人と人をうるおすコカ・コーラを目指して
1. 事業所の概要等
（1）事業所の沿革
1962年2月1日、千葉県野田市に利根飲料株式会社を設立した。
その後
1963年 利根コカ・コーラボトリング株式会社に社名変更
※本社を市川市に移転
1970年 茨城工場操業開始（茨城県土浦市）
1973年 本社を千葉県市川市から千葉県野田市（現在地）に移転し新社屋が完成
1996年 物流拠点として千葉ロジスティクスセンター稼働（千葉県八千代市）
1999年 ISO9002認証取得、現在の32事業所体制を確立
2001年 ISO14001認証取得、茨城工場及び製造部門をコカ・コーライーストジャパンプロダクツ株式会社に譲渡
2005年 調達・製造・物流をコカ・コーラナショナルビバレッジ株式会社に集約
関連会社として
・イトシア株式会社 ・EX-サービス株式会社 ・利根自動販売機サービス株式会社 ・利根物流サービス株式会社 がある。
主な事業は、コカ・コーラを中心とした清涼飲料水・スポーツ飲料・コーヒー飲料を千葉県、茨城県、栃木県にて販売している。
利根コカ・コーラボトリング株式会社が所在する野田市は千葉県の北西部にあたり、関東平野のほぼ中央に位置している。
前述の「ISO14001」の取得。コカ・コーラシステムにおける環境マネジメントシステム「eKO」への参画をすることによって、「環境への影響を軽減する活動」に積極的に取り組んでいる。
利根コカ・コーラボトリング株式会社の基本理念は「誠」である。全社員がこの「誠」の精神をもって活動している。
（2）障害者雇用の取り組み方
これまで障害者雇用に取り組んでいたが、法定雇用率1.8%を上回ることがなかった。しかし、2006年以降は2.1%と上回った。
現在、年に1名～2名を採用している。2007年度は正社員3名が中途障害になったが、仕事は続けられる状態であったので継続雇用した。そのため雇用率が上がった。
（3）業務内容の詳細
全国、北は北海道から南は沖縄まで12の地区割りを行い、北から数えて4番目が利根コカ・コーラボトリング株式会社で、千葉県、茨城県、栃木県の3県を管轄している。
災害時に非常用飲料水として缶入りミネラルウォーターを無料で提供できる「地域貢献型自動販売機の設置」について、自治体との協定を積極的に進めている。1980年より社団法人全国肢体不自由児・者父母の会連合会と協力して、各地の学校や公民館などの公共施設や公的場所へ「全肢連」のステッカー付自動販売機を設置し、その売上金の一部を「全肢連」等へ活動費として運用している。その他、様々な文化活動への支援を行っている。
コカ・コーラが信頼される地域社会の一員であるためには『責任ある企業市民』として、安心で豊かな地域社会づくりを重視しなければならない。コカ・コーラが掲げる「人と人をうるおす」理念に基づき更なるコカ・コーラが消費者の利便性を向上させるために社会貢献活動を行っていくこととしている。
2. 雇用形態等
（1）雇用形態
適性によって、年に1名～2名を採用している。ハローワーク・新聞・およびインターネット等で基本的には事務系を募集している。
14名の障害者のうち正社員が8名で事務系パートが6名である。全てフルタイム勤務である。在宅勤務者はいない。勤務成績の良好なパート従業員を契約社員にしたケースもある。
（2）労働条件（賃金・労働時間等）
・勤務時間はAM8:45～PM5:30 一部フレックスタイム制あり（標準労働時間7.75h）
・休日は年間休日120日 完全週休2日制(当社カレンダーによる)、年末年始、年次有給休暇（初年度10日、最高20日）、結婚休暇、特別休暇等障害者も健常者の社員と区別しない条件となっている。
3. 取り組みの内容等
（1）障害者の職場配置・作業工程
適性や能力に応じて配置しており、年1回正社員を対象に職務や勤務地の希望を自らが申告できる機会を設けている。また、全てが自己申告どおりになる訳ではないが、社員の考え・意思も尊重しながら人事異動を実施している。
（2）職場の環境［第1種作業施設設置等助成金活用（附帯施設）］
平成16年度から3度に亘り、助成金を活用し車いす対応の駐車場を整備した。現在では下肢機能が回復傾向にあり、健康のため歩いたほうが良いとのことで、車通勤に加え、歩行訓練をするまでになっている。
（3）能力評価
各種障害を持った方々を意識して様々な課に配置し、本人の能力開発を試みている。毎年、現在の仕事に対しての確認を各課の課長が本人との面接によって行っている。
（4）人的支援体制・教育訓練
会社では、より早く自立できるように、個人個人に極め細やかな指導を行っている。
本社には6名の障害者が勤務しているが、周りの社員も慣れてきて、サポート体制も自然に備わり円滑な人間関係が構築されている。
また、経営に必要な人材の育成とともに、社員各自のキャリア形成の観点から、自ら伸びようとする向上心を積極的に支援できる教育体系を推進しており、以下のようなプログラムを実施している。
● 新入社員研修
● 新入社員フォローアップ研修
● 安全運転講習
● 職務別研修
● 通信教育制度
● 資格取得支援制度
● コミュニケーション研修
● キャリアアップマネジメント基礎コース
（5）職場復帰・配置転換
現在まで3名が職場復帰している（そのうち1名は、内部障害者）。
業務の軽減を図るため各店を巡回する営業業務へ配置転換を行なった。また、下肢障害者は身体障害者手帳を申請し、新たに認定された。
（6）福利厚生・健康管理
社員寮、那須保険荘、財形貯蓄、住宅融資、共済会（慶弔見舞金・融資）、カフェテリアプラン、育児休業、介護休業、退職金
4. その他
利根コカ・コーラボトリング株式会社が、第1種作業施設設置等助成金（附帯施設）の受給を始めて受けたのは、平成16年3月11日であった。その後も社内障害者のために施設改修工事を続けている。
今後も障害者雇用を前向きに取り組む姿勢であり、「地域の方々に、私たちは何ができるのか」をコンセプトにしているため、日常生活を支援するのに必要な「ユビキタス」の実現を目指しているといえる。
執筆者 ： 有限会社東葛一級建築士事務所 所長 宮崎 輝紘 （1級建築士、障害者雇用推進技術顧問）
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