事業所名

沖縄ディーエフエス株式会社

所在地

沖縄県那覇市

事業内容

免税品を含む小売業及び通関業

従業員数

390名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	洗車・社内清掃
肢体不自由	1	販売
内部障害	0
知的障害	4	洗車・社内清掃
精神障害	1	洗車・社内清掃

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 取り組みの内容
4. 今後の展望

1. 事業所の概要

　DFSグループは、オークランド、バリ、ケアンズ、ゴールドコースト、グアム、ホンコン（2店舗）、ホノルル、沖縄、サイパン、シンガポール、シドニー、台湾及び韓国に14店舗を有する世界的な企業である。
　2001年5月に設立した当社は、レンタカー部門を担い、DFS内でのレンタカーの出車や返車、配車カウンターでの受付、配車カウンターへの荷物の運搬、レンタカーの駐車整理、洗車、車内清掃等の作業を行っている。
　また、当社の一店舗であるDFSギャラリア・沖縄は、2004年12月にオープンし、世界の一流ブランドを数多く兼ね備えた大型免税店であり、沖縄の新たな観光スポットとして注目されている。その事業内容は幅広く、各種ブティックや施設内レストラン、カスタマーサービス、レンタカー業務等、多岐にわたっている。

2. 障害者雇用の経緯と現況

（1）障害者雇用の経緯

　DFSギャラリア・沖縄を新規出店するに伴い、約千名の社員の雇用を予定していたが、障害者法定雇用率との兼ね合いもあり、障害者雇用の取り組みについては早い段階から検討していた。
　当初は数名雇用したが、障害についての知識不足や、業務内容の分担等の問題から上手く職場定着を図ることができず、雇用継続に結びつかなかった。
　そこで事業所内で検討し、ハローワークの職業相談や、沖縄障害者職業センターにおけるジョブコーチ支援制度を活用することにより障害者雇用に至った。
　また、障害者雇用は積極的に取り組んでおり、グループ本社の上役が当社を訪問する際には障害のある社員の仕事の様子を積極的に見学するなど、企業全体での意識が非常に高い。
 

（2）障害者雇用状況

　障害のある社員の職務は、DFS内でのレンタカーの洗車や車の移動、車内清掃等である。ピーク時には、一日に1，000台もの洗車を行うこともある。
　作業場である屋内駐車場は、夏場は車の熱気で気温が40度近くになるため、職場の各所に扇風機を設置している。また2時間毎に15分程度の休憩時間を設け、休憩室内には塩を常時用意し、こまめに水分と塩分の補給を行ってもらうよう、体調維持に配慮している。
　なお、同時期に採用された障害のある社員は、仲間意識がとても強く、勤務時間外には皆で食事に行くこともある。また、他の社員とも月に一回ほどボーリングに行くなど、良い関係作りができている。
 

窓拭き作業

車内清掃

清掃の指導を行う職業生活相談員

3. 取り組みの内容

（1）雇用支援機関との連携

　障害者雇用に際しては、彼らがどこまでの業務ができるのかを、まず知る必要性を感じていた。そこで、ハローワークでの相談や沖縄障害者職業センターの見学を行いながら、障害についての理解を深めた。
　また、その過程で、沖縄障害者職業センターの職業準備支援事業を利用し、基本的な労働習慣の体得に向けてトレーニングを受けていた人の中から数人を雇用したことに加え、さらにハローワークを通して障害者求人を募り、採用へと結びつけた。採用後もジョブコーチ支援制度を積極的に活用する等、雇用支援機関から専門的な助言を得られる関係を作っている。

（2）職場実習

　障害者雇用の際には、事前に彼らに職場を知ってもらうことも必要と考えた。そこで、採用前に職場見学を実施し、職場環境や業務内容を確認してもらってから面接を行った。
　なお実習にあたっては、分かりやすく見やすい作業マニュアルを準備するほか、最初の3日間は両親も同行してもらう等、様々な工夫を行った。こうした取り組みが、彼らにとっての温かい職場環境を作り、本人や家族の深い安心感につながった。実際の業務についてはジョブコーチ支援を活用することで、上手く職場に適応が図られ定着していった。

（3）サポート体制

　職業生活相談員を2人配置している。1人は人事担当として採用に関する事項等を取り扱い、もう1人はレンタカー業務の主任として、主に作業現場で対応している。必要に応じて家族とも連絡を取り合い、早期に問題解決が図れるよう努めている。
　また、全社的な取り組みとして、障害のある社員を雇用する際には、事前に社内広報にてすべての部署に通達することにより、社員全員が障害に関する認識を持ってもらうようにしている。また社員全員が首に掛けるパスカードにおいては、障害のある社員用に色を変えたものを用いて配慮するようにしている。
　業務では、できるだけ現場の社員がすぐに目の届くような部署に彼らを配置している。レンタカー業務の主任は、「障害者の皆さんは、ついつい頑張り過ぎて休憩を取ることを忘れてしまうということもよくある」と話す。また、周りの社員に対するジョブコーチの助言も、サポート体制の構築に役立っている。

（4）労働条件

　給与面に関しては、特に障害の有無による差異は無く、職務レベルにより昇給し、キャリアアップの可能性もある。彼らは意欲的に業務に取り組み、自主的に免許の取得に取り組む等、意識の向上も見られる。

4. 今後の展望

　今後も良い人材に対して障害者雇用を検討していきたいと考えている。施設を退所した人や養護学校を卒業した人の雇用については、社会経験が乏しい人が多く、社会的なマナーの不足や労働への意欲等の面で難しい部分があるため、沖縄障害者職業センターの職業準備支援事業の利用と、また採用後のジョブコーチによるフォローアップが有効で、安心して雇用を考えることができる。なお、今後、養護学校や施設においては、現場で使用している作業マニュアルを参考にするほか、挨拶や返事等の社会マナーといった就労に結びつくより実践的な指導を望んでいる。
　また、今後より障害の理解を進めていくため、手話の講習や、障害について分かりやすく描かれた漫画を各部署に配るといったことを社内で検討している。このような企業全体で障害理解を深めていく姿勢が、働く障害者にとって暖かい職場作りに繋がり、多くの障害者雇用に結びついている。