事業所名

サンクスジャパン株式会社

所在地

佐賀県佐賀市

事業内容

日用雑貨、衣料品、医薬品、酒類、青果、冷凍食品、家電製品等の総合小売業

従業員数

1，141名

うち障害者数

38名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	商品補充、検収
聴覚障害	0
肢体不自由	16	商品補充、検収
内部障害	3	商品補充、検収
知的障害	17	商品補充、検収
精神障害	1	商品補充、検収

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組みの内容
3. 取り組みの効果
4. 今後の課題・展望

店舗「ダイレックス高木瀬店」外観

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）概要

　昭和61年11月、日用雑貨等の小売店の第1号店として久留米店を開店し創業する。
平成3年8月にサンクスジャパン株式会社と社名を変更し、佐賀県をはじめ、九州、四国、中国に店舗数を拡大。
平成6年11月に現在地に本社を移転し、平成10年には店名を「ダイレックス」に変更、営業品目も日用雑貨、衣料品、医薬品、酒類、青果、冷凍食品等を加えた総合小売業として、店舗数110ヶ所を抱え現在に至っている。

（2）障害者雇用の経緯

　現在、従業員数は1，441人で、そのうち障害者の雇用数は38人。雇用率は3．47％となっている。
平成8年2月、ダイレックス高木瀬店で身体障害者を雇用したことを皮切りに順次雇用を拡大してきている。
障害者雇用の契機は、佐賀県高齢・障害者雇用支援協会や公共職業安定所等の雇用要請を受けたことによるが、以降、採用計画、制度利用等の指導・助言を受けながら現在に至っている。
最初に雇用した障害者は、肢体不自由のある人であったが、仕事をする上で大きな支障はなく、特に問題は見られなかった。各店舗には店長がおり、仕事の内容と障害の状況を考慮して部署を決め、習熟するまでマンツーマンで指導していく体制をとっているが、この方式を各店舗でも同じように実施している。
店舗での仕事は結構ハードという認識があったが、仕事の工程や内容を点検・検討することで、部署によっては障害者が受け持つことができる所があることがわかり、それを少しずつ広げていった。
また、養護学校や知的障害者施設からの職場実習の受け入れや就職相談会等にて障害者の求人活動を行ったことなどから、障害者雇用が飛躍的に増加してきている。

2. 取り組みの内容

（1）業務面での支援

　知的障害者の雇用は、養護学校からの雇用要請もあり、職場実習を受けているという情報も佐賀県高齢・障害者雇用支援協会から得ていたので、2003年4月に雇用したのが始まりとなっている。
彼らが行っている主な作業は、店舗での商品の補充・陳列、片付け、清掃などであるが、その中で、状況判断が必要であったり、難しい内容であれば障害のない社員やパート社員に補ってもらったり、身体障害者の社員が対応するなどの方法を取っている。
身体障害者や精神障害者の雇用については、雇用を始める前は、仕事を適切に行えるのか少し心配もあったが、実際、雇用してみると特に大きな問題はなく、障害の状況等に応じて、店舗の中の仕事か商品の検収等が適切かを判断して配置をしている。
障害者施設や養護学校からの場合、職場実習を実施することも多く、また、トライアル雇用の活用等も行っているので、実際に雇用する場合、比較的スムーズに職場に適応している。また、雇用後の仕事の習熟度を増すため、担当の社員を付けて、一対一のマンツーマン方式で仕事を教えていく体制をとっている。

商品の補充

商品の整理

検収・事務処理　

商品の搬送

（2）生活面での支援

　通勤については、1人は佐賀市にある知的障害者通勤寮から通勤しているが、他の社員は自宅から通勤している。
一度、知的障害のある社員が数日間仕事に出てこないこともあったが、家族との連絡をするなかで解決でき職場復帰した。家族との連携は日常的には特に行っていないが、何かあったときは行うようにしている。
職場においては、店長をはじめ、他の社員は意図的にコミュニケーションを図っており、店長会議の折にも障害に対する認識を深めるよう働きかけている。
また、養護学校や施設、関係機関とも連携を取り、必要に応じて指導や支援を受ける体制をとっている。

3. 取り組みの効果

　現在雇用している障害者は、全般的に真面目であり、一度覚えこめば手抜きをせずに仕事に取り組み、決められたことはきちんと守るという態度は、他の社員にも良い影響を与えている。
総合小売店という仕事の性格上、来客への対応が必要であったり、販売商品の品数が非常に多く、また多様であるので、社員同士の連絡や打ち合わせが必要なことから、ある程度のコミュニケーション能力が必要となる職場であるが、現在のところ、特に支障は生じていない。
障害者の雇用を始めてまだ10年余りしか経過していないが、十分に戦力になっており、今後も雇用を拡大していきたいと考えている。
当社の特色として、視覚障害者、肢体不自由者、内部障害者、知的障害者、精神障害者といった様々な障害のある人々を雇用しており、多くの障害者と関わりながら仕事をしていくなかで障害への理解が深まってきている。

4. 今後の課題・展望

　障害者雇用を積極的に取り組んでいる当社は、現在38名の障害者を各店舗に配置しているが、正社員は3名にとどまっているため、今後、正社員としての雇用を拡大していくことが課題として残されている。
また、今後、店舗拡大を進めていく中では、バリアフリー新法との兼ね合いもあり、店舗や職場環境のバリアフリー化を推進していくことが必要となってくるので、これが進めば、車いす障害者等の雇用も可能となると考えられる。
なお、知的障害があってもできる仕事が、職場の中に多くあることがわかってきたので、今後雇用を拡大していく方針である。
障害者福祉の施策は、障害者の地域生活をどう支えていくかという方向性に向かっている。そのためには、今後、地域の中で就労の場をどう確保するのかが重要な課題であるが、110の店舗を保持している当社は、地域における障害者雇用の場として重要な役割を担っている。また、園芸専門店や小型ディスカウント店の展開も計画しており、今後、さらに障害者雇用の拡大が期待されている。

執筆者　：　西九州大学健康福祉学部社会福祉学科　准教授　　田代　勝良