事業所名

医療法人親貴会

所在地

鹿児島県いちき串木野市

事業内容

医療福祉

従業員数

125名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	2	マッサージ師による治療
聴覚障害	0
肢体不自由	1	ケアマネージャー
内部障害	1	清掃、洗濯、食事の補助作業等
知的障害	2	リネン作業、清掃、洗濯、給食補助等
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の理念と経緯
3. 雇用支援機関との連携
4. 職務内容と障害者雇用の効果

1. 事業所の概要

　当法人は、従業員125名で、医療福祉関連の3施設を経営している。地域住民や利用者のニーズを最大限に生かした施設を完備し、地域医療福祉の中心的役割を担っている。

　えんでん内科クリニック（19床）は、串木野駅から徒歩約10分の所に位置する。リハビリセンターを附設し、アクセスも良く利便性が高い。

えんでん内科クリニック

リハビリセンター

　介護老人保健施設ゆくさ白浜については、施設の中央にリハビリセンターと娯楽施設があり、浴室には天然温泉を備え、利用者間の心の絆を深める場となっている。更に西側は東シナ海を一望できる景観が心をなごませてくれる。入所（70床）・ショートステイ・デイケアなどの総合的なケアサービスを提供している。

ゆくさ白浜

リハビリステーション室

　なおこの他の施設として、グループホームもぜ（18床）を設置している。

2. 障害者雇用の理念と経緯

（1）理念

　理事長の「障害者に学び障害者を育み、障害のある人もない人も何らかの形で一緒に活動し、共に学び合い、思いやりの心で絆を結ぶ」理念が、経営方針及び職員募集・採用など全てのベースとなっている。

　日頃から障害者施設との交流をもち、職員の思いやりの心や医療福祉職員のあるべき姿を実践活動を通して育成し、全てナチュラルな体制で運営している。

　障害のある従業員が元気で明るく意欲を持ち、施設全体の流れに同化しつつ職務遂行している姿が何よりの証拠である。

　なお、当法人は、平成16年度から障害者雇用報奨金を受給するとともに、平成18年度には障害者雇用優良事業所として鹿児島県雇用支援協会会長賞の表彰を受けた。

（2）経緯

　障害者雇用については適材適所の考え方で、障害に関係なく、①ハローワーク経由、②知人の紹介、③養護学校の現場実習等により必要な人材を確保してきた。今後も積極的に推進する予定である。

　最初の障害者雇用は、知人の紹介で平成11年に視覚障害者（針・灸・マッサージ師）を採用、平成14年にもマッサージ師の女性を採用した。

　現在、リハビリステーションで勤務する障害のある従業員は2名で、一日平均15～16人の患者を担当している。また、知的障害者を1名再雇用し、短時間勤務で清掃及び入浴・食事介助等の業務を任せている。

針・灸・マッサージ師による治療

マッサージ師による治療

（3）障害のある従業員のコメント

　「上司、職員の理解があり大変働きやすく、労働条件も他の従業員とまったく同じでやり甲斐がある。」

　「利用者や職員に迷惑をかけているが、職場の雰囲気がナチュラルで、上司の理解と指導で勇気づけられている。」

　「体調不良で一度は退社したが、上司の理解と適切なアドバイスを貰い、職場復帰ができ（短時間勤務）、今は生きがいを感じている。」

3. 雇用支援機関との連携

（1）鹿児島県障害者雇用支援協会との連携

　同協会からの助言により、職場定着推進チームを設置し、障害者の職場定着に努めているほか、障害者職業生活相談員を選任し、障害者の職務内容の改善や職場環境整備を図っている。

（2）ハローワークとの連携

　ハローワーク主催の「障害者就職面接会」に参加するなど、障害者の雇用に積極的に取り組んでいる。

（3）養護学校との連携

　現場実習の受け入れ及び雇用機会の提供を行うほか、学校との雇用企業合同懇談会に参加している。また、雇用している知的障害のある従業員に関して、勤務状況など必要に応じてケース会議を実施し対応を図っている。

養護学校とのケース会議

4. 職務内容と障害者雇用の効果

（1）ゆくさ白浜における職務内容

1）Aさん（上肢機能障害：H15．4採用）

　現在、居宅介護支援センターの管理者（ケアマネジャー）として多忙な毎日を送る。福祉施設での経験を生かし、専門職員として全体をまとめている。加えて、障害のある従業員の良き理解者であり、相談窓口としても貴重な存在である。

管理者及びケアマネージャーとして執務するAさん

2）Bさん（内部障害・言語障害：H15．2採用）

　ゆくさ白浜の開所当時から勤務し、洗濯、掃除、食事の補助作業等が中心業務である。書道家の師範でもあり、高齢者書道教室の講師や行事等で活躍している。

清掃作業に励むBさん

3）Cさん（知的障害（女性）：H15．2採用）

　開所時からの勤務で、主にリネン作業、清掃、洗濯、給食補助等が業務であるが、入所者のリハビリを兼ねた洗濯物の取り入れ整理整頓等への支援を通して、利用者とのコミュニケーションを図っている。

リネン作業を行うCさん

（2）障害者雇用の効果

①　専門的知識を持つ上司の存在（ケアマネジャー）や、書道の師範など特技を持ち、高齢者書道教室講師として、利用者の「県書道展出品」指導で意欲を引き出す人、また、行事等で司会、看板描きなど準備、運営に力を発揮する人など、他の従業員が学ぶことも多い。

②　フロア会議、全体会議等に、必ず障害のある従業員も出席し意見を述べるので、様々な発想が出て有意義な会議となっている。

③　労働条件や職務内容など差別なく働ける環境に、障害のある従業員は働きがいを感じることにより、自分に対して律する気持ちが、他の従業員に「あの人が頑張っているのだから」という気持ちにさせるなど、少なからず影響を与えている。

④　職場復帰（再雇用）により再起した同僚に対する思いやりの心が生じるなど、他の障害のある従業員も刺激を受けている。

⑤　全ての行事に対しては全職員が取り組むため、助け合いの精神や特技が発揮され、準備運営がスムーズに運んでいる。自然と心の絆が結ばれていることがうかがわれる。

執筆者　：　障害者就労継続支援事業所サポートハウス颯　　職業指導員　　有村　浩