事業所名

昭和電工株式会社　小山事業所

所在地

栃木県小山市

事業内容

アルミニウムの板、押出品、加工品及びハードディスク用の基板製造販売

従業員数

1，000名

うち障害者数

16名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	部品受入
聴覚障害	3	出荷、製造、検査
肢体不自由	5	技術職、パソコン入力操作
内部障害	1	技術職
知的障害	2	出荷、製造補助
精神障害	4	出荷、製造補助

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の背景と経緯
3. 取り組みの内容（障害への対応）
4. さいごに

1.事業所の概要

　昭和電工株式会社小山事業所は、地球環境の保全が最重要課題であると認識し、事業所スローガンである「小山発、水と緑と青い空」を基本に、企業活動のあらゆる面で、環境保護・省資源・省エネルギーに努め、地球的視野にたって豊かな未来作りに積極的に取り組んでいる。
当事業所の基本方針としては、アルミニウムの押出材・レーザービームプリンター感光ドラム用のアルミニウム管・自動車用熱交換器・電産機用熱交換器・ハードディスク用の基板の生産をする中で、「レスポンシブル・ケアに関する行動指針」に沿って、関東平野北部の利根川水系、那珂川水系に広がる豊かな自然環境を守り、自然との共存を図るために技術的、経済的に可能な限りの範囲で、目的・目標を設定し、見直しを行い、継続的改善を図っている。
レスポンシブル・ケアとは、化学物質を扱う事業者が、化学物質の開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄に至る全ライフサイクルにわたって「環境・安全・健康」を確保して改善を図っていく自主管理活動である。

2.障害者雇用の背景と経緯

（1）背景

　障害者雇用の取り組みの背景として、社会の持続可能な成長・発展のために、サービスの提供を通じて、社会から評価・信頼される企業であり続けなければならず、「私たちの事業活動は社会へ貢献しているか」という意識を持ち、全員参加で社会貢献企業の実現を目指している。
社会構成員として、CSR（企業の社会的責任）を果たすために、地域をはじめとするすべてのステークホルダー（取引先・顧客等）とのよりよい信頼関係を築くことが一層重要と考えている。昭和電工グループは、社会の持続可能な成長・発展のために、環境・社会・経済の3側面に十分配慮して、公正で誠実な事業活動を行い、社会に貢献する企業を目指している。
なお、昭和電工は以前から障害者雇用について取り組んでいたが、人権意識の高まりから、より一層の取り組みが必要であると考え、経営方針である「社会貢献企業実現」に向けた具体的な方策の第一ステップとして昭和電工全ての事業所において法定雇用率の達成を目標にかかげて取り組みを開始した。
当事業所では、障害者の特性を積極的に勉強し理解を深め、彼らに対する職場の意識を個人レベルで高めて、職場環境の改善を行った。また、他の事業所とも情報交換をし、障害者雇用を拡大していけるように取り組んでいる。

（2）経緯

　当初はどの職場においても障害者雇用に消極的で、人事（雇用推進担当）からさまざまなアプローチをしたが、なかなか受け入れがなされなかった。
しかし、「社会へ貢献できる企業を目指す」ということで始めた障害者雇用に理解を示し、他の職場がやらないならまず自分の職場から取り組みを始めてみようと考える職場と第一歩を踏み出すことができた。
雇用を始めた当初は障害のある従業員にどのように接したらよいか分からず、十分なケアができなかったために、雇用を継続することができないということがあった。この失敗から、「障害者にはどのような特徴があるのだろうか？」「障害のある人とどのように接したらよいのだろうか？」と不安になり、ハローワークや地域障害者職業センター、とちぎ障害者就業・生活支援センターへ支援をお願いしアドバイス等を受けた。
そして、職場に「キーパーソン」として専任従業員を設けることにより、本人が職場に溶け込み、彼らの気持ちや言いたいことを汲み取って従業員に伝える仲立ちができ、障害者合同面接会・ハローワークの紹介により聴覚障害、身体障害、そして悪戦苦闘しながらも精神障害のある人を雇用することができた。
現在では近くの養護学校とも連携を取り、実習の受け入れなどを通して知的障害者の雇用にも力を入れている。また、他の部署に対しても継続して働きかけ障害者雇用の窓口を広げている。

3.取り組みの内容（障害への対応）

　まず、障害者担当の専任従業員を配置し、ジョブコーチと連携して障害者の職場への適応・定着のための支援を行うようにした。
専任従業員による作業理解のための取り組みとしては、知的障害者に対しては、簡単で具体的な表現で説明し、「やってみせる、一緒にやる、一人でやらせる」を反復する形で指導している。また、精神障害者に対しては、細かな作業や素早く動き回る作業については、言葉だけでなく必ずやって見せて理解の確認をしながら習得を図っているため、本人は新しい環境や作業に慣れ、服薬量が減った。
また、本人－職場－家庭の3者で毎日交換している「作業日誌」は、作業面だけでなく一日の振り返りや体調の状況、会話では言いにくい日ごろの出来事や気がかりなことを書いてもらうようにしている。そして、専任従業員から質問への回答やアドバイス等を記入する。翌日には本人又は家族からのコメントをもらうことで、彼らの細かな体調管理等を行い、状況に変化があった場合には早急に対応するようにしている。また、彼らの状況に合わせ励ましの言葉も記入することで、一人ひとりとの信頼関係を築いている。
現在当事業所では、所属長の理解と専任従業員の設置により障害に対する理解も深まり、当初の受け入れへの不安もなくなり、障害者・健常者という壁が取り払うことができた。そして、障害者も同じ従業員として、安心してスムーズに仕事に従事することができている。

ミーティング

カセットの洗浄

材料を機械に投入

製品の運搬

4.さいごに

　企業方針に掲げているように、障害者雇用が社会貢献の一つとして捉え、積極的に取り組んでいる当事業所の、実際の取り組みを見ると、障害者個人の特性や性格を理解・把握した上で、現場の配置を決めている。また、窓口となる専任従業員は適切に対応しており、彼らが現場にスムーズに入って仕事に従事することができている。
また、関係機関との関わりも適度になされているため、本人に対してバランスの良い雇用・支援がされている。
今後については、障害者雇用を受け入れられる職域を増やすこと、さらに行政との連携も深めていきたいとの意向である。障害者にとっての「生きがい・かけがえ」となるような職場として今後の発展が期待される。