事業所名

株式会社阪神ホテルシステムズ「ザ・リッツ・カールトン大阪」

所在地

大阪府大阪市

事業内容

宿泊施設業

従業員数

約560名

うち障害者数

8名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	施設管理部
内部障害	0
知的障害	7	ナプキンの折りたたみ、ナイフ・フォークの拭き取り、厨房における仕込み・洗浄、菓子製造における計量・生地づくり・ピッキング
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の考えと現況
3. 取り組みの内容
4. さいごに

1. 事業所の概要

　当社は、大阪市西梅田のハービスOSAKA内で、ラグジュアリーホテル「ザ・リッツ・カールトン大阪」を経営している。
　当ホテルはザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーにとって初めての日本進出となる記念すべきホテルとしてオープンし、リッツ・カールトンの基本理念でもある「最高のサービス」「最高の料理」「最高の設備」が調和した“もう一つのわが家”として、お客に心からのおもてなしと快適な滞在を提供し、その高品位なサービスは国内外において高い評価を得ている。

2. 障害者雇用の考えと現況

（1）障害者雇用の考え

　当ホテルにおいては、お客へ約束したサービスを提供する上で、紳士・淑女こそが最も大切な資源である。当ホテルの人事哲学は、全従業員に対して敬意と尊厳を持って遇し、常に公平かつ平等であることを基本としている。それは障害の有無だけでなく、学歴、性別、年齢などに関係なく、業務に対する本人の適性をもとに採用、配属を行うことである。
　障害のある人に幅広く雇用の機会を提供することは、紳士・淑女をもてなす立場として、紳士・淑女のモットーを理解する上でも重要なことであり、またチームワークをより育む職場環境を築き上げるための大切な要素であると考える。

（2）知的障害者雇用状況

　現在当ホテルで雇用している知的障害のある従業員の職務は以下のとおり。

3. 取り組みの内容

（1）採用

　ハローワークの紹介を受け、面接及び職場見学を実施するほか、2週間程度の職場実習を通じて採否を判断する。なお採用の際には、本人の意思を最終確認する。なお、知的障害のある従業員においては、職業訓練校を卒業した人が多い。
　当社としては特に実習が重要であると考えている。障害のある人が実習を通して、業務内容や職場の雰囲気といった職場環境を具体的に経験してもらうとともに、現場スタッフにおいても実習生の性格や特性、業務に対する姿勢などを見極める期間として実習をとらえている。また、実習中に直面する課題に対する指導方法などについて、支援者と相談し改善に向けて取り組むことは、今後の就労継続をおこなう上でも大変重要である。

（2）新入社員オリエンテーション

　同期入社の全従業員を対象として、経営理念や従業員としての心得などを共通認識としてもらうことを目的として行っている。数人のグループに分け、ディスカッションという形で自己紹介や当面の自分の目標などを自由に発言し合うことで交流を深める。

（3）勤務状況の把握

　障害のある従業員が、安心して何年も継続して業務に従事できることを実現するための第一歩としては、彼らの勤務状況を正確に把握することが重要である。

1）現場責任者からの報告
　本人の出勤日数や就業時間、特に残業の状況について報告を受け、体力的な疲労の有無を確認する。また、業務の進捗状況や人間関係での問題があった場合などの報告も定期的に受けている。

2）本人との面談
　本人に不都合が生じた場合は、対話により詳細な状況や本人の気持ちを確認し、不安の解消に向けて現場責任者に改善をはたらきかけている。

（4）就労支援機関との連携

　勤務状況を把握し改善を図るなかで、当社の取り組みのみでは彼らの安定した職業生活を図ることが困難な場合が出てくる。そのような場合は、問題解決に向け職業訓練校の支援者と随時情報交換を行っている。
　当社からは本人の勤務状況や現在抱えている問題を提示し、支援者側からは職業訓練校時代に、同様の問題があればその際の対応方法についてアドバイスを聞き、参考にしている。
　また、支援者には定期的に現場を訪問してもらい、現場責任者と直接に本人の状況を確認し合うことにより、職場定着を図るための環境を作っている。
　このように、「当社で全てのことを」と考えるよりは、支援者との連携を構築することが本人が安定した勤務を継続するために大変重要なポイントとなる。

4. さいごに

　宴会調理の業務に励むAさんは、当ホテルに勤務し7年が経過しようとしている。
　人事部や現場の従業員からかけられる言葉が、Aさんにとって業務を行う上での大きな活力になっている。声かけは意識してのものではなく、当社の障害のある従業員に対する取り組みの中で、自然となされている。
　人事部の従業員が常々話す「何でも言ってくださいね」という力強い言葉により、彼らや支援者は常に後押しを受けている。
　以下、Aさんのコメントである。
Q　　：入社して7年が経過しようとしていますが、仕事のほうは順調ですか？
Aさん：「順調と言っていいかわからないけど、自分なりには一生懸命取り組んでいると思います。年々、自分に任せてもらう仕事が増えてきてうれしいです。」
Q　　：今まで何度か仕事の壁にぶつかった時がありますよね。
Aさん：「その時はなかなか自分の思うように、材料が上手に切れなかったりしたけど、まわりの人が何度も何度もやり方を教えてくれて、うれしかったです。」
Q　　：Aさんは「うれしかった」とよく言いますね。今まで他にうれしかったことは？
Aさん：「人間関係で悩んでいた時も、人事の人が気軽に話を聞いてくれたり、現場の人も聞いてくれたりして気持ちが楽になりました。あと、残業の時もまわりの人が『あと少しやから頑張ろな』って言ってくれてうれしかったです。」
Q　　：今後の意気込みを教えてください
Aさん：「もっといろいろな仕事を覚えていって成長したいです。」
 

調理部宴会調理場

材料の計量をおこなうAさん