事業所名

群馬エレックス

所在地

群馬県渋川市

事業内容

電気部品の組立及び配線加工

従業員数

15名

うち障害者数

11名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	端子打ち
肢体不自由	2	ハンダ付け、通電検査
内部障害	0
知的障害	8	端子打ち、配線加工
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要・障害者雇用の経緯
2. 障害者雇用の状況と取り組み
3. 今後の課題

事業所外観

1.事業所の概要・障害者雇用の経緯

（1）概要

　渋川市から赤城山の西面を少し上った、田と野菜畑、林が広がる長閑な場所に設立している当社は、平成元年に創立し、自動販売機の配線や雛人形などで使うぼんぼりの配線の加工を主たる業務としている。

（2）障害者雇用の経緯

　藤川代表取締役社長が難聴であることに加え、障害のある親や兄弟の世話をしなければならないという背景もあり、独立開業した。当時請け負っていたデジタルはかりの組立作業において、地域障害者職業センターの職業準備訓練における受注作業を提供していた。このことをきっかけに、これまで何百人と受け入れてきた実習生の中から、雇用に結びつくと判断した人を採用してきた。
ただ、自社にとって役立つから採用するという基準ではなく、本人の作業ぶりが「この仕事ができるはずだ」と言わしめ、家族と話し合い、了解のもとに雇用している。
なお、平成15年には、障害者雇用優良事業所として群馬県知事表彰を受賞した。
障害のない従業員の何分の一かの作業効率である従業員については、最低賃金除外申請の認定を受け雇用しているが、本人の作業性が向上すれば賃金を改定する。

2.障害者雇用の状況と取り組み

（1）従事業務、職場配置

　雇用している障害のある従業員11人（聴覚障害1人、肢体不自由2人、知的障害8人）のうち、8人は重度障害があり、知的障害においては、自閉症のある従業員も雇用している。
配置状況は以下のとおり。
聴覚障害　　：　端子打ち作業（勤続5年）
肢体不自由　：　ハンダ付け作業（勤続6年）、通電検査作業（勤続4年）
知的障害　　：　端子打ち作業（勤続3～5年）、配線加工作業（勤続1～8年）

端子打ち

ハンダ付け

通電検査

配線加工

配線加工

（2）職場の雰囲気づくりと指導

　障害のある従業員の作業による製品が出荷できるまでのレベルになるよう、根気よく指導している。具体的には、①作業工程見本を作成し、本人に見本を見せながら作業工程を説明する、②配線図面の一部を取り出し、部分的に配線表を別に作成して、繰り返し説明する、③本人に逆に質問し、本人の理解度を確認する、といった取り組みをしている。
また、不良品を出したり、図面と違う作業に対してやり直しを指示すると、どうしても現場がぎすぎすしてくるが、その対策として、仕事に「遊び」を意識的に入れながら、現場の雰囲気を和らげている。
代表が従業員一人ひとりに「おはよう」と声をかけ、返事が確実に返ってくるよう指導するほか、スキンシップを図り彼らの心に入っていく。表情の乏しい自閉症などの知的障害のある従業員は、笑顔で声掛けに答え、固有の表情が出てくるようになる。ペットを現場に入れているのも和やかな雰囲気作りの一環である。
また、彼らが総じて持っているこだわりを生かした指導が実を結ぶと、製品の品質がかなり高くなり、他の授業員を上回る場合もある。繰り返しの作業には、このこだわりの能力が必要であると考えている。

（3）障害者雇用助成金の活用

　重度障害者介助等助成金と、特定求職者雇用開発助成金（特開金）を主に活用している。
特開金の受給期間である最長1年6ヶ月のうちに仕事を覚えてもらい、安定して勤務してもらうことを願っている。

3.今後の課題

　隣接地に50坪弱の工場を新築する計画がある。現在の工場は、福祉作業場として活用し、新工場でより快適な環境の中での雇用を考えている。また、現場を預かる指導者の指導能力向上が課題となっている。
将来、障害のある人の寝泊りが可能な施設を設置することで、家族の負担を軽減したいと考えている。
広い工場内に、決して立派な機械や設備がある訳ではないが、工場の雰囲気が非常に明るい。障害のある従業員はそれぞれの能力に見合った役割により、互いに助け合いながら喜々として仕事に取り組んでおり、暖かな雰囲気が感じられる職場になっている。
「社会になじめない子供を雇用するのが私の使命、私の楽しみなんです」と藤川代表は話す。彼らが成長していく実感を感じ取りながら継続雇用に取り組んでいる。

藤川代表取締役社長