障害者雇用が当たり前になっている状態(=Benesse)を実現し、すべての人に「あってよかった」と思われる会社を目指す
- 事業所名
- 株式会社ベネッセビジネスメイト
- 所在地
- 東京都多摩市
- 事業内容
- 「ベネッセグループ障がい雇用推進室」を設置し、グループにおける障害者雇用促進の戦略的子会社として機能
- 従業員数
- 122名
- うち障害者数
- 73名
(内訳)
障害 人数 従事業務 視覚障害 5 オフィスサービス、マッサージサービス 聴覚障害 9 クリーンサービス、メールサービス、稲城制作センター(デザイン) 肢体不自由 14 クリーンサービス、メールサービス、オフィスサービス、人事総務、デザイン 内部障害 1 オフィスサービス 知的障害 39 クリーンサービス、メールサービス 精神障害 5 オフィスサービス - 目次

(ベネッセコーポレーション
東京ビル18F)
1. 事業所の概要
会社設立 | 2005(平成17)年2月2日 | |
事業開始 | 2005(平成17)年4月1日 | |
資本金 | 5,000万円 | |
株式会社ベネッセコーポレーション | 94% | |
株式会社テレマーケティングジャパン | 2% | |
株式会社ベネッセスタイルケア | 2% | |
株式会社パーソンズ | 2% | |
本社所在地 | 東京都多摩市 | |
岡山事業所 | 岡山県岡山市 |
(1)事業の特徴
ベネッセグループは、障害者雇用促進の戦略的子会社として当社を設立するとともに、親会社ベネッセコーポレーション、テレマーケティングジャパン、パーソンズ、ベネッセスタイルケア及び当社の5社をもって雇用率のグループ適用の認可を受けている。その中にあって、各社の障害者雇用の実績を着実に上げていく仕組みづくりと具体的なバックアップを行っていくため、当社内に「ベネッセグループ障がい者雇用推進室」を設置しているところに特徴がある。
<コメント>
「ベネッセグループ障がい者雇用推進室」の活動内容は、
①各社の目標達成に向けた進捗状況の管理
②理解促進のための啓発・情報提供・促進会議の運営
③グループ各社のノウハウ共有の仕組みづくり
④各社の課題解決ニーズに応じた協力・支援
⑤目標達成のための各種制度の導入
などであり、当社がグループ全体として障害者雇用を促進していくための「戦略的子会社」と位置づけられている。
(2)経営方針
グループとしての基本方針は、多様な人材を受け入れられる風土、障害者雇用が特別なものではなく、当たり前になっている状態(=Benesse)の実現である。グループ各社が単体で計画達成を目指すとともに、特例子会社である当社がトータルで法定雇用率に満たない分を補完或いはプラスオンしていくことを基本とし、そのために、各社単体で障害者雇用のベースを確立し定着させていく努力を継続し各社の雇用ノウハウを作ること、及び当社へのアウトソーシング化の促進と新たな職域の開発に努めることを推進している。
(3)組織構成 ※平成20年4月

(4)障害者雇用の理念
ベネッセ(Benesse)は、Bene(よい、正しい)とesse(生きる、暮らす)を一語にした造語で、「前向きに人生を謳歌する、人間味豊かな生き方」を象徴的に表現している。社名にも象徴されるこのような基本理念に立って当社を設立した経緯は、親会社の取締役会で確認された「特例子会社設立の主旨」において明らかである。
〔特例子会社設立主旨〕
働く意思と能力を有する障害者に対し、雇用の機会ならびに能力発揮の場を継続的に提供し、職業的自立と社会参加の支援を行うことは、これからの企業の重要な「社会的責任」であり、また、「人の‘よりよく生きる’を支援する当社にとって不可欠の取組みであるといえる。
人権に配慮し、社会的責任を高いレベルで果たす会社を目指すベネッセグループとして、より積極的に障害者雇用の創出を図るため、特例子会社を設立するものとする。
2. 障害者雇用の経緯・背景
ベネッセグループ各社の障害者雇用率は、かつては法定雇用率を下回っており、さらに業態によっては、今後の規模の拡大に比例し、不足数も増大する懸念があったため、ベネッセグループの「企業理念」に照らし合わせても、グループとして障害者雇用を積極的に推進する仕組みを作る必要があると考えた。
3. 障害者の従事業務、職場配置
(1)事業内容
①クリーンサービス
ベネッセコーポレーション社屋清掃と廃棄物処理(分別回収)、重要書類のシュレッダー処理、会議室セッティングなど
②メールサービス
郵便物、定期便の仕分けとフロアデリバリーサービス
③オフィスサービス
ベネッセコーポレーション「入退室ICカード」発行及び管理業務
印刷消耗品(封筒・紙袋など)の在庫管理・発注業務、図書館からの一部受託業務
④マッサージサービス
ベネッセコーポレーション従業員に対するマッサージサービス
⑤図書館サービス
ベネッセコーポレーション社屋内図書館運営管理サービス
⑥人事・総務、経理
ビジネスメイトの採用・教育研修、給与・労務管理など人事業務
予算管理・出納など経理業務
社内ルール整備・ハードとソフト両面での職場改善など総務業務
⑦ベネッセ稲城制作センター
デザイン分野での障害者の職域拡大、能力開発
(グラフィック・デザイン、Webデザイン、各種プリントなど)
⑧岡山事業所
上記各業務のうち、クリーンサービス、メールサービス、オフィスサービス、図書館サービス業務




(2)障害別従事業務、職場配置 (※平成20年2月現在)
視覚障害 | 聴覚障害 | 肢体不自由 | 内部障害 | 知的障害 | 精神障害 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クリーンサービス | 0 | 1 ※言語 |
2 | 0 | 11 | 0 | 14 |
メールサービス | 0 | 3 | 1 | 0 | 15 | 0 | 19 |
オフィスサービス | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 5 |
マッサージサービス | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
図書館サービス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
人事・総務 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
稲城制作センター | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
岡山事業所 | 0 | 3 | 6 | 1 | 13 | 4 | 27 |
計 | 5 | 9 | 14 | 1 | 39 | 5 | 73 |
4. 取り組みの内容
(1)当社は、経営トップの理解のもと、ベネッセグループとして積極的に障害者雇用の創出を図るため、特例子会社(当社)を設立するとともに、障害者雇用が進んでいなかったグループ内の3社を含めた5社によるグループ適用を当初から活用している。
そして、障害者雇用の促進には職域(仕事)の確保が不可欠のため、「親会社が外部に委託していた業務を引き上げて特例子会社に発注する」ことを基本としつつ、順次独自の事業も取り入れていくこととした。
推進に当たっては、毎月雇用状況を共有化する月報の運用とともに、定期的に各社の社長・担当役員などによる定例の会議を開催し、グループ担当者が集まるセミナー等をとおして、知識、情報、ノウハウの共有と協力体制の検討・確認を行っている。
(2)具体的な取り組みの内容
①職場配置(基本的な考え方、配慮など)
・職種ごとに採用、配属。
・知的障害者は業務指導を行う指導員を配置している職域へ配置。
・面接時に、障害の内容、配慮が必要なことを本人から教えていただき、その内容を踏まえ受け入れ態勢を整えている。
②職務内容・作業工程に関する工夫・配慮
・障害によりどうしても求めるレベルに限界がある場合は、本人のできる範囲を考慮した業務再設計や複数人で仕上げていく業務フローを考えるなどの工夫をしている。
③労働条件(賃金等)について貴社の特色といえる事項
・職種、等級に応じた給与体系
・基本給は年齢給と職能給で構成。
・職能給の割合を高くし、評価が、賞与、次年度昇給に反映される仕組み。
④職場環境の改善
・車いす使用者が使用しやすい棚割り
・聴覚障害者が勤務する職場には、振動や信号でサインを送る就労支援機器を設置。
・安全衛生委員会の活動により、職場環境は適正に保つよう改善している。
⑤能力開発のために行っている研修その他の工夫・配慮
・等級、階層、役割に応じた研修以外に、障害特性を踏まえ、障害部位を単位にした専門技法を取り入れた研修も実施。(SSTを取り入れた知的障害者向けマナー研修、コミュニケーション研修、聴覚障害者向けマナー研修など)
・親会社のベネッセコーポレーションの研修も一部参加。
⑥人的支援、社内体制
・第2号職場適応援助者の配置をし、特に知的障害者の業務習得サポートを図るために、指導員を選任。随時、障害者職業生活相談員資格取得を推進。
・第2号職場適応援助者、部門管理者、現場指導員で、障害者の職場定着支援を行う連携体制を敷いている。
⑦福利厚生、健康管理
・住宅手当制度、共済会制度有り
・産業医面談の実施
・健康保険組合の諸制度利用による健康増進の取り組み
⑧家族・関係機関との連携
・知的障害を持つ従業員の家庭との連絡ノート、メールの活用
・ハローワーク、障害者職業センター、地域就労支援機関、養護学校とは、常に必要な情報提供、採用~雇用継続に至る過程での支援体制を構築。現在、連携をとっている就労支援機関は10機関に及んでいる。
5. 取り組みの効果、障害者雇用のメリット
・雇用率の改善及び納付金の大幅削減
・ベネッセ本体従業員との交流が自然にある環境のため、障害者に対する理解や障害者雇用に対する啓発がナチュラルなかたちで浸透、広がっており、多様な人材が活躍できる風土が醸成されてきている。
・地域の養護学校卒業生などの雇用の場の提供が図られている。
・ベネッセグループ各社の障害者雇用に対する意識が向上できつつあり、取り組みも具体化してきている。
6. 活用した制度・助成金等
・特定求職者雇用開発助成金
・第1種作業施設設置等助成金
・業務遂行援助者の配置助成金
・第2号職場適応援助者助成金
・手話通訳担当者の委嘱助成金
7. 今後の課題
・グループ各社及びグループトータルでの安定した雇用の仕組みづくり
・障害者雇用を推進していくに伴い、雇用している障害者がやりがいを持って会社に定着できるようにしていくこと。具体的には、知的障害者、精神障害者の雇用ノウハウのレベルアップや指導員の指導力アップなどが課題
・新しい職務開発
執筆者 : 社団法人日本経営者団体連合会 障害者雇用推進室
障害者雇用アドバイザー 畠山 千蔭
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