事業所名

株式会社ワールドビジネスサポート

所在地

兵庫県神戸市

事業内容

各種事務業務請負、人材派遣事業、社内食堂・喫茶事業、マッサージ事業、清掃事業、他

従業員数

383名

うち障害者数

127名

 

（内訳）

障害	人数	従事業務
視覚障害	6	ヘルスキーパー
聴覚障害	14	事務
肢体不自由	49	事務
内部障害	2	事務
知的障害	54	事務補助、調理補助、清掃、物流補助
精神障害	2	事務

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用、特例子会社設立までの経緯、背景
3. 障害者の雇用状況
4. 取り組みの内容
5. 最後に

1. 事業所の概要

ワールドビジネスサポートは、親会社である株式会社ワールドの事業部門及び各グループ会社が、市場において「勝ち続ける組織であるために」必要とするさまざまなサービスや、プロフェッショナルな業務機能を提供し、グループ全体の「生産性の最大化」を実現するサービスセンターとしての使命を担っている。

その中でワールドグループの特例子会社として、企業の社会的責務である「障害者雇用」についても積極的に取り組み「社会貢献」を果たすことも、もうひとつの大きな使命である。

その使命を果たすために、最も重要なのは「人財」である。私たちは、この「人財」の育成を念頭に置いた組織運営を行うため、基本理念として、次の3つのキーワードを掲げている。

（1）「プロ集団」

一人一人が業務の効率化を図り、生産性を追求するプロフェッショナルであること、そして顧客視点に立ったサービスが提供できる「プロ集団」であること。

（2）「ノーマライゼーション」

社員の誰もが能力を発揮でき活躍できること、働く「喜び」と「やりがい」を実感できる職場環境づくりを目指して「ノーマライゼーション」のスローガンのもと、全員参加の意識を高めている。

（3）「チームワーク」

働く仲間が共通の目標に向かってそれぞれの役割をきっちり果たす、「ONE FOR ALL」  「ALL FOR ONE」の精神で「チームワーク」を大切にしている。

この基本理念に基づいて、既存の事業は勿論のこと、新しい分野にも積極的にチャレンジし、常に信頼されるビジネスパートナーとして「価値創造企業グループ」の一躍を担うとともに、チャレンジド（障害者）と協働して、「仕事の感動を創造する企業」を目指している。

2. 障害者雇用、特例子会社設立までの経緯、背景

ワールドグループの事務系業務で分散していたものを一箇所に集約し業務の効率化を図ろうとした。その事務系業務では障害のある人が働いており、結果としてワールドビジネスサポートに集められた。

さらに事務系業務を「核」となる事業として、グループ全体の「生産化の最大化」を推進していくため、社内の支援業務的な位置づけとしてだけではなく、業務に対する事業意識・顧客意識を持って、主体的に業務を遂行できるプロ集団として環境整備すると同時に、企業の社会的責務である障害者雇用の促進についても、グループとして積極的に取り組んでいくため、特例子会社の認定の取得を視野に入れ、2004年4月1日付けで株式会社ワールドビジネスサポートを設立した。（2004年5月13日付けで特例子会社として認定）

3. 障害者の雇用状況

株式会社ワールド本社ビル内の神戸と東京に事業所をおくワールドビジネスサポート。100名を超す障害のある人たちが、主には株式会社ワールド本社ビル内での「事務系」に身体障害者、「社内食堂や社内清掃、物流補助」に知的障害者が配置されている。

また、東京都杉並区では公共施設が運営する喫茶事業3店舗の経営を引き継ぎ、小売事業運営のノウハウを生かし知的障害者の職域開発に取り組んでいる。

4. 取り組みの内容

（1）求人から採用まで

採用にあたっては、安定所に求人票を提出し

・書類選考を行い個別面接のうえ採用

・管理選考会を安定所でおこなう

・合同面会において選考

採用する側としては、管理選考や合同面接会では多くの人を面接しその場である程度選考するとなると基準があいまいになり選考しづらい。

採用のポイントとしては、職種とのマッチングを第一に考えて採用する。

個別面接の場合には支援者（障害者就業・生活支援センター、施設、作業所、特別支援学校）から本人の人となりや障害の特性を充分に聞き取ることができ、施設や支援機関に訪問したうえで選考できるので、職種とのマッチングもできやすいと感じている。

管理選考や合同選考会での採用については、採用までにコミュニケーション能力を選考基準とした複数の選考実習（1週間）を行っている。そのうえで、一般の中途採用者に2ヶ月の試用期間を設けているのとあわせて2ヶ月間のトライアル雇用期間を設けている。

（2）人材育成

それぞれの個々の性格や特性などを考慮しながら、障害の有り無しで囲ってしまうのではなく「やれることをやってもらう」から「やるべきことをやってもらう」へ2～3年かけて移行していることが、様々なハンディキャップにとらわれることなく、やる気、成長意欲のある人が、チームを構成しそのチームワークを重視して成果につなげている。

特に知的障害者へのとりくみとして社員食堂での調理補助、社内清掃を行っており、障害があるから「やれることをやってもらう」から、社員であるから「やるべきことをやってもらう」とベテラン社員の指導の下、無駄のない動きが実践されている。

社内食堂で働く知的障害者達

5. 最後に

会社を設立したきっかけが「障害のある人を雇用するために」という理由だけではなく、事務系業務の効率化から始まっているために、働いている皆さんも就労に対する意欲が高く、事務所内や食堂内、清掃事務所においてハンディキャップを感じさせないプロフェッショナルさを感じることが出来た。また、採用側も「採用時の職場実習が終わってからが企業の勝負です」とおっしゃるように支援機関に対しては、障害特性を伝える通訳者としての役割を求めており、意識を変えたり技術を向上させるのは企業の役割であるとはっきりとしている。このように「特例子会社」であっても、支援機関や障害に依存せず、企業も社会資源の一つであるといった会社の基本姿勢が印象的であった。

執筆者  ：  財団法人姫路市障害者職業自立センター

就労支援ワーカー    森田  眞弓