2006年度作成

事業所名

NTTクラルティ株式会社（日本電信電話株式会社の特例子会社）

所在地

東京都武蔵野市

事業内容

障害者向けWebサイトの運営、紙文書等のPDF化、コールセンタ事業等

従業員数

66名

うち障害者数

56名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	5	Webサイト運営、総務事務、コールセンタオペレータ
聴覚障害	7	Webサイト運営、CAD製図、書類のPDF化
肢体不自由	42	Webサイト運営、CAD製図、書類のPDF化、経理・総務事務、コールセンタオペレータ
内部障害	2	Webサイト運営、コールセンタオペレータ
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用状況
3. 取り組みの内容
4. 課題と今後の取り組み

1. 事業所の概要

（1）沿革

　2004年7月1日　日本電信電話株式会社の子会社として設立
　2005年4月1日　社員25人（うち障害者18人）で事業開始
　2005年6月1日　グループ適用（NTT及びNTTの子会社11社）の特例子会社として認定

（2）目標

1）障害者が“主役”として活躍できる事業所を目指す
　いろいろな障害のある多くの社員が働く事業所であることから、彼らが日常業務のリーダーを務めることはもちろん、経営に参画できる障害者を多く育てていく。

2）自らの力で事業を発展させ、障害者雇用の拡大を図る
　既存事業の拡大や新規分野への挑戦により、多様な業務創出に努め、より多くの障害者が就労できる事業所であり続ける。

3）障害者・高齢者に役立つ仕事をする
　事業を通じ、生活に役立つ情報の提供やユニバーサルデザインの普及貢献などにより、障害者・高齢者のバックアップができるよう努めていく。
 

（3）主な事業

　障害者、高齢者が便利に利用できるWebサイトの運営
　　Webアクセシビリティの診断
　　紙ベースの資料のデジタルデータ化
　　コールセンタ事業
 

2. 障害者雇用状況

当社における組織と人材については、以下のとおり（2006年8月1日現在）。

（1）メディア開発部Webサイト担当

1）構成
　　　課長　　1名（出向者）
　　　課長代理1名（視覚障害）
　　　主査　　2名（聴覚障害）（出向者）
　　　主任　　1名（健常者）
　　　社員　　9名（視覚障害2名）（聴覚障害3名）（四肢障害3名）（内部障害1名）
　2）Webサイト「ゆうゆうゆう」の運営
　　　障害者・高齢者に有用な情報を発信し、ネット上での交流の場となることを目指すWebサイトを運営する。
　　　障害者である社員自らの取材によるインタビュー記事や、イベントレポート、ニュース・トピックスの発信を行っている。

　3）Webアクセシビリティ診断
　　　JIS－X8341－3（誰もが利用しやすいWebとするために定められた規格）などをベースに、視覚障害者が中心となって築いてきた当社の独自規格を織り込んだ手法により企業や官公庁のホームページが障害者・高齢者に利用しやすいものになっているかを診断する。
 

（2）メディア開発部メディア変換担当

　1）構成
　　　課長　　　　（Webチームと兼務）
　　　主査　　1名（出向者）
　　　社員　10名（聴覚障害2名）（四肢障害7名）(出向者＝手話通訳士1名)
　
　2）紙資料のPDF化
　　　倉庫に保存してある重要書類や決裁文書など、必要なときに探し出すのはなかなか大変である。書類をスキャンし、PDF化する際に見出しをつけることにより、Web上での検索と同様の手順で必要な情報がすぐに取り出せる便利なサービスである。全員が未経験の仕事であることから、作業をしながらマニュアルもつくってという、まさに試行錯誤でスタートしたが、今では直接営業活動も行っている。
　　　また、グループ連結の会社からDRA－CADによる建築図面の補正業務も受託している。
 

（3）コールセンタ事業（業務企画部料金センタ）

　2006年8月に東京都足立区と神奈川県横浜市の2箇所でコールセンタのオペレータ業務を受託した。
　NTTの利用料金に関して、電話で問合せがあるお客に応対するオペレータのうち、当社の社員数は次のとおり。

　・綾瀬センタ＜東京都＞　障害者11名（四肢障害10名）（視覚障害1名）
　・中山センタ＜神奈川県＞障害者13名（四肢障害）

　オペレータのうち障害者はまだまだ少なく、この事業での障害者雇用を大幅に拡大していくこととしている。綾瀬・中山の両センタは、平日昼間帯だけの営業なので、障害者であっても安心して働くことができるのが特徴である。
　2台のパソコンで、お客からの問い合わせ内容の確認を行い、電話応対しながら必要事項のメモも取る、という仕事であるとともに、クレーム対応が多く非常に気をつかう仕事であるにもかかわらず、電話応対の声が響きわたる、活気あふれる職場になっている。
 

（4）経営企画部

　総務、人事、経理などの事務をはじめ、経営戦略まで幅広く対応している。
　1）総務サービス
　　　　課長　1名（出向者）
　　　　主査　1名（出向者）
　　　　社員　3名（視覚障害1名）（四肢障害2名）
　2）事業企画
　　　　課長　1名（出向者）
　　　　社員　1名（四肢障害）
 

（5）プロジェクト

　新たな事業への取り組みや膠着化した業務の改善などを目的に、臨機応変なプロジェクトチームでの活動も行っている。
　発起人（発案者）が希望者などを募り立ち上げている。プロジェクトの一例は以下のとおり。
　　・在宅勤務による雇用の実現に向けた「テレワーク検討会」
　　・会社公式ホームページの充実を目的とした「公式サイト運営PT」
　　・新たな事業や業務の創出を目的とした「新規事業PT」
 

3. 取り組みの内容

①重度身体障害者の積極的雇用を推進するため、駐車場の確保をはじめ自動ドアなど建物のバリアフリー化にも配慮をしている。
②パソコンを活用し、視覚障害者と聴覚障害者が一緒に会議に参加し討議できるようにしている。
③お客情報や個人情報を扱うPDF化の作業室は、通信は外部と遮断して作業室内だけのネットワーク構成にするなど、情報保護に万全をつくしている。
④本社は武蔵野市の緑豊かな地域にあるNTTの研究所敷地内にあり、昼食は3カ所の食堂が利用できる。
 

4. 課題と今後の取り組み

（1）安定した受注を目指して

1）Webサイト「ゆうゆうゆう」へのバナー広告
　NTTドコモ、NTT東日本などのグループ会社からの継続的受注のほか、一般市場の障害者・高齢者向け商品の広告受注にも取り組んでいく。

2）Webアクセシビリティ診断
　当面はNTTグループ会社のホームページのアクセシビリティ化を優先的に実施するが、将来的にはアクセシビリティに配慮したWeb製作事業ができるようにしたいと考えている。

3）PDF化
　環境面でもペーパレス化は時代の流れである。現在は、紙の書類などをスキャンしてPDF化しているが、ペーパレス化に寄与できるようなシステム化にも努めていく。
 

（2）グループ連結会社の拡大に向けた障害者の職域開拓・事業規模の拡大

　NTTグループでは、NTT（親会社）、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTデータなどがそれぞれグループを形成し事業を行っている。
現在は、親会社とその傘下の中規模程度のグループ会社11社を連結した特例子会社となっているが、今後はNTT東日本会社などの追加連結も視野に入れた事業運営を行うこととしている。
 

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