壊すことの中に見出した障害者雇用の場
~社会貢献とビジネスの両立を目指して~

2007年度作成
事業所名
木村メタル産業株式会社
所在地
愛知県小牧市
事業内容
非鉄金属の回収・加工・販売、OA機器リユース・リサイクル
従業員数
68名
うち障害者数
20名
 
障害人数従事業務
視覚障害0 
聴覚障害0 
肢体不自由3パソコン入力、ジョブコーチ補助
内部障害0 
知的障害17OA機器解体作業
精神障害0 
目次
  1. はじめに
  2. 事業所の概要
  3. 障害者雇用の経緯
  4. 障害者雇用を進めるための取り組み
  5. 障害者雇用を進めた効果
  6. まとめ

5. 障害者雇用を進めた効果

障害者雇用を始めた頃は、無理解から、「安い労働力をつかっている」などと心ない言葉をかけられ、歯がゆい思いをしたこともあったそうだ。しかし、今では、「木村メタル産業に行くと、あいさつが元気で気持ちがいい」と言われるほど、周囲の会社やお客様の認識も変わったという。また、産業廃棄物処理業ということで、工場の立地に関してとかく敬遠されやすい業種であるが、障害者雇用を進めたい自治体との思いとも重なり、工場建設などで理解が得やすかった。そして、障害者の可能性を信じ、育てるという視点で社員教育を行ってきた成果として「まじめにこつこつと仕事をする」決して健常者に負けない安定した労働力の確保ができた。

6. まとめ

年々大手企業を中心に障害者法定雇用率は上向きになっている。しかし、ミスマッチによる離職が高いことは、あまり多く語られていない。障害者雇用率の未達成企業の企業名公表等で企業に対する行政指導が厳しくなっている。単なる数あわせの無理な雇用が行われていないかが気に掛かる。雇用が上向きなことは大変喜ばしいことであるが、障害者が生涯に亘って夢と希望をもち、意欲的に働く環境が整えられることを祈るばかりである。そんな中、木村メタル産業の取り組みの中で、一番評価できることは離職者がほとんどいないということである。これは「どうすれば無理なく最大限の能力を引き出すことができるか」という難題に対する試行錯誤の中で編み出した木村メタル産業独自の雇用システムによるものに他ならない。単なる社会貢献ではなく、ビジネスとして両立することも、障害者が労働意欲を見出す重要なポイントである。

社長の現在の夢は、ジョブコーチを中心とした障害者のチームを増やし、それぞれの障害者が切磋琢磨する中で成長する。こんなチームだけで一連の工程を分担し、こなすことができる工場を作ることだそうである。

木村メタル産業の挑戦が今後の新たな障害者雇用のモデルケースとして大きく発展することを願ってやまない。


執筆者:愛知県立港養護学校  高等部生徒指導主事  河合  健太郎