障害の有無に関わらず、共存の考えが根付いた職場環境
～「いただきます」の声、弾ませたい。これが私たちのコミュニケーションワードです～
1. 事業所の概要
昭和55年に設立し、社名変更、営業所開設、事業所合併を経て現在に至っている当社は、鮮魚、精肉、惣菜、豆腐、こんにゃくといった生鮮食品や、日配品の製造加工を中心に行っている。
当社を取り巻く「お客様、社会、納入先・仕入先、株主、社員」に質の高い満足をお届けしたいという「5つの満足」を経営理念に掲げ、新鮮な瀬戸内海の幸と四国の大地の恵みを素材に、食品メーカーとして確かな基盤を築いてきており、今現在も「食」の総合カンパニーを目指し様々な事業を展開している。
2. 障害者の配置
現在の障害者の職場配置は、主に単調な作業を中心としているが、本人に適性と意欲があれば、どんどん他部署への配置も考えるようにしている。実際に障害のある従業員の中には、課長として活躍している人もいる。このように障害の有無に関わらず、皆が同じ立場で働くことによって、障害者の姿勢が他の従業員に様々な刺激を与えている。
なお、数名の障害者は、商品の維持のために必要な冷蔵庫や冷凍庫の温度管理といった大変重要な役割を担っている。
彼らが主に行っている単調な作業を続けることは大変なことだが、長続きしているのは、本人の努力によるものである。他にも、お盆や年末という忙しい時期にも、健常者と同様に働くなど、一緒に頑張ろうという姿勢が見受けられる。
当社では、障害者も健常者も共に働き、共に学んでいる。その結果、職場の雰囲気づくりだけでなく、生産性向上にも十分貢献していると言える。
3. 取り組みの内容
どんな人でも、自分の努力次第で職位をあげることができる。つまり、障害がある従業員に対し特別扱いをせず、他の従業員と同じように行動させ、一従業員という意識で接している。
さらに、雇用管理の上で大切な職場の人間関係も、年間行事等に参加してもらうことで、働きやすい環境作りを醸し出している。
このように、障害者に対して特別扱いはしていないが、全く配慮をしていないわけではない。
例えば聴覚障害者に対して、音による判断を必要とする作業場面では、パート社員を近くに配置するなど、スムーズに作業が行えるように配慮している。
また知的障害者に対しても、通達指示の実施確認の徹底や安全面の指導、休憩等の気配りといった個々の特性に応じた配慮を行っている。すなわち、障害のある従業員一人ひとりの能力を十分に発揮できるよう、個々に応じた支援を行っている。
4. 今後の課題と展望
（1）展望
基本的には、これからも企業として社会的責任を果たし、障害者雇用を継続していく方針である。また、障害の有無に関係なく、同じ働く従業員として、皆が当社に生きがいや働きがいを見いだせるように、本人の自主性を重んじた成長を促す事業所を目指していく意向である。
（2）さいごに
障害者雇用の現状はとても厳しいが、現場や事業所で「障害者という意識は全くない」「大きな戦力になっている」ことを当社は強調する。その言葉からは、障害者雇用の理解が現場や事業所全体で浸透していることがうかがわれる。
なお、当社は、平成13年に障害者雇用優良事業所「愛媛県障害者雇用促進協会長表彰」、平成16年には障害者雇用優良事業所「愛媛県知事表彰」を受賞している。
近年、世界ではノーマライゼーションが強く求められてきているが、当社においても「障害者も健常者も一緒に共存していく」という考えがしっかりと根付いている。障害者を「同じ働く者」として見ているということから、障害者にとって働きやすい環境がしっかりと整っている。
当社のような事業所が増え、障害者雇用の理解が少しずつ地域へと広がっていくことが期待される。
執筆者 ： 愛媛大学教育学研究科 特別支援教育専修特別支援学校教育専攻 大学院生
松原 利恵
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