2006年度作成

事業所名

日東アリマン株式会社

所在地

新潟県新発田市

事業内容

食料品製造業（レトルト食品、冷凍食品、ビン・缶詰、無菌食品、成型容器食品）

従業員数

400名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	2	食品製造工
肢体不自由	1	食品製造工
内部障害	1	食品製造工
知的障害	3	食品製造工
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の状況
3. 障害者雇用の経緯
4. 取り組みの内容
5. 取り組みの効果と今後の課題

1. 事業所の概要

（1）概要

　レトルト食品や冷凍食品等の製造を事業として、1960年に設立した当社の名称である「アリマン」とは、フランス語で「人を豊かにする栄養」という意味である。この社名のとおり、人と社会が豊かになれる食品を作ることが当社の使命である。製造品目は300アイテム以上と多種多様な製品を製造している。
　また、生産性の向上を図るため、全社員に対して職能向上の訓練を実施している。
 

（2）組織

　組織構成として、本社及び本社工場・無菌工場のほか、同じ新発田市内に第一工場を設けている。
 

（3）経営方針

1）社　是
　「我が社の目指す処は食品産業の分野において広く社会に貢献し永続と繁栄のもとに企業を構成する人々の理想を実現することにある」
2）品質方針（ISO9001）
　安全、安心、おいしさを品質の基本とする。
　①素材の味と品質を大切に顧客満足を追求する
　②積極的に新技術の開発に挑戦し常に品質の向上に努める
　③資源を有効に活用し、環境問題に積極的に取り組む
 

2. 障害者雇用の状況

（1）人数と採用年

　聴覚障害　　2人（重度）　　　　（昭和60年、平成3年採用）
　肢体不自由　1人　　　　　　　　（平成14年採用）
　内部障害者　1人（重度）　　　　（平成9年採用）
　知的障害者　3人（うち重度1人）（平成元年、平成5年、平成11年採用）

　　平成12年度　障害者雇用優良事業所として新潟県知事表彰を受賞
　　平成15年度　障害者雇用優良事業所として厚生労働大臣表彰を受賞
　　（平成17年度に社員の高橋博さんが優秀勤労障害者として厚生労働大臣表彰を受賞）
 

（2）雇用形骸

　正社員2人、準社員1人、協力社員3人、パート1人。
　社会保険は全員加入している。
 

（3）勤務場所

　本社・本社工場5人、第一工場2人
 

（4）労働条件

　勤務時間　　8：00から17：00まで（実働7時間50分）
　　　　　　　（パートは9：00から16：00まで（実働5時間50分））
　休日　　　　日曜日及び当社の指定した日
　賃金　　　　最低賃金適用除外許可申請は行っていない
 

3. 障害者雇用の経緯

　知人や学校の先生から依頼を受けたことがきっかけである。当時の工程としてあった単純作業等に従事させることができると考え、知的障害のある人を雇用したが、本人に対する接し方が全く分からなかったので、本人が卒業した学校の先生に相談していた。先生が定年退職し相談先に窮する時期もあったが、現在は、ハローワークの紹介で障害者職業センターに相談している。
　なかでも、精神的に不安定で治療の必要のあった知的障害のある社員は、10年間雇用したが、器物破損など常に問題を抱えており、最終的に辞めてもらった。できる限りの対応を行ったが非常に残念な結果であり、上司も非常に悩み、障害者雇用が順調に進んでいる職場を見学し、対応方法を聞かせてもらうほか、社外のセミナーに参加し勉強した。
　一方、もう一人の知的障害のあるAさんは重度知的障害者の判定を受けているが、作業を幾度も繰り返し教えるほか、作業変更する際、一度経験した作業内容であっても覚えているか確認するなど、指導者の苦労はあるものの、対人関係は良く比較的順調に雇用継続しており、現在は十分作業を習得し重要な一員となっている。Aさんは作業に慣れても手抜きやごまかしをしないことを評価している。
　二人に代表する対応の中で、障害も一様ではない、一人ひとりに合った対応が必要という結論に達した。

4. 取り組みの内容

（1）職場配置

　本人の特性に合わせて各部署に配置している。最初は試みで配置し、作業状況を通じて習熟度や相性など考慮し配属先を決める。
知的障害のある社員は単純作業のある部署に、内部障害のある社員は品質管理に配置している。彼らにおいては、体力やコミュニケーションなど問題なく、退勤後はノミ(飲み)ュニケーションにも付き合っている。
　聴覚障害のある社員は製造部門に配置し、前処理作業として、搬入されてきた野菜やきのこの原材料を洗浄・選別する作業を任せている。聴覚障害のある社員は2人雇用しているが、障害の程度は、少し聞こえる人、手話や筆談等を必要と異なるほか、作業が変わった場合の取り組みの態度にも個性が見られる。なお、勤務状態が特に優秀な高橋さんは、優秀勤労障害者として厚生労働大臣表彰を受けた。
　肢体不自由の社員は、前処理作業に配置している。他の社員と同様の作業をしているが、無理をしないよう留意している。
 

（2）募集

　養護学校やハローワークからの要請を受けて採用してきている。
 

（3）意欲の喚起

　一つの作業が終わるごとに、「ご苦労さん」と声かけを心がけている。一日の終わりには「元気でね」と声かけし退勤させている。
　ただし、褒めることで素直に喜んで頑張る人が多いが、一方で調子が上がりすぎて対応に困った知的障害のある社員もいるため、人に応じた対応が必要である。
 

（4）現場の班長への指導

　障害のある社員に指導する班長に対して、特に留意していることは無いが、強いて言えば、大声で怒鳴りながら注意しないことや、彼らの表情や行動に気を留めておくよう指導している。
　なお、工場長がこまめに現場の様子を見回り、班長からの相談に対応している。
 

（5）安全・健康管理

　聴覚障害や知的障害への配慮として、安全通路を通るよう徹底している。
　リフト車の走行中は、パトライトを点灯している。
 

　健康管理については、健康診断を年1回実施している。なお、内部障害のある社員は、数年ごとにペースメーカーの取り替えのため入院するが、その際は有給休暇を活用している。
 

（6）福利厚生

　職場の忘年会には全員が参加している。社員旅行は正社員以上が参加している。
 

5. 取り組みの効果と今後の課題

　障害、特に知的障害への対応が全く未経験な状態からスタートし、障害者雇用調整金を受けながら障害者雇用に取り組んできた結果、最近3年間では、定年退職による離職者1人と勤務不良による1人が生じたが、職場定着状況は良好である。
　今後の課題としては、生産性向上のために機械化や多能工化を進めていく中で、障害のある社員が従事していた従来の仕事が減少していく傾向があり、特に知的障害者の職域拡大については懸案事項である。
　また、職場配置については、機械化が進んでいる工場内の危険部署を避け、安全管理を行う必要性があるほか、彼らを指導する職場の班長の負担にも留意する必要がある。
　職場環境に不満が無いかを確認し、人間関係を円滑にできれば、障害の意識は無くなっていく。「特別なことをしなくても、障害者雇用はできる」ことを当社は強調する。

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