事業所名

大阪ガスビジネスクリエイト株式会社

所在地

大阪府大阪市

事業内容

人材派遣、アウトソーシング、旅行業、駐車場・土地マネジメント、情報通信、イベント・施設運営の6分野におけるトータルソリューション

従業員数

720名

うち障害者数

13名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	2	オフィスサービス
聴覚障害	1	事務
肢体不自由	4	事務、メールデリバリー
内部障害	2	事務
知的障害	4	オフィスサービス、倉庫管理
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用状況
3. 取り組みの内容
4. 取り組みの内容～職場配置のコーディネート～
5. さいごに

事業所が入居しているビル

1. 事業所の概要

　大阪ガスグループは、従業員の個性と自主性を尊重し、仕事を通じて人間的成長を図ることのできる企業グループを目指している。また、多様な価値観・ライフスタイルに対応できる、従業員の誰もがやりがいの持てる人事制度の整備に努めている。そのような理念の中で、大阪ガスグループは障害のある人の雇用についても積極的に取り組み、就業環境に配慮した働きやすい職場づくりに努めている。
　大阪ガスグループ企業の一社として1977年に設立した当社は、「人材派遣」「アウトソーシング」「トラベルコーディネート」「駐車場・土地マネジメント」「情報通信」「施設の運営・イベント運営」の6分野において、的確な提案と高度な技術・ノウハウを駆使した多彩なサービスを顧客にとどけるトータルソリューション企業である。
　なお、数年間にわたって障害者雇用に取り組んでいる当社は、近年、総従業員数の増加にともない、2005年に2人、2006年に6人を新規に採用した。

2. 障害者雇用状況

　大阪ガスグループは、特例子会社による障害者雇用ではなく、現在ある職場の中に彼らを配属し仕事をしてもらう雇用を進めている。当社では、本社、本社と別棟の人材事業部以外にも、指定管理者制度に基づく公共施設の運営業務も行っており、障害者用トイレや駐車場を完備し、設備的に職場環境が整っている職場もある。
　雇用状況については、事務職においては身体に障害のある従業員が多いが、郵便物を仕分けし各部署に配送するアウトソーシング事業（物流・メールサービス業務）の部門では知的障害のある従業員も業務についている。
 

アウトソーシング事業部門

3. 取り組みの内容

（1）企業実習

　新卒採用者に対して、就業に関する意思確認を行うための企業実習を実施した。企業実習は、職場内の雰囲気や職務内容を具体的に知ってもらうことができ、本人の不安も軽減できるだけでなく、当社においてもミスマッチがないかを確認することができるため、有効な手段である。

（2）通勤練習

　採用前に重要なのが通勤練習である。特に公共交通機関を利用する場合は、通勤ラッシュなどに耐えられる体力があるかどうかを確認した。

（3）勤務時間

　腎臓疾患により透析治療が必要なため勤務時間の配慮が必要な従業員に対しては、シフト勤務制を有効活用することにより、仕事と透析治療との時間のバランスをとることができている。

（4）職務構成

　他職種からの転職などの場合、まず、その人の強みを活かすことができる職務を構成する工夫が必要である。タイピングスピードが速い従業員には、データ入力や資料作成などの職務を集めて任せる工夫をした結果、本人においてはスムーズな業務遂行が図られたと同時に、職場内全体の作業効率も上がる効果が見られた。

（5）メンタル面

　全従業員を対象に、社内でコンプライアンスに関する問題が発生したときには「コンプライアンスデスク」に相談ができるようになっている。加えて、従業員によっては、採用時に担当であった人事担当者に対して、悩みがあると電話で相談をしたり面談を依頼している。
　また、聴覚に障害のある従業員に対しては、大阪ガスグループ内で活動している手話サークルを紹介することで、他部署の従業員と交流するきっかけを提供した。手話サークルは本人にとってメンタル面での安定も得られる場所となっている。

4. 取り組みの内容～職場配置のコーディネート～

　2006年の採用時、アウトソーシング事業に対する複数の応募者の中から、彼らの特性を活かした職場を新規開拓し配置するなど、応募者がやりがいを持つことのできる職場へと配属できるようなコーディネートを人事担当者が行った。
　人事担当者がパソコンスキルを活かせる職場を新規に開拓し、コーディネートをしたAさん（50歳）の仕事は、事務室での電話応対、団体見学の予約受付及び管理、イベントの広報等の業務である。
　入社後、Aさんは、紙で管理していた予約状況をデジタルデータ管理にし、事務室の各従業員が効率よく情報を共有できるような業務の効率化を図る仕組みを作るなどの実績をあげている。

　Aさんのコメント
　「事務職を希望し何社も就職試験を受けて不採用になったときは、もう働くことができないのかと思い落ち込みました。しかし、面接でパソコンスキルを認めてもらうことができ、今は事務職の仕事についています。仕事はやりがいがあります。自分の得意分野を活かすことができ、また、できない作業については配慮をしてもらっています。福利厚生にも満足しているし、後輩らにも勧めて欲しい」
 

Aさんの職場

Aさんの作業風景

　人事担当者のコメント
　「限られた人数の人事担当者が、障害のある従業員のスムーズな受入れを準備するにあたって、初めて会う従業員に対し短時間の面接試験によって職場や業務内容をコーディネートしていくのは不安な部分がある。採用以降のケアを含めて、多くの従業員が利用している大阪市職業リハビリテーションセンターにおいては、必要に応じて対応してもらっており、そのようなサポート体制はありがたい。」

5. さいごに

「後輩らにも勧めて欲しい」というAさんの言葉に、当社に対する信頼感が感じられ、コーディネートが成功した好事例と言える。
　今後もより一層支援機関との関係を深め、さらなる雇用への取り組みが期待される。