事業所名

株式会社丸本

所在地

徳島県海部郡

事業内容

食品製造販売

従業員数

507名

うち障害者数

18名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	2	畜産、食料品加工製造
肢体不自由	4	畜産、食料品加工製造
内部障害	2	畜産、食料品加工製造
知的障害	10	畜産、食料品加工製造
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 職場復帰の取り組み
4. 取り組みの効果等

事業所外観

第一工場事務所

1. 事業所の概要

　昭和46年に清流「海部川」の流れる豊かな自然に囲まれた海部郡に設立した当社の事業内容は、農事組合法人タメヨシブロイラーによる鶏の飼育と、オンダン農業協同組合による製造・加工された食肉製品の卸売りを中心とした販売部門を担っており、営業所を東京と大阪、直販店を大阪、京都、奈良各地に運営している。
　さらに、平成7年からはペットフード製造を開始、平成8年には従来の工務課を独立させ株式会社マルニカンパニーとして設立し、環境保全や機械のメンテナンスを手がけるなど、順調に売り上げを伸ばしている。
　現在は食肉を中心に事業を展開しているが、将来は地域の農業や漁業も巻き込んだ総合食品メーカーとしてさまざまな食材を使うことによって、さらに『おいしい食品を提供する会社』として新しい途を進んでいく意向を持っている。

2. 障害者雇用の経緯と現況

　障害者雇用については、創立者の、「地域あっての企業である。地域と協調し、広く社会に貢献する」という考えの下、設立当初から身体障害のある社員を雇用し、平成4年には12人（聴覚障害3人、肢体不自由7人、体幹障害2人）の雇用に至っている。
　その後、公共職業安定所からのはたらきかけや養護学校、知的障害児（者）施設からの雇用要請を受け、知的障害者雇用に向けて順次門戸を拡大した。
　平成19年1月現在で、身体障害8人と知的障害10人を雇用、うち5人は重度障害者である。障害者雇用率は4，57％となり、重度障害者多数雇用事業所として評価を受けている。
 

鶏ガラの投入

鶏皮取り

カゴ洗い

3. 職場復帰の取り組み

　知的障害のあるAさん（45歳・女性）は、1年間の職場実習を経て、平成9年に雇用し、鶏肉解体の部署に配属したが、平成13年10月に「急性骨髄性白血病」と診断され入院、療養に入った。
　平成14年6月に、病状が安定してきたAさんから職場復帰の申し出を受けたが、事業所としては体力面と病状面での不安が強く、自信が持てなかったことから、協議の結果、病状が落ち着くまで、Aさんが所属していた社会福祉法人において、通所授産施設での作業を通し、体力、気力両面の充実と強化に努めてもらうことにした。
　平成15年7月、約1年間の訓練の結果、Aさんの体力回復と就労意志の強さを確認した当社は、不安も感じていたため、体力的に負荷の少ない鶏肉加工や梱包等の作業への転属と、短時間勤務から徐々に通常勤務に延長する体制を取り、Aさんの職場復帰の申し出を受け入れた。加えて、障害者職業センターのジョブコーチ支援事業を活用し、ジョブコーチと連携を強化しながら、本人や周囲の社員の不安を軽減しスムーズな復職に取り組んだ。また並行して連絡会議を何度も開催し、サポート体制の確立と社員間における障害理解の気運を更に高める取り組みがなされた。
　また、医師の診断書の内容について、関係者がそれぞれの立場から勤務上の問題点を指摘し、適切な対応がとれるよう連絡し合う体制を確立した。
 

鶏の検品

4. 取り組みの効果等

（1）効果

　Aさんは、並々ならぬ努力と苦労の末、やっと職場に適応でき、戦力となった矢先に発病という事態に陥り、当社としても大変な心痛であった。
　職場復帰後に安定して働き続けるためには、就労面と生活面の安定が大事であり、これらは表裏一体の関係にあることから、本人のプライバシーにまで踏み込んだ支援が必要となった。
　Aさんも一度は復職を諦めかけたこともあったが、当社とその従業員のAさんを大切な一人の従業員として何とかして支えていかなくてはという熱意と、関係機関の支援者の支援、また、本人のどうしても働き続けたい気持ちが一体となり解決することができた。
 

（2）さいごに

　当社が障害者多数雇用事業所として高い評価を受けているのは、諸問題を社内で抱え込まず、必要な時には支援機関を活用する柔軟な姿勢をとっていることや、特に関係機関とのパイプ役には、コーディネートを担う重要な立場に「相談役」と呼ばれる役職員を配置し、障害者が安心して安全に働けるよう、常に積極的に工夫や改善のアドバイスを行っていることが一員である。
　今後も、障害者雇用の必要性や企業の社会的責任が強く叫ばれていくが、これを実践していくために最も大切なことは、何といっても、企業運営のトップマネージメントをする経営者の企業理念の中に「人間愛」が貫かれており、その強い信念が組織内に浸透しうまく機能することである。
　雇用時や職場定着時のみの支援にとどまらず、平素から支援機関との連携を密に取り組む当社は、職場復帰の際の参考となる。