事業所名

株式会社ビージョイ

所在地

愛媛県松山市

事業内容

牛・豚肉、ブロイラーの加工販売、デリカ食品・食肉加工品の販売

従業員数

340名

うち障害者数

10名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	ブロイラー加工処理
肢体不自由	2	食肉加工、デリカ商品製造
内部障害	1	デリカ商品製造
知的障害	6	食肉加工
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と背景
3. 障害者の配置・取り組みの内容
4. 今後の課題

事業所外観

1. 事業所の概要

　昭和36年に愛媛食鳥産業株式会社としてブロイラー販売を開始した当社は、その後、ウィンナー・ハム・ソーセージの製造販売を手がけ、平成5年に現社名に変更し今日に至る。
社名については、“Be　Joyful～楽しくあれ”をモットーに、衣食住文化を中心に暮らしの豊かさを提供すると共に、新しい生活の楽しさを創造する企業でありたいという願いが込められている。
経営方針は、「時代の変化と顧客のニーズを先取し、従業員が夢と誇りの持てる活気に満ちた企業経営の推進」である。

2. 障害者雇用の経緯と背景

　障害者を初めて受け入れたのは、平成7年度であった。県立第三養護学校の先生から「就職をさせてほしい」と頼まれたことがきっかけで、今もなお、年に二度、2～4名の実習生を迎えて2週間の実習を行っている。
最近では、学校側から「早い段階で職場体験をさせてほしいが、なかなか受け入れてくれる会社がない」という声を何度も聞いている。そのため、当社では、必ずしも雇用につながるということはないかもしれないが、高校3年生に限らず、社会体験を行う場として、職場を提供している。

実習生による酢豚セットの製造作業

　また、雇用したい生徒に対しては、体験後、本人の就職したいという要望があれば、本人・保護者に不安がなくなるまで、実習をしっかりと行っているように、学校との連携を大切にしている。

3. 障害者の配置・取り組みの内容

（1）配置

　精肉を扱っているため、温度の低い職場での作業となる。職場環境は必ずしも良いとは言えないが、障害者は根気よく、飽きずに作業に取りかかっている。業務によっては、健常者以上の力を発揮して仕事を行ってくれるほどである。

串刺室での焼鳥用串刺し製造

半製品室でのむね肉の加工、トレーにセット作業

焼鳥用の各々の串刺しのセット、パック詰め作業

（2）取り組みの内容（人的支援・社内体制）

　できるだけ長く勤務してもらうことによって、将来当社で生計を立てていけるような体制を基本としている。よって、同時採用は2人か3人にしている。1人の採用にすると、どうしても同じ立場で共有できる相手がいないため、実習段階の最初の一週間でつまずき、能力を発揮できないまま辞めてしまうということが起こりうるからである。
さらに、職場管理指導者を1人置くことで、各事業部で責任をもって障害者の支援を行い、勤務時間等の総合的なことに関しては事務所でも支援を行っている。
基本的に、障害者であるからということで特別扱いはせず、一人の社会人として接しており、一人一人が長く働けるような環境作りにも配慮した支援も行っている。

4. 今後の課題

（1）課題

　障害者雇用を極力増やしていきたいと考えているが、工場が過渡期にあるため、雇用人数を増やしたくても増やせないというのが現状である。しかし今後も、障害者雇用率2％以上は維持していく方針であり、障害に関係なく、従業員皆が働きやすい職場作りを積極的に取り組んでいく意向である。

（2）学校生活と職場生活のギャップを解消するために

　当社は、学校との連携がしっかりできている。
障害の有無に関わらず、学校での学ぶ環境と社会での働く環境とでは、様々なギャップが生じため、たとえ雇用しても定着することができない障害者が多いという問題が度々生じている。
それゆえ、事前に実習を行うことは雇用維持に関して大変重要であり、学校との連携は重要なことである。
当社のように積極的に職場体験を受け入れることで、学校と社会とのギャップが解消されていくことが期待できる。

執筆者　：　愛媛大学教育学研究科　特別支援教育専修特別支援学校教育専攻　大学院生
松原　利恵