一人ひとりを的確に理解し、適切にサポート～
1.事業所設立の経緯
当社は、障害者雇用を社会的使命と自覚しその飛躍的拡大を目指すことや、加えて親会社である創価学会の法定雇用率を高めるために、首脳が積極的に検討に取り組む中、新宿ハローワークの指導・援助のもと、障害者多数雇用事業所の設立を決定した。
このように、当社は、以下の理念のもと、創価学会55％、株式会社日栄45％の出資により、2004年11月に設立、2005年2月に、障害者多数雇用事業所特例子会社の認定を受けた。
設立理念
「障害者を持つ人も、そうでない人も、人間として人間らしく開花し、人間として使命をまっとうしていく権利が、自分にもあるし、人にもあるという信念のもとに、社員1人ひとりが自分の持てる特性と能力を最大限に発揮していけるように、明るく、やりがいのある職場環境を整備し、さらに、仕事を通じて働く喜びや生きる尊さを学びながら、社会的自立を図っていけるよう全力を挙げて取り組みをする」
当社は、知的障害者を多数雇用しているが、親会社からの出向社員で構成されている幹部職員については、過去知的障害者と接する機会が少なかったことにより、事業運営に加え、従業員の日常生活にも苦慮してきた。
現在まで、障害者雇用においてはハローワークを中心とした関係機関とのきめ細かな連携、事業運営においては親会社との綿密な連携により、従業員は創業時の12人から、17人に大きく拡大した。
2.取り組みの内容
（1）親会社の援助体制
当社設立の理念に基づき、首脳部から担当部・課・係員まで浸透している。このような状況を反映し、親会社と合同の業務推進会議は臨機応変に開催し、注文・受注を確保している。
（2）募集・採用
ハローワークと連携しながら、養護学校、福祉施設、千葉県障害者就業支援キャリアセンター等に募集を出し、推薦のあった人に対し2週間の実習を通して適性を判断し、採用している。
採用実績
2004年11月 12人
2006年 4月 4人
2007年 4月 2人
2007年 7月 1人
（3）職場配置
各職種の業務量が長期的に固定しないよう、従業員が全職種を習熟するように指導している。
（4）定着への取り組み
操業当初に千葉県障害者就業支援キャリアセンターから3ケ月間ジョブコーチを招請し、障害に関する理解を学んだことにより、安定した業務が推進されている。
その後、「障害者介助等助成金」の活用により業務遂行援助者を配置し、昼食後の休憩時間を利用して社員が自由にウォ－キングやキャッチボールをやったり、音楽を聞いたりして、楽しく過ごせるように常時サポートを行った。このことにより従業員間のコミュニケーションが図られるとともに、内向的な従業員が明るくなる効果が生まれ、定着の要因となっている。
また、日常、「私の前進日記」として業務日誌を従業員一人ひとりに書いてもらうことにより日常生活を把握し対応している。
なお、日常的に定着・職場適応への配慮に取り組んでいる中で、2007年にメンタル的な問題から2人の退職者を生じ、メンタル問題の早期発見は非常に難解な問題であると痛感している。
（5）能力開発
現在、スタッフ（指導員）を6人配置し、1人が3人の従業員個々の作業について的確に理解し、適切にサポートしている。特に指示については、あいまいな表現は絶対にしないようにしている。
また、スタッフは従業員に励ましを行う一方で、従業員にはスタッフに対して、どんなことでも質問をするよう奨励している。
また、スタッフ会議を毎日、朝夕2回開催し、作業の問題点やサポートのあり方について検討して業務改善や能率の向上に努めている。
例えば、一定の長さにセロテープを切る「はかりんぼう」の考案等により、丁寧で見栄えの良いダイレクトメールができるなど作業効果を高めている。
（6）労働条件
就業時間は9時から17時、休憩時間は12時から13時のほか、障害を考慮し、午前10分と午後15分の休憩を設けている（実働6時間45分）。
また、定年は60歳であり、65までの継続雇用としている。
（7）安全衛生
通勤について、最寄駅から職場まで「重度障害者通勤対策助成金」を活用し購入したマイクロバスで送迎している。
なお、自宅から最寄駅までの事故対策として、全員に携帯電話を所持させ、列車の遅延や事故等緊急時の連絡に利用し、通勤途上の安全管理を図っている。
また、安全対策については、「安全作業三原則」（今日も元気なあいさつ、いつもきれいに整理・整頓、走らず・あせらず・確実に）を揚げ、就業前に唱えるとともに、「今日も1日がんばりましょう」と、声を掛け合ってから始業することとしている。
なお、操業以来、無遅刻、無欠勤の従業員もいる。
健康管理については、年1回健康診断を行うほか、花見や遊園地でのレクリエーションを行い、心身両面における健康管理に取り組んでいる。
メンタルヘルスについては、「私の前進日記」より従業員一人ひとりの健康状態についても把握し対応している。会話の苦手な従業員の健康状態について「よかった」「ふつう」「わるかった」に○を付けてもらうことにより把握が可能である。
（8）職場環境の整備
食堂及び休憩室及び更衣室は清潔に整理・整頓している。
3.今後の課題・展望
近い将来、障害のある従業員を25人に増加することを課題としている。
特例子会社といえども、株式会社として、当然利益を求めていかねばならない。親会社との連携により安定した受注を保ちつつ、さらに拡大し収益面で独立することが最終の課題である。
この課題を達成することにより従業員の安定した雇用と収入が保障され、従業員は社会的に自立できる。当社はこの難題の打破に向けて取り組み続けている。
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