総合リゾート施設におけるランドリー工場の障害者雇用の取り組み
~“おはようございます”“おつかれさまでした”を励行する明るい職場~
- 事業所名
- フェニックスリゾート株式会社
- 所在地
- 宮崎県宮崎市
- 事業内容
- 宿泊施設、ゴルフ場、温泉施設の運営等、17の事業を展開
- 従業員数
- 1,237名
- うち障害者数
- 24名
障害 人数 従事業務 視覚障害 1 ブライダル日程調整事務 聴覚障害 3 バンケットオフィス日程調整(1)、ランドリー(2) 肢体不自由 4 ランドリー(1)、伝票管理(1)、観葉植物管理(1)、オーシャンドーム運営に係る雑務(1) 内部障害 1 事務(1) 知的障害 15 事務(1) 精神障害 0 - 目次

1. 事業所の概要
宮崎県、宮崎市とフェニックス国際観光株式会社、旭洋株式会社など計13の民間企業・団体が出資した第3セクターとして1988年に設立した当社は、総合リゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」の運営を行っている。
当社が展開する事業は、以下のとおり。
①宿泊施設、飲食施設、スポーツ施設、娯楽施設、販売施設及び文化施設の経営
②温泉保養・療養施設の経営
③会議場の経営及び会議に係る企画運営業務
④スポーツ・芸能その他のイベントの企画運営業務
⑤陸・海運業、航空運送業及びその代理業、仲介業
⑥不動産の売買・賃貸業の管理業
⑦各種物品の販売
⑧損害保険代理業、生命保険代理業及び自動車損害賠償補償法に基づく代理業
⑨商品券の販売
⑩建築物その他関連施設の維持管理業務、建築設備等の設計・施工業務
⑪鉱泉権に関する事業
⑫古物売買業
⑬倉庫業
⑭国内及び国際付加価値通信網による情報並びにソフトウエア提供サービス事業
⑮造園工事業
⑯クリーニング業
⑰森林管理業
2. 事業所設立の背景・障害者雇用の経緯
(1)リネン関係の第3セクター方式による重度障害者雇用企業設立の計画と中止
障害者雇用施策については、重度障害者の中でも、障害者を通常の地域社会に統合しようとするいわゆるノーマライゼーションの理念に基づき対策を検討することや、知的障害者については諸問題を解消するための具体的措置を積極的に推進することが打ち出され、その具体的措置として、第3セクター方式による重度障害者雇用企業の促進が全国的に展開された。
宮崎県では、1984年の県議会で知事が国の要請を受けて第3セクター企業設立を約束していたところ、フェニックス国際観光株式会社の佐藤棟良社長が、人事担当部長を通じて当時の宮崎県商工労働部職業安定課長から意向打診を受け、設立を承諾した引き受けの承諾をされた経緯があった。
しかし、一部の県のリネン関係企業における助成金で不正行為が発覚し、全国的に計画は中止され、本県も設置に至ることはできず、重度知的障害者の雇用にも影響は多大なものがあった。
(2)リネン企業の設立
重度の知的障害者に対して、企業が必要とする知識・技能を付与し、雇用の促進を図るためリネン関係の第3セクター企業設立に意欲を燃やしていた佐藤社長は、自らの手でリネン企業であるフェニックスリネンサービス株式会社を設立し、クリーニング業やリネン類のリース業を展開した。
(3)当社の設立とリネン企業の統合
1988年に設立した当社は、フェニックスリネンサービス株式会社をグループ会社の一つとして2001年に合併し、宿泊部ランドリー工場として、現在、知的障害者15人を含む24人の障害者を雇用しており、障害者雇用率は3.3%である。
(4)障害者雇用の経緯
当社に合併する前の、フェニックスリネンサービス株式会社において、1990年5月から、ハローワークをはじめとした養護学校、福祉施設からの紹介や縁故により障害者雇用に取り組み始めた。現在は、宿泊部ランドリー工場として「“おはようございます”“おつかれさまでした”を励行する明るい職場」をモットーに規律正しい雰囲気をかもし出している。
その背景には、戸髙貞雄工場長が、彼ら一人ひとりの個性を把握し、自ら率先して現場で指導しながら従業員と一体となって行動することで、彼ら一人ひとりにスキルアップの跡を感じ取ることができた。


3. 障害者雇用の状況
(1)ランドリー工場
1)洗濯物の仕分け
シーツ・浴衣・タオル・サウナマット・バスローブ等を仕分ける。
従業員17人のうち、13人の障害のある従業員を配置している。
2)洗濯物の投入
大型連続洗濯機に50kgの洗濯物を投入する。洗濯後は指定位置に配分する。
3)プレス
洗濯されたシーツ・ユカタ・タオル等を機械にかけてプレスする。
従業員3人のうち、2人の障害のある従業員を配置している。




(2)他部署
1)オーシャンドーム
上・下肢障害6級のある従業員を総務に配属、従業員の制服分類を任せている。
2)商品開発部
心臓機能障害1級でペースメーカーを装着している従業員を事務系に配置。
3)観葉植物
下肢機能障害3級のある従業員と、重度知的障害のある従業員の2人で、館内外の観葉植物を管理している。本部がサポートしている。
4)ブライダルオフィス
視覚障害5級のある従業員を、日程調整等事務系に配属。
5)資材課
上・下肢機能障害2級の従業員を、購買の伝票管理に配置。
6)バンケットオフィス
聴覚障害6級の従業員を、日程調整等宴会事務に配置。
障害者雇用状況一覧 |
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(3)労働条件等
1)就業時間
9:00~17:00勤務で、休憩時間を45分設定している。
休日については、年間96日設定している。
2)給与・保険等
知的障害のある従業員に対しては月13万円、他の従業員に対しては月13万~26.5万円を支給する。
社会保険・労働保険に加入。
3)教育訓練・能力訓練・職務訓練等
訓練においては、新人訓練及び再訓練を実施。
職場内のコミュニケーションを図るため、朝礼会や職場懇親会を実施。
また、企業内研修の一環として社内報を発行。
4)福利厚生・健康管理
職場の親睦を図るため、忘年会、新年会、花見等を実施している。
定期健診を実施。
5)その他
定年・再雇用制度を設けている。
4. 取り組みの内容
(1)支援体制
障害者職業相談員2人を配置。
職場定着推進チームを、職業生活相談員2人・人事部課長・現場指導員の計4人から構成し設置。
障害のある従業員を配置する部署に専任指導員を配置。
(2)ランドリー工場における指導
特に知的障害者の場合は一定の部署に配置し作業を担当させるのが通常であるが、戸高工場長は、一定期間が経過すると他の部署に配置換えし全工程を経験させる指導を行っている。
彼らの作業に対する緊張感を喚起することになり、進歩につながる効果が見られ、また、支援体制についても工場長と従業員とのコミュニケーションが取れているので、この取り組みは成功している。
障害のある従業員を含め、現場全体に対してきめ細かな現場指導を行っている。なお、11月のダンロップフェニックストーナメント、2月の福岡ソフトバンクホークスの春季キャンプなどに伴うホテルゲストからの短時間での仕上げ要請に対しては、大いに緊張感を持って取り組んでいる。
5. さいごに
当社は、多数障害者雇用による障害者雇用調整金の支給を受けており、ランドリー工場では、17人(うち知的障害者14名)の障害者を雇用し、彼らの能力を如何なく発揮させ地域社会に貢献している。
雇用している障害のある従業員は、労働条件も申し分なく恵まれた環境の中で、それぞれの持ち場で集中して作業に取り組む様子は、上層部の理解と指導の成果が反映されている。
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