社員とともに成長する特例子会社~人は最も貴重な財産である 人の成長により企業が成長する~
- 事業所名
- 株式会社VSNビジネスサポート(株式会社VSNの特例子会社)
- 所在地
- 東京都港区
- 事業内容
- 清掃業務・損害保険業務ほか
- 従業員数
- 23名
- うち障害者数
- 18名
障害 人数 従事業務 視覚障害 0 聴覚障害 5 損害保険業務、パソコン入力 肢体不自由 1 損害保険業務、パソコン入力 内部障害 0 知的障害 12 清掃、事務補助 精神障害 0 - 目次
1.事業所の概要
(1)事業所の概要
IT・情報システム、メカトロニクス、エレクトロニクス、バイオ・ケミストリー分野におけるエンジニア派遣事業、開発請負、及び有料職業紹介を事業とし、「技術と智恵を提供する会社」として急成長を続けている株式会社VSNの特例子会社として、当社は、2005年7月に設立、2006年3月27日に認定を受けた。設立時にはNPOが主体となり、港区周辺の支援団体から人材を確保した。
当社の事業内容は、親会社の清掃業務を中心に取り組んでいるが、その他、社会活動として、社屋から最寄りバス停周辺の清掃も行っている。
1)企業使命
障害のある人達の雇用の創造を実践し、その能力を最大限に生かし、伸ばすことで社会の発展に貢献する。
2)事業領域
本社社屋(東京都港区)内に設立したというメリットを生かし、本社からの業務をすみやかに取り入れることを目的としていたが、今後は外部からの業務にも対応する。
3)行動規範
障害に甘えることなく、一人の社会人としての自覚を持って行動する
4)企業理念
・人材を人財へ
・働く意欲と能力のある者の前に、ビジネスチャンスは平等である
5)労働条件
①勤務時間 8時~18時の実労働時間8時間。残業は基本的にはない。
②休日 土・日・祝・夏季・年末
③給与 月給制(業務種別毎にテーブルがある。)
④手当 住宅手当・家族手当
⑤賞与 年2回
⑥定年 60歳(定年後継続雇用制度あり)
⑦社会保険 厚生年金・雇用保険・労災保険・健康保険
⑧福利厚生 団体傷害保険の加入、福利厚生クラブの加入、社員持株会
(2)障害者雇用の考え方
1)知的障害
清掃を基本とした多種多様な作業を経験することから、それぞれの適性を見出している。与えられた仕事を丁寧に最後までやり遂げられるかが基準になる。
2)身体障害
本人が抱えている障害のためのマイナス面ではなく、仕事に対する前向きな姿勢や、やる気・創意工夫がどれだけあるかが評価基準となる。事業所としては、社員の要望や定着推進チームからの提言には可能な限り対応し最大限配慮はするが、優遇はしない。
2.取り組みの内容
当社の運営ならびに障害者雇用の取り組みの特徴としては、以下の点があげられる。
①運営ノウハウについて、外部から期間限定で元特例子会社社長を選任アドバイザーとして招聘している。
②福祉分野経験者から企業内ジョブコーチを採用し、その専門知識を活かして業務指導に当たっている。
③障害のある社員18人のうち、重度障害のある社員を多く雇用しているが、彼らの適性を見極めながら適所に配置している(重度知的障害者8人、重度身体障害者5人、合計13人)。
(1)職場作りへの配慮
雇用している知的障害者と身体障害者の特性は様々であるため、一人一人の社員の個性を活かしやすい環境作りに取り組んでいる。例えば、知的障害者グループでは作業班の組み合わせや仕事のマッチングへの配慮を行っている。
身体障害者グループでは、身長に合わせて、業務機器の高さを自由に変えるなど、作業しやすい環境づくりに心がけている。
また、通勤時恐怖心を強く感じる社員には、8時~17時のフレックス制を採用しているほか、椎間板ヘルニアで手術した社員に対しては、短時間勤務から慣らしている。
(2)チームワークによる職務遂行
障害を一つの個性としてとらえ、お互いに助け合い補い合って、チームワークで責任持って仕事をやり遂げる。特に、知的障害者の業務拡大において、今まで単独では無理だと思われていた業務を身体障害者チーム(PCを使った仕事の準備・段取り)とコラボレーションして、それぞれの特徴を融合し、複雑な業務を受託することが可能となった。
このことにより新しい職域開拓につながり、入力作業が増加し、高い生産性を上げている。
また、社内のより円滑なコミュニケーションのために、設立当初より朝礼・昼礼にて、ミニ手話教室を実施している。この取り組みは本社総務部へも波及し、最近では自主的に朝礼で取り上げられている。
(3)勉強会の実施
また、不定期ではあるが、自閉症についての勉強会を自由参加で実施している。このような取り組みの一つ一つが、障害に対する理解を社内外に着実に高め、主たる業務の清掃においても、本社内通路清掃から始め、最近では応接室、給湯室、トイレへと拡大し、更には玄関絨毯の色別清掃や社長室の清掃も請け負えるまでに成長し続けている。これらの事業展開により、今後の障害者雇用の拡大が期待される。
このような取り組みから、設立以降、短期間で障害者雇用の拡大を図ることができたが、その経緯は以下のとおり。
|
(4)人材育成
能力開発セミナーへの積極的な参加など、各自の希望によりスキルアップができる体制を構築している。
(5)職場定着への取り組み
障害者職場定着推進チームを設置し、個人では提言しにくい意見等を朝礼時や不定期で適宜実施しているヒアリングで取り上げ、問題を早期解決している。また、親睦会を作り、誕生月の社員の誕生会(茶話会)を毎月実施するなど、定期的に懇親会を開催している。
3.障害への配慮
(1)知的障害
1)休憩時間
作業効率向上のため、昼休みの他午前・午後各1回ずつ10分の休憩時間を設けている。
2)ミニ手話教室
仕事上で聴覚障害のある社員と共同作業の必要性があり、相互コミュニケーションのため昼礼でミニ手話教室を実施、若い社員には積極的に学習する者も出ている。
3)社内ジョブコーチの設置
業務遂行援助者としてのジョブコーチを設置している。12人の知的障害のある社員12人のうち8人が重度判定(うち6人が自閉症)を受けており、日々の業務に対応するため3人のジョブコーチが担当している。
4)支援者会議
設立当初は毎月、現在は隔月で、特に生活面での支援や問題の早期解決を目的としている。各支援機関と会社側との支援者会を継続開催している。
5)ジョブコーチ会議
毎週ジョブコーチ会議を実施し、社員の一週間の様子を確認する。そして問題点をあげ、次週の課題等を検討する。さらに社員間の様々な情報を各ジョブコーチがいつでもスムースに対応できるよう、情報の共有化に努めている。
6)個人面談
本人・家族(入寮者は寮母等)・支援団体を含めた四者面談を定期的に実施している。
(2)身体障害
1)交通費の特例支給
肢体不自由の社員には、通常は認められない距離でもバス定期代を支給する。
2)手話通訳
聴覚障害のある社員には、正確な情報伝達のため手話通訳を設置している。
3)ミニ手話教室
朝礼でのミニ手話教室を毎日実施している。
4)事務機械等への配慮
タイムレコーダーや諸事務機器を設置する高さを社員一人一人に合わせるよう配慮している。
5)個人面談
人事考課を兼ねて、年2回、必要があればその都度、個人面談を実施している。
4.取り組みの効果・今後の展望
以上のような取り組みの結果、顕著に現れた効果として次のことがあげられる。
①職場定着率の向上
②職場内での自立心の増長
③社内全体のグループ活動の活性化
④業務のスキルアップ実現
⑤社員の向上心の増大
今後、当初から検討して候補に上がっていた在宅勤務を希望する障害のある社員に、パソコン業務の一部を委託することや、名刺製作を近いうち実施することについて、意欲的に検討している。
親会社からの要請もあり、障害者の職域拡大・雇用拡大を第一として取り組んでいる点に大きな期待が持てる。
皆さまのお役に立てるホームページにしたいと考えていますので、アンケートへのご協力をお願いします。
なお、事例掲載企業、執筆者等へのお問い合わせや、事例掲載企業の採用情報に関するご質問をいただいても回答できませんので、あらかじめご了承ください。
※アンケートページは、外部サービスとしてユミルリンク株式会社提供のCuenote(R)を使用しております。