舗のうち13店舗にて障害者を雇用しているほか、本社とデリカセンターにおいても各々障害者雇用に取り組んでいる。

3. ショッピングセンターにおける知的・聴覚障害者雇用の取り組み

　最近、障害者雇用の取り組み成果を上げているモデル的店舗である鹿角SC（ショッピングセンター）店は、知的障害のあるAさんと聴覚障害のあるBさんの2名を雇用している。
 

（1）知的障害に対する取り組み

　毎年春と秋の年2回職場実習を受け入れている近隣の知的障害者の養護学校の先生から、職場実習を行ったAさんの雇用について依頼を受け、本部と連絡を取りながら、本人並びに家族と面接を行った上で雇用を決めた。
　実習当時から作業態度が真面目で、性格も素直であり、社員と一緒に昼ご飯を食べるなど社交性のあったAさんの雇用については、ハローワークや障害者職業センターのジョブコーチの支援を受けながら定着を進めていくこととした。
　作業内容については、当初職場実習時に従事した野菜部門のバックでの準備作業を担当させた。野菜の種類も多様であることに加え、全国から取り寄せているキャベツやタマネギ等の産地の県名が漢字表記であるため、「○県のキャベツを持ってくるように」という指示に正確に対応できないことがあった。Aさんの特性を確認したところ、漢字が読めないことを把握し、担当する全ての製品の必要個所にフリガナをふり県名を教えたところ、今では漢字を見ただけで正確に判断できるようになった。また、Aさんが社員の名前がなかなか覚えられないことについても、ネームプレートにフリガナをしたところ徐々に一人一人の名前を覚えてゆき、当初ぎくしゃくしていた関係から、親しみと信頼を得るまでに改善された。
　Aさんの通勤手段はバスであるが、一人での通勤が不安なこともあったので、最初の数日間は母と一緒に通勤することで通勤の方法も覚え、数日間で一人でも不安なく通勤できるようになった。なお、Aさんの勤務時間については、バス時間に合わせた形態にするなどの配慮を行った。
　勤務時間は、当初3カ月くらいまでは4時間勤務に設定し、以後、6時間勤務に移行した。雇用当初からジョブコーチ等の支援を受けたことは、Aさんへの支援だけではなく、職場定着のための改善について助言等を得られ、社員にとって参考になることが多く、大変ありがたく思っている、と店長は話す。
　また、Aさんを雇用した当初、店長が朝礼時に年配の社員に対して「Aさんは皆さんの子供と思って接して下さい」と話したほか、社員に対して逐次声掛けや激励等を行うことの大事さを説いたことも、定着がよりスムーズに進んだ要因である。
 

（2）聴覚障害に対する取り組み

　聴覚障害のあるBさんについては、本部が採用した後に受け入れた。当初は検品検収を任せていたが、パソコンができるため、店内に掲示するチラシ等の作成も担当してもらっている。
　店内の食品陳列や補充を行うこともある。当初、小声では聞き取りにくいことから、お客から、無視されたと捉えられたことがあったが、その都度、どのように対応すれば良いか場面に応じてBさんに説明することで、一つ一つの問題をクリアしていった。今ではお客からもBさんを理解してもらっており、AさんBさんともに店内を忙しく駆け巡り、元気に仕事に打ち込んでいる。
 

青果梱包作業

青果陳列作業

4. 精神障害者雇用の取り組み

　平成16年3月にアルバイト社員として一日2時間勤務で採用した男性のOさん（35歳）については、平成17年6月から常用パートナー社員として一日6時間勤務に移行し、現在に至っている。
　現在は日配及び本の部門に配置しており、特に本の部門においては、発注や返品作業の手続・管理等も十分任せられるまでになり、スペシャリスト的な存在となっている。
　途中で部門長や店長の異動があったり、生活仲間の不幸が重なったことにより、精神的に不安定になり、休業した時期もあったが、店長や部門長、同僚などがアドバイスや協力を行うことにより、以前より明るく会話も多くなったOさんは、現在楽しく、意欲的に仕事に取り組んでいる。

5. 今後の課題と展望

　障害のある従業員が勤務意欲を持ち、やりがいのある職場にできるよう、今後もフォローしていく意向である。