事業所名

株式会社丸昌  工藤商店

所在地

青森県八戸市

事業内容

原皮塩蔵製造業

従業員数

13名

うち障害者数

9名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	3	加工作業員
肢体不自由	2	加工作業員
内部障害	0
知的障害	4	加工作業員
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・背景
3. 取り組みの内容
4. さいごに

事業所外観

1. 事業所の概要

会社の事業内容としては、皮を加工する前の原皮塩蔵業である。この事業は、食品の製造販売ではないが管轄の保健所の許可を受けないと行うことができないものである。仕事の内容は、まず原材料となる皮を近隣（三戸・三沢・十和田）の食肉センターに大型トラックで回収に行き工場に運んでくるところからはじまる。回収した皮は生物（なまもの）なので冷蔵しておき、翌日に脂身を取り、塩漬けする。牛など大型の動物の皮についた脂身は手作業でナイフを使用して切り取り、豚はシーツを乾燥させるようなローラーに流し込んで脂身を取る。脂身を取った牛の皮には、直接塩をまいて、豚の皮は大きなドラムに塩と一緒に入れ回転させて塩漬けにする。塩漬けが終わると決められた枚数で梱包して冷蔵し、次の加工工場に輸送する。

同業種の会社は、青森県内に二社しかない。

2. 障害者雇用の経緯・背景

ハローワークの紹介で、平成14年4月に聴覚障害者を雇用するがコミュニケーションがうまくとれず、2,3ヶ月で辞めてしまう。同じ年の9月に聴覚障害者をトライアル雇用で採用する。前回のことを反省材料にして、意思疎通が難しいときはすぐにハローワークや市の手話通訳士に連絡して来てもらい疎通を図るようにした。

その後、毎年のように聴覚障害者・身体障害者を雇用している。平成16年の障害者就職面接会で知的障害の方と面接し、トライアル雇用で初めて知的障害者を雇用した。その後、毎年知的障害者を雇用し、現在知的障害者4名となっている。

豚の皮から脂身を取る作業

3. 取り組みの内容

（1）雇用後の指導状況

聴覚障害の方は、指導や注意されると『怒られている』と受け取ることが多いのでその都度、ハローワークや市の手話通訳士に連絡して来てもらい、『怒っているのではなく、仕事を覚えて欲しいので指導や注意をしている』と説明している。筆談でも言葉の意味が通じないこともあるので、手話通訳士を利用しすぐに対応して気持ちが通じ合うようになった。

知的障害の方は、作業の内容を分かり易く説明し、まず仕事をしてもらっている。それから本人がやってみたい作業があればその気持ちを尊重して挑戦させている。『適材適所』これが一番と社長さんが話していた。

一度休むとなかなか来づらくなるので、「遅れて行きます」と言う人には断らずに「来ても良いよ」と伝え、「休みたい」と言う人には理由を聞かないでゆっくり休ませて気持ちよく働いてもらっている。

塩漬けした皮を冷蔵庫に入れる作業

（2）現在の業務状況

皮から脂身を取る作業、塩漬けの作業、出荷用に梱包する作業等工場内の全作業工程に障害者の方が関わって仕事を行っている。聴覚障害者の方は、フォークリフトを運転しての作業もこなしている。

仕事の遅い早い人それぞれであるが、仕事に支障をきたすことはないので特に心配はしていない。

塩漬けした皮をそろえる共同作業

4. さいごに

知的障害者4名、聴覚障害者3名、内部障害者2名の計9名の障害者を雇用しているが「みんな良くやってくれています。休まないで来てくれているので予定どおり作業が進んで、みんな心に余裕ができてピリピリしなくなりました。」と笑いながら社長さんは話してくれた。障害があっても働きたいという気持ちを尊重していきたいので、今以上に頑張って仕事をしてくれることを期待していますということであった。

全従業員13名のうち9名が障害者である。雇用率は実に70%である。休憩時間や昼休みを知らせるブザーでは聴覚障害者にはわからないので、赤色ランプを見やすい場所に設置している。また、フォークリフトにも危険を知らせる赤色ランプをつけている。障害のある方を雇用してみて色々な助成金制度があることを知ったが、設備投資をしてからだったりすると、制度を利用できないこともあったそうである。助成金の支給を待っている間に怪我でもしたら困るため、もう少し柔軟に制度を使えるようにして欲しいという要望を話されていた。

今年、定年になった障害者の方が定年後も働きたいということで、再雇用となった。この職場は障害のある方にとって働き続けたい職場環境である。

工場内の様子

執筆者  ：  特定非営利活動法人サポートセンター虹  理事長  湖東  正美