ファーストフード店舗における知的障害者雇用の取り組み
~従業員が兼務していた業務を専任業務として設定~
- 事業所名
- 日本マクドナルドFC 有限会社ウノ・コーポレーション
- 所在地
- 鳥取県鳥取市
- 事業内容
- ハンバーガーレストラン
- 従業員数
- 15名
- うち障害者数
- 3名
障害 人数 従事業務 視覚障害 0 聴覚障害 0 肢体不自由 0 内部障害 0 知的障害 3 店舗清掃、資材搬入 精神障害 0 - 目次

1. 事業所の概要・障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
当社は、全国3,800店舗あまりあるハンバーガーチェーン、マクドナルドFCとして、鳥取市内に3店舗、倉吉市内に1店舗を構え経営を行っている。
従業員はアルバイトを中心に、4店舗計150人を雇用しており、従業員の年齢構成は、16歳から64歳までと広範囲である。
(2)障害者雇用の経緯
当社においては、店舗清掃・資材搬入要員が不足していたことから、専任要員として募集したが、採用に至ることはなく、製造・接客スタッフが兼務してきた。
しかし、マクドナルド全社として障害者雇用を積極的に取り組んでいることも背景にあることから、平成16年2月から障害者雇用に取り組むことになった。
障害者雇用に際し、当初は「仕事はできるのか?」という偏見や誤解を抱いていたが、障害者職場体験を実施してみると、障害のない従業員との差は感じられなかった。
2. 取り組みの内容と効果
(1)取り組みの内容
知的障害のある従業員3人に対し、採用前に2週間の地域障害者職業センターの職務試行法及び3ヶ月のジョブコーチ支援を活用したトライアル雇用を経て雇用し、一日約5時間、週20時間程度勤務している。
仕事内容は、店舗清掃と資材搬入を専任作業としている。
採用当初は、彼らが指示内容を忘れることや、コミュニケーションのとり方に苦慮した。またトレーニング期間にも個人差があり、仕事の把握までに少々時間を要した。
そこで、全社的に「従業員同士のコミュニケーションを図ること」を重点事項として掲げ、互いに助け合い、理解し合い、能力を発揮できる職場づくりを目指してきた。
具体的な対応として、コミュニケーションの取り方については、限られた時間の中で、注意のみではなく、毎日の仕事の中でできるだけ良い点を見つけながら褒め、励ますようにしている。
また、知的障害のある従業員にとっては、日々異なる仕事を任せることは厳しい面もあるため、1週間の作業内容を月・金と、火・水・木の2つのブロックに分け、それぞれの作業スケジュール掲示しながら繰り返し説明し、把握してもらうことに努めた結果、1~2ヶ月ほどで作業内容を把握することができるようになった。現在は、作業スケジュールを見なくとも作業をこなしているほか、別の仕事も任せることができるようになるなど、戦力となっている。
なお、彼らに対する指導や援助は店員の自主性に任せ、最終的なフォローは店長が行ってきたが、その結果、今ではチームワークを大切にした風通しのよい何でも話せる職場になっている。
月、金曜日仕事内容
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火、木、土曜日の仕事内容
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作業スケジュール |
(2)効果
1)資材搬入時間の改善
これまでスタッフが兼務で賄ってきた時は、製造兼搬入作業という状態で、また搬入に2時間程度要していた作業であったため従業員の作業負担は大きかったが、現在は資材搬入は障害のある従業員の専任としたため、常時安定したシフトを組み込むことができた。
2)倉庫内の整理整頓の向上
搬入作業を専属にすることで、搬入前後の準備が容易になされたことから、これまで手薄だった整理整頓も十分と行うことができ、安定したレベルが維持されるようになった。
3)店舗内清掃の向上
これまでは、製造スタッフが作業の合間に、汚れを見つけてから清掃する状態であったが、現在は汚れる前に清掃し、いつも片付いた環境が保たれている。
また普段なかなか清掃できない場所でも障害のある従業員が清掃するため、より一層清潔な店舗づくりが保たれるようになった。
食品製造および販売の現場では、常に整理整頓された清潔環境の保持が求められており、これは生産性や売り上げの向上に繋がることから、従業員の4Sの意識がさらに向上するとともに、障害への理解にも結びつけることができた。

4)お客へのサービスの向上
店舗の忙しさに関係なく常に客席清掃が実施でき、また従業員の接客時間が十分確保されたことから、お客へのサービスが向上されることにもつながった。


5)労働意識の芽生え
何といっても従業員の態度が大きく変わったこと、つまり障害のある従業員と行動を共にするという意識がさらに強まったことである。また障害のある従業員も、働いてよかったという意識が芽生えた。
3. 今後の課題
従来作業の合間に行っていた職務について、障害者が対応できる内容を、彼らを雇用し専属で任せることにより、従業員の意識、全体のサービスのレベルアップにつながった。
鈴木丈夫店長は、「障害者といえども仕事はできる。『障害者だから‥できない』という矮小な枠組みから脱却し、障害者雇用にチャレンジしてほしい。まずは『はじめの一歩』を踏み出すことが大切である」、「店舗の規模から、基本的にアルバイトの増員はしない方向にあるが、障害者2名の増員を考えており、今後は接客・製造へのチャレンジも行っていきたい。」と話す。
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