事業所名

株式会社デイリーはやしや

所在地

長野県松本市

事業内容

コンビニエンスストア向け弁当・惣菜・デザート等の企画開発・製造

従業員数

824名

うち障害者数

15名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	8	弁当盛付作業、パンのカット作業、寿司巻作業
内部障害	2	受注事務作業
知的障害	5	パット洗浄作業、商品仕分け作業、おにぎり工程サポート
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・背景
3. 取り組みの内容
4. 今後の期待と効果

事業所外観

1. 事業所の概要

昭和39年5月に創業した当社は、平成3年4月、北アルプスを一望できる松本平の西南にある臨空工業団地内に本社新工場を設立現在に至っている。

惣菜と米飯の製造販売からスタート、昭和51年に長野県中南信地区のセブン・イレブンに納品を開始、以来長野県、山梨県、新潟県、静岡県のコンビニエンスストア向けに弁当・おにぎり・調理パン・軽食・惣菜・デザートの製造、販売を業務としている。

「美味しく、安全な商品作り」を社是に掲げ、「また食べたい」という新商品の開発に力を注ぎ、盛付にも工夫を凝らす清潔感溢れる事業所である。

2. 障害者雇用の経緯・背景

障害者雇用にいまひとつ確信を持てていなかった当社は、松本公共職業安定所の案内もあり、平成19年度の「障害者雇用推進セミナー」に出席。民間事業主の事例発表と松本障害者雇用支援センターの知的障害者の活動状況発表及び長野県松本技術専門校の障害者職業訓練コーデネーターの活動発表に強い関心を持つこととなり、これをきっかけに大きな意識変化をすることとなる。

「障害者雇用について」周囲の支援があること、無給でも職場実習を受け入れることができること、障害者雇用制度が活用できる等、従来確信が持てなく不安に思っていたことが一気に払拭される機会となった。それからの当社の行動がすばやかった。

一番問題に思っていたことに「障害の程度」がわからなかったこと。これについて、松本障害者雇用支援センターの訓練指導員の協力を得、見学することになった。

松本障害者雇用支援センターの見学を通して

・知的障害者が充実した基本的職業訓練を受講していること
・社会人としての基本をきちんと教育していること
・その訓練・教育が、毎日毎日繰返し継続されていること
・当社に勤めてもらっても安心して採用できること

を、確信した。

更に、「障害の程度」がわからなかったことについては、

・障害者に当社の見学をしてもらい、
・当社で障害者本人が何ができるか
・当社としては、どんな仕事が提供できるか

を、全社的に考える時間を持ち、その不安を払拭していった。

3. 取り組みの内容

○重度知的障害者Aさんの実習体験

障害者民間活用委託訓練事業（実践能力習得訓練コース）を活用し、受け入れた。

事業主側の受入としては、既成概念に囚われず、部門別に障害者でも担当できるを開発し、第2事業所の「商品の仕分け作業」となった。

担当職務は、商品の仕分け作業であり、一組6人体制（仕分け作業3人、洗浄作業3人）、惣菜、デザート等の注文数をストアー別にトレイに仕分け配布する任務とした。

実習体験中の主テーマは、「数をしっかり覚えよう」とした。

実践したこととしては、次のとおり

・出退社時の挨拶励行
・上司に対するハキハキした応対（報告、質問、確認）
・数をまちがえない（1食品30ケ以上だと戸惑いがある。）
・清潔感ある服装
・父母との連絡帳の作成（会社での本人の仕事内容の理解のために）

※ここで、松本障害者雇用支援センターでの訓練・教育が発揮された。センター指導員のフォローアップもあった。事業所内の健常者へも、Aさんの挨拶等を通して、社会的マナーがしっかりしていて、雰囲気が明るくなったという波及効果の声も聞かれた。

実習体験後の当社の感想としては、次のとおり。

・障害者の雇用のための制度がこんなに良く充実されていることを知らなかった。
・障害者雇用に不安を持っている企業は、まず、関係機関の見学をお勧めする。
・自分だけで考えるのではなく、地域の専門機関（支援機関）、人との接触を持つこともよい。

商品を仕分けしているAさん

仕分けされたトレイの確認をするAさん

きれいに整理されたトレイの中

一日の時間配分を記したポスター

4. 今後の期待と効果

松本障害者雇用支援センターの活動が、今回の取り組みに対して効果的に働いたと言える。

このように障害者雇用に関する支援機関の活用は、障害者雇用の推進に今後も大きな期待が持たれている。

一方、事業主が受入れ部署を検討する際に、その判断材料となる情報として、障害特性に関するものだけでなく、作業遂行等の適性に関する情報も提供できないかという課題の提案があった。

仁科清司取締役管理部長（総務・人事担当）

今回の活動を通して

①  障害者に対する理解が深まったこと。
②  支援機関の活用がすべての障害を払拭してくれたこと。
③  結果的に障害者雇用率を達成できたこと。

が報告された。

執筆者 ： 社団法人長野県雇用開発協会  障害者業務部
障害者雇用アドバイザー  遠山  亨