事業所名

株式会社末広製菓

所在地

新潟県新潟市

事業内容

食料品製造業（米菓、米飯、調理パンなど）

従業員数

386名

うち障害者数

9名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	2	商品仕分け、包装
内部障害	1	パソコン操作
知的障害	6	製品の仕込み、箱詰め、包装
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 取り組みの内容
4. 取り組みの効果
5. 障害者雇用の考えと今後の課題

事業所外観

1. 事業所の概要

　山崎製パンを株主とする当社は、昭和48年に設立。米菓（あられ・せんべい）、スナック菓子、ドーナツ、シュークリーム等菓子の製造販売を行う米菓事業部に加え、昭和59年に、お弁当や調理パン、総菜類、麺類等の製造販売を行うデリカ事業部を併設した。
当社のモットーは、「真に価値ある製品の提供と真に価値あるサービスの提供による顧客本位の事業展開で社会に貢献する」。

当社の製品

2. 障害者雇用の経緯と現況

（1）雇用の経緯と理念

　障害者雇用の理念については、障害者雇用を通じて地域社会へ貢献することも企業の使命であることと、山崎製パングループの一員として法令順守の使命を守るために、障害者の雇用率を維持することとして、取り組みを行ってきた。
障害者雇用の状況については、従業員386人のうち、障害のある従業員は9人。障害者雇用率は3．11％である。
なお、平成7年度には、障害者雇用優良事業所として新潟県知事表彰を受けている。

（2）障害者雇用の状況

　現在雇用している障害のある従業員9人で、うち重度障害が3人。
平成4年から5年にかけ障害者雇用率を達成するために5人を集中的に雇用し、その後平成17年まで順次雇用してきた。

1）上肢機能障害（2人）

　手指欠損の2人については、4級と6級と比較的軽度であったため、当初は、当社の製品を抱えて運搬する作業を任せたところ支障はなかった。現在、一人は製造部門にて機械操作及び包装作業等に配置し、もう一人は弁当製造部門にて得意先店舗別に注文品が打ち込まれているコンピュータを見て、店舗別に仕分けする作業に配置するなど、本人の能力に適した配置を行っている。

製品仕分け作業

2）内部障害（1人：重度）

　勤務中に腎臓疾患を患い、障害者手帳を取得した。
透析の医療ケアを確実に行えば配置換えすることなく復職できることが判明し、元の開発部に復職した。パソコンの操作など他の従業員と同様、事務的作業に従事している。

3）知的障害（6人：うち重度2人）

　米菓製造部門で、仕込みから米菓等小袋の箱詰め（贈答用箱に、米菓等製品が入った小袋を入れる流れ作業）、包装作業など、それぞれの班に別々に従事している。

箱詰め作業

3. 取り組みの内容

（1）労働条件の設定

　障害があるという理由から、特別の待遇は行っていない。
労働時間は8時から16時50分が基本的勤務時間で、実働7時間30分。正規社員及び準社員は基本的勤務時間で、パート従業員は9時から4時までを勤務時間としている。
なお、障害のある従業員の身分は、正規社員3人、準社員は2人、その他はパートである。
休日は日曜・祝日及び会社が指定した日（交代休）。
社会保険は全員加入している。
給与については、障害のある従業員は全員、最低賃金法の適用除外申請はしていない。

（2）募集・採用

　採用経路は、ハローワークの紹介や養護学校からの要請などであるが、特に障害者雇用支援月間でのハローワーク主催の集団面接会などを利用した。

（3）知的障害に対する取り組み

1）家族を含めたコミュニケーションの構築

　知的障害のある従業員の雇用経験は15年になる。雇用当初は職務を習得するまで様々な困難もあったが、総務部長の信念として「まず、コミュニケーションを良くすることに心がけた」。特に若い従業員の場合は、両親とのコミュニケーションを図り、電話で職場での様子を知らせ、また、家庭での様子の把握にも努めてきた。

2）キーマンの設定

　配属した各班には、彼らの相談相手となり、仕事を教えるキーマンを指名したことにより、彼らに悩み事や困ったことがあった場合、誰に相談すれば良いのかはっきりし、安心して働ける一因となっている。

　キーマンが対応に戸惑う場合は、総務部長や総務課の職員がスーパーバイザーとして相談相手になるなど、キーマンに精神的負担をかけない様にしている。これらのフォローによりキーマンも安心して対応することができた。

3）計数指導

　数的能力の不足の対応策として、包装品を積み上げる時に「数」による指示でなく、「肩の高さまで」とか「首のところまで」といった、体位で覚えられるよう指導した。また、数の計算が必要ない部門がある時は、その現場に配置した。
数的能力が不足している従業員であっても、繰り返し根気良く指導した結果、物を積んだり一定の数を入れる作業は今では間違いなくできるようになった。

（4）健康管理

　内部障害のある従業員に対して、日中に透析する関係上、安心して会社を休めるよう配慮している。
また、当然の事ではあるが、食料品製造業のため全従業員の健康管理は特に配慮し徹底している。

（5）通勤対策

　知的障害のある従業員は自力で通勤できることを前提に採用しているが、保護者が送迎することは構わないこととしている。

（6）福利厚生・教育研修

・全員同じ処遇である。
・教育研修も同じ処遇であるが、但し知的障害者の場合は、その場で理解できない内容もあるので、理解不足の部分は現場でフォローしている。

4. 取り組みの効果

（1）最近3年間の離職状況

　3年前、長岡工場を閉鎖した際に、現所在地に通勤できなかった2人がやむを得ず退職した以外は、最近中途退職者はいない。

（2）モラールの向上

　最近は障害のある従業員の中から正社員に登用される人も出ており、他の障害のある従業員の励みにもなっている。
また、知的障害のある従業員の中には、朝夕の挨拶がきちんとできる人が比較的多く、このことは一般社員の模範であり、時々、彼らを引き合いに出して他の従業員も彼らを見習うよう注意する場合もある。

5. 障害者雇用の考えと今後の課題

　総務部長は障害者雇用の基本的な考え方として、「こうすればよい！ということはない。一人一人の特性があるのでケースバイケースで対応しなければならない」と話す。
さらに、「コミュニケーションが大事。根気よく一人一人を大切に話しかけることが大事」とも話す。
「障害者であるからといって特別扱いはしていない。ただ、身体的能力とかその人に困難なことはさせないよう配置を考える。だから処遇も平等で障害者の中からも正社員に登用になった人もいる。」
今後、障害者雇用の拡大等を図るため設備改善をしたいが、老朽化した設備の更新を優先せざるを得ず、障害者雇用の部分までまわらないことが、現在の課題となっている。