事業所名

株式会社日建

所在地

群馬県高崎市

事業内容

床材など住宅資材の組立および塗装加工

従業員数

30名

うち障害者数

10名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	1	機械オペレーター
知的障害	9	加工作業、寸法割出作業、梱包作業、機械オペレーター
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・背景
3. 障害者の従事業務・職場配置
4. 取り組みの内容
5. 取り組みの効果
6. 今後の課題

事業所外観

1. 事業所の概要

創立35年、昭和47年開業。高崎市内で材木業から建材販売そして、木製品製造業へ業態転換。 事業内容は、窓枠・ドア枠材、MDF材(圧縮ボード)、外壁材、フローリング床材、内装造作材、フラッシュドア芯材等を加工する木製品製造業である。従業員数30名。（その内、障害者を10名雇用)障害者の内訳は、知的障害者9名、内部障害者1名。知的障害者9名のうち5名が重度の障害者である。

有賀社長と田村工場長

2. 障害者雇用の経緯・背景

障害者雇用の経緯は、近くにある、知的障害者通勤寮「しろやま寮」（箕郷町）「水沢寮」（吉岡町）や、群馬障害者職業センターからの依頼が多い。職場体験2～3週間を経験した障害者の中から採用している。尤も「体力面」や「スピード面」で対応できない者が多い。職場体験を受け入れてくれる事業所が数少ない実情があるが、障害者法定雇用率1.8%を大幅に上回り、平成17年度障害者雇用優良事業所として、群馬県知事表彰を受賞した。

3. 障害者の従事業務・職場配置

障害者の従事業務は、外壁材加工に1名、フラッシュドア芯材加工に3名、内装造作材加工に3名、MDF材(圧縮ボード)小割り加工に3名である。具体的な業務は、外壁材加工プレスラインへの材料投入業務、フラッシュドア芯材材料の寸法あわせ業務、MDF材(圧縮ボード)材料投入、小割り加工後の選別、加工材料の受け取り業務などである。

MDF材（圧縮ボード）小割り加工作業

工場長の指示により間座寸法割出
作業

4. 取り組みの内容

（1） 職場の安全衛生対策

・職場内の暑さ対策として、従業員が脱水状態になりやすいため、休憩時間に関係なく水分補給をしている。我慢したり、発熱が少々あっても、また、トイレに行きたくても我慢してしまう傾向があるため、仕事振りや顔色をよく観察する必要がある。異常を感じたときは、職場の責任者の権限で作業を停止させている。

・安全対策としては、安全靴、手袋、防塵マスクなどの保護具の着用を義務付けている。また、木材加工用機械作業主任者業務、フォークリフトの運転などの就業制限業務など免許・技能講習が必要なものについては、有資格者に作業を限定している。

フォークリフト運転作業

・「早く」「すぐにやらなければ」という意識が先立つと、意識の範囲が狭くなりやすく、業務災害が発生しやすい傾向があるようである。仕事を急き立てる必要がある場面では、「急用」の指示を出さないことが重要になってくる。

・機械等の危険箇所への立ち入り禁止

機械のセット替えをしているときなどは、立ち入り禁止の看板を立てて、機械に接触することを防御している。

・機械のセット替えの際は、材料カス等の端材が足元に散らばっていることが多く、清掃をそのつど実施している。

（2）障害者の教育訓練対策

・まず心がけていることは、最終製品（製品の出来上がり状態）を見せて、今自分がしている作業がどのような位置づけにあるのか確認させることである。

・機械の名前の表示や、木工加工の専門用語など、分かりにくい表現も多く、ひらがな表示に努めている。

・使用する梱包道具、清掃道具を機械ごとに整理整頓させている。

・寸法を合わせる目安板（棒）を設置している。梱包作業の際には、梱包位置を指示する目安棒を使用している。また、フラッシュドア芯材材料の寸法あわせ業務においても、目安板を設置して自己判断しやすくしている。

目安板を使用しての寸法合わせ作業

目安棒を使用しての寸法合わせ
作業

（3）コミュニケーション対策

ボーリング大会、バーベキューパーティや年末の忘年会の開催により、職場の仲間作りを実施している。

5. 取り組みの効果

・ギャングカットソーによるMDF材(圧縮ボード)小割り加工作業などは、障害者が工場長の指示により間座寸法を割り出して、複数の刃物をセットし、自在に機械を扱っている。このことは、障害者の能力の高さを証明する一例である。

・障害者として就労していた従業員が、家庭を構えて、自立した事例も過去には存在する。

6. 今後の課題

・工場敷地が手狭になっており、フォークリフトの運転中、機械の騒音にフォークリフトの移動音（キンコンキンコン）がかき消されやすいため、移動音の変更や、回転灯表示の両面からフォークリフトの移動を感知できる仕組みにする必要があること。（一部すでに実施済み）

・予測しにくい業務災害が散見されるため、安全作業手順を作成していく必要性があること。

執筆者  ：  有限会社川上労務センター  社労士・診断士  川上  金四郎