事業所名

企業組合群馬中高年雇用福祉事業団

所在地

群馬県佐波郡玉村町

事業内容

資源リサイクル事業、一般廃棄物の収集運搬業、公園緑化・ビルメンテナンス事業、介護福祉事業、食品リサイクル・堆肥製造事業等

従業員数

76名

うち障害者数

12名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	3	リサイクル資源の分別作業
肢体不自由	3	運転手、清掃、分別作業
内部障害	0
知的障害	6	リサイクル資源の分別作業
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の基本理念と現況
3. 取り組みの内容
4. 今後の課題

事業所外観

1.事業所の概要

　当事業団は、資源リサイクル事業、一般廃棄物の収集運搬業、公園緑化・ビルメンテナンス事業、介護福祉事業、食品リサイクル・堆肥製造事業等多様なサービスを手がけている。
　企業組合という経営形態を執っており、働く一人ひとりが経営者であり労働者という組織形態である。事業運営は、組合員一人ひとりの参加による合議制を原則にしているため、手続きも多くなる。
　主な取引先は、玉村町を中心とした自治体の他、一般企業からの受託業務も増加している。
　ごみの収集については、玉村町から不燃ごみのごみ質調査の依頼を受け、当事業団が「町の回収したごみの8割は資源化できる」と同町に提言するとともに、町内550箇所のごみステーションの不燃ごみ・資源ごみを回収し、分別、再資源化にマンパワーを提供している。

2. 障害者雇用の基本理念と現況

（1）基本理念

　「障害者や高齢者に働く場を提供しよう」というのが、組合設立の原点である。障害者も高齢化していく、そしていずれ親元から自立していくことが求められる。そのような意味で、「特に彼らが自分の居場所を探し得て、毎日出勤する職場があることがきわめて重要」なのだという。
 

（2）障害者雇用の現状

　障害のある従業員（肢体不自由3人、聴覚障害3人、知的障害6人）は、それぞれ障害を抱えながらも自分のペースで仕事をこなしている。吉田英樹代表理事は、「一般の製造業と異なり、当社の仕事はごみの分別作業が中心であり、ものづくりに求められる品質性や生産効率という基準を障害者に押し付けないことが、彼らにとって生き生き働ける理由ではないか。ある意味では、プレッシャーが少ない職場になっているのでは」と話す。
　なお、当事業団は、平成15年に障害者雇用優良事業所として群馬県知事表彰を受け、また、平成18年には障害者雇用優良事業所として厚生労働大臣表彰を受けた。
 

吉田代表理事

3. 取り組みの内容

（1）求人活動

　設立当初は、玉村町の民生委員からの紹介で、障害者雇用が始まったが、最近では近隣の高等養護学校から受け入れている。いずれもハローワークからの紹介を基本にしている。
 

（2）職場環境に関する配慮

　障害のある職員に限らず、一日中の立ち作業を座位で行えるようにするなど、疲労の低減を図っている。
　また、作業ペースに対応できず資源が一箇所に滞留した場合や、危険を感じたとき、自由にラインを止められる仕組みを採り入れているなど、きめ細かな安全対策を講じている。このような取り組みが注目され、職場見学希望者が後を絶たない。
　忘年会や花見会、暑気払い、カラオケなど職場の全員が一緒に食べ飲みしながらコミュニケーションづくりができる機会づくりに積極的に取り組み「働く仲間づくり」をしている。
 

（3）職場配置

　業務災害の未然防止を念頭に、障害のある従業員のみでラインを編成せず、社会経験の豊富な50代、60代の従業員を中心に据え、彼らを配置するライン編成にしている。
　彼らが従事する職務は、聴覚障害3人、知的障害6人、肢体不自由1人が資源リサイクル事業の分別作業で、そのほか運転業務に1人、公園の清掃業務に1人の肢体不自由のある従業員が従事している。
 

（4）教育訓練体制

　基本はOJTである。彼らのペースを見ながら、ラインの中心となる年配の従業員が彼らの手を取って説明するなど、きめ細かな指導をすることが原則である。

リサイクル資源の分別作業

4. 今後の課題

　障害のある従業員の高齢化に伴い、グループホーム設立の必要性が高まっており、取り組みが求められる。
　また、資源リサイクルへの関心の高まりの中で、現在、産業廃棄物中間処理施設の認可を申請しているが、設備等の改善のための資金需要が増している。
　障害者の雇用を目的とした施設だから企業として利益が出なくても仕様がない、ということにはならない。職場の安全と収益性の両面は一般の事業所と同様に求められている。
　ごみの減量と再資源化、そして障害者・高齢者雇用という社会貢献の高い当事業団の動向が注目される。