2006年度作成

事業所名

株式会社山陽マルナカ

所在地

岡山県岡山市

事業内容

小売業（スーパーマーケット）

従業員数

2，538名

うち障害者数

44名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	2	生鮮食料品製造販売(1)、一般食料品出庫・管理(1
聴覚障害	1	生鮮食料品製造販売
肢体不自由	13	生鮮食料品製造販売(4)、一般食料品出庫・管理(2)、レジ(3)、事務管理(4)
内部障害	5	生鮮食料品製造販売(1)、一般食料品出庫・管理(2)、事務管理(2)
知的障害	23	生鮮食料品製造販売(15)、一般食料品出庫・管理(8)
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要・障害者雇用の経緯
2. 取り組みの内容
3. 知的障害者雇用の状況
4. さいごに

1. 事業所の概要・障害者雇用の経緯

　岡山県を中心として中国・近畿地域でスーパーマーケット事業を進める当社は、2004年から障害者雇用に本格的に取り組み始めた。「それまでは障害者雇用に対しては無頓着な状態で、店にとってトラブルの原因ともなりうる感もありました。2年前まで当然納付金も多かったです」と管理本部・人事教育部中野敏文主任は話す。
　障害者雇用の担当者となった中野主任は、岡山県雇用開発協会などが開催する各種の研修会などに積極的に参加するとともに、株式会社ユニクロ本社など、障害者雇用の先進的な企業を訪問するなどして、雇用のノウハウを学び、社内の受け入れ体制を推進した。
　また、人事部を中心に、各店の店長や関係者と何度か打合せを行うとともに、会議では不足人員のチェック、障害のある従業員が適応できる職場の開拓と担当の上司やパートナーの選定などについて具体的に検討し、社内の受け入れ体制を整えるとともに、合同面接会やハローワーク等に足を運ぶなど、求人活動も同時に進めた。

2. 取り組みの内容

（1）職場配置

　当社では、雇用の継続を第一に考えており、採用時に本人に業務内容を詳しく説明するとともに、本人の意向も聞きながら障害の程度・部位等を勘案し、適切な部署に配属している。また、知的障害のある従業員には、必要に応じて採用後さまざまな部署で適する仕事を探しながら研修を行い、配属先を決めている。

（2）知的障害に対する取り組み

　知的障害のある従業員に対して店内の全従業員が見守りフォローするとともに、作業内容を変更した場合は、覚えるまで繰り返し指導を行っている。
　また、必要事項を記載したメモを、いつでも本人に見えるよう掲示するほか、本人にもメモ帳を携行し記録させるようにしている。

3. 知的障害者雇用の状況

（1）西村加代さん

1）採用の経緯と勤務内容
　国立吉備高原職業リハビリテーションセンターの職域開発科（事務・販売・物流コース）にて1年間職業訓練を受けた西村さんは、2006年3月修了と同時に当社が雇用し、岡山市内の庭瀬店に配属された。
　最初の2ヶ月間は、店内のさまざまな部署で、適性のある職務を探しながら研修を積み、5月から牛乳・乳製品・チルド飲料・豆腐・コンニャク・納豆など、工場で生産され毎日配送される、比較的賞味期限の短い商品（日配品）の担当を任せられている。


2）一日の作業の流れ
　西村さんは、9時前にマイカーで出勤し、10時の開店準備を始める。自動車運転免許は、職業訓練期間中に通勤に役立つよう指導員の勧めを受け取得に取り組み、合格した。
　制服に着替え、タイムレコーダーで出勤チェックをして担当する日配品が並ぶ陳列棚に向かう。先ずは開店時間までに、前日売れ残った日配品の賞味期限を一つひとつ手早くチェックしていく。廃棄するもの、割引シールを貼って値引きして販売するものに分別、さらに新規に納入された商品を補充し、手際良く商品棚に並べていく。取扱う商品も多い。
 

　陳列棚の準備が終わると、朝礼のアナウンスを聞くためレジ前に集合する。店長や担当者が伝達、指示を行った後、「いらっしゃいませ、ありがとうございます…」と全員で唱和する。
　10時の開店時には、西村さんは「いらっしゃいませ」と客を迎えながら、タイミングを見て倉庫から商品を運び、棚に補充する。一日に何度もこの作業を繰り返す。
 

　また、在庫数を考え担当する各商品をコンピュータで注文する作業も任されている。その他、コンピュータで値引などのポップ作成も行う。
 

3）今後の目標
　西村さんが次に目指す目標は、レジ係として店頭に立つことである。客が少ない時間に、レジ係の忠政陽子リーダーから時々指導を受けている。
　2005年、山口で開催された全国障害者技能競技大会（アビリンピック）では、喫茶部門に岡山県代表として出場し、銅賞を獲得した。次回は金メダルを、と考えている。
 

（2）滝井利恵さん

　採用3年目の滝井さんは、妹尾店の水産部門にて、水産物をトレイに並べ、包装紙、値段を付けて商品棚に並べる一店の作業に取り組んでいる。
　多忙時にはミスが生じやすい作業であるので、一つの作業ごとに指示を受けて行い（「いわしを7匹○○方向に揃える」、「○○トレイに盛り付ける」、「パックし値付けする」など）、終了後、次の別の作業の指示を受けて行っている。
 

（3）川上尚子さん

　採用後1年4ヶ月が経過した川上さんは、倉敷中島店にて、カップ麺や醤油など、日持ちする商品の品出しを担当している。
　一日の作業スケジュールのうち、2～3程度の指示を受け取り組み、それが終わると担当者に報告し、次の指示を受けながら作業を行っている。
 

4. さいごに

　現在、知的障害者を中心に、44人の障害のある従業員を各店舗に配置している。
　「障害者の皆さんは、退職する人がほとんどありません。障害者とちゃんと向き合って、他人に任せずに対応するようしたい。この仕事は、自分も楽しんでやっていきたい」と、中野主任は話す。
 

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