精神障害者の職場復帰支援
- 事業所名
- ユニー株式会社北陸本部
- 所在地
- 石川県金沢市
- 事業内容
- 衣、食、住にわたる各種商品の小売を行っている総合スーパーで、北陸で17店舗を展開している。
- 従業員数
- 2,225名
- うち障害者数
- 29名
障害 人数 従事業務 視覚障害 0 聴覚障害 2 ドライ食品の品出し、精肉加工、加工品の品出し 肢体不自由 11 ドライ食品の品出し、経理事務、検収事務 内部障害 8 ドライ食品の品出し、衣料品・リビング用品の販売 知的障害 6 青果の品出し、販売 精神障害 2 カート回収、整理 - 目次
1. 事業所の概要
当社における障害者の雇用状況は下表のとおりで、障害者の雇用を進めるとともに、その職場定着を図り雇用継続を重視した雇用管理を実施している。
以下、障害者の職場復帰支援の取り組みについて紹介したい。
障害名 | 雇用数 | 職務内容 |
---|---|---|
身体障害者(聴覚) | 2 | ドライ食品の品出し、精肉加工・加工食品の品出し |
〃 (肢体不自由) | 11 | ドライ食品の品出し、経理事務、検収事務 |
〃 (内部障害) | 8 | ドライ食品の品出し、衣料品・リビング用品の販売 |
知的障害者 | 6 | 青果の品出し、販売 |
精神障害者 | 2 | カートの回収と整理 |
2. 職場復帰支援プログラムの実施
当社においては、従業員の職業経験を生かすため休職者に対して、次ぺージの「職場復帰支援プログラム」に基づく職場復帰支援を実施している。その概要は以下のとおりである。
(1)職場復帰支援プログラム実施の対象者
① 身体的疾患又は心因性疾患により長期の欠勤又は休職が必要な従業員であって、同プログラムの実施による職場復帰を希望する者
② 業務災害、通勤災害により長期の欠勤又は休職が必要な従業員であって、同プログラムの実施による職場復帰を希望する者
(2)職場復帰支援プログラム実施の基本的な考え方
① 疾病等により長期の療養等が必要となる従業員については、過去の勤務実績及び会社の本人に対する期待度等を考慮して休職期間を付与し治療に専念できるよう配慮する。
② 休職者は早期の職場復帰に努めるものとし、事業所は職場の従業員に対して十分な説明を行ったうえ理解を求め、休職者の職場復帰に向けた職場環境・条件の整備に努める。
③ リハビリ出勤を実施する場合にあっては、その運用基準をつくり必要な環境整備を行う。
④ プログラムの実施にあたっては、人事部を中心に、所属長、保健師、衛生管理士、産業医等が連携してその効果的な実施に努める。
3. 職場復帰支援プログラムの内容
当社の職場復帰支援プログラムは以下のとおりであり、これに基づいて、対象者の意思、疾病の状態、職場の状況等を総合的に勘案したプランを選択し、適切な支援を行うこととしている。
ステップ | 項目 | 概要 | 詳細内容 |
---|
1 |
休職の申出 |
①傷病・勤務状況確認 |
①診断書の提出 |
2 |
現状報告 |
休職中の現状報告 |
本人より、休職中における現況報告と診断書の提出(月1回) |
3 |
職場復帰の申請 |
本人の職場復帰の意思確認 |
医師の「診断書」及び「職場復帰に関する情報提供書」(治療の経過、就労についての意見等)を提出 |
4 |
職場復帰の判定 |
職場復帰のための情報の収集と判定会議の開催 |
①復帰に向けた情報収集 ・就業可能かどうか
・職場環境への適応レベル ・「職場復帰面談記録」の作成
②復帰判定会議の開催 |
5 |
職場復帰支援プランの作成 |
職場復帰支援プランの作成 |
①職場復帰支援プランの作成 |
6 |
職場復帰の実施 |
①職場復帰の最終確認 |
①対象者に対する最終確認 |
7 |
職場復帰状況の検証 |
①健康状況の確認 |
①病状の確認、再発等の有無を確認 |
4. 職場復帰支援プログラムを活用した例
平成19年6月、本部人事部に対して、A店の店長から男性管理職の1人が欠勤がちとなり仕事上のミスも目立ち、情緒不安定な状態であるとの報告がなされた。
このため、本部マネージャーと保健師がA店に赴いて本人と面談を行った。
本人は、几帳面で温厚かつ社交的な性格であるが、数ヶ月前から、仕事に集中できないようになったとの訴えがあったことから、専門医のカウンセリングを受けることを勧めメンタルクリニックを紹介した。この結果、精神疾患(軽度うつ病)との診断が下され、当分の間休業のうえ通院治療を行うこととなった。
7月の通院治療の開始とともに、人事部から本人に対して、事業所としては職場復帰を期待しており、その実現のため「職場復帰支援プログラム」による復帰の支援を行いたい旨説明した結果、後日、家族とも相談のうえ復職を希望するとの意思表示があり、プログラムの実施に取り組むこととなった。
2ヶ月間、治療に専念したところで、医師の就労可能との所見を得たことにより「職場復帰判定会議」を開催して職場復帰支援プランを策定し、本人の同意を得るとともに、所属の職場に復帰支援を行う旨の説明を行った。
職場復帰支援プランにおいては、9月からリハビリ出勤を開始し、おおむね6ヶ月後の完全復帰を目指すこととしたが、その概要は以下のとおりである。
(1)リハビリ出勤における就労時間と勤務日数
第1段階は、1日5時間、週4日勤務とし、2週間継続する。
第2段階は、1日6時間、週5日勤務とし、2週間継続する。
第3段階は、1日7時間、週5日勤務とし、2週間継続する。
第4段階は、1日8時間、週5日勤務とし、2週間継続する。
第5段階は、1日9時間、週5日勤務とし、2週間継続する。
第6段階は、1日9時間、週5日のシフト勤務とする。
(2)リハビリ出勤における業務内容
リハビリ勤務を行う部署は休業前と同様とし、業務をレベル1からレベル6に設定して、当初は、物品の検収、伝票管理、日報作成、清掃から開始し、就業時間に合わせて徐々に業務を追加しレベルアップをすることとした。
(3)リハビリ出勤のフォローアップ
リハビリ出勤の状況については、職場の管理者が常にチェックし必要なフォローを行うとともにその状況を記録し進捗状況を把握する。また、必要により本部人事部によるフォローアップを行い職場復帰計画の円滑な推進を図る。
(4)期間中のヘルスケア
リハビリ出勤に併せて通院治療を行う必要があることから、月2回の通院に支障のないよう休日を設定し、病状について、毎月本人から報告を求めることとした。
これらの職場復帰支援に使用している支援プラン等の書式は別表のとおりであるが、これに基づく復帰支援の実施によって、本人の職場復帰が順調に進んでおり、完全復帰の日もそう遠くないと思われる。
5. おわりに
職業生活において不安や悩みを抱えてストレスを訴える労働者が増加しており、当社においても同様の傾向にあるが、労働者の職業経験を生かしその雇用を継続するため、引き続き従業員の職場復帰支援に取り組んでいきたいと考えている。




執筆者 : ユニー株式会社 北陸本部 業務人事部 保健師 笹尾 洋子
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