2007年度作成

事業所名

社会福祉法人広島県肢体障害者連合会宇品印刷授産場

所在地

広島県広島市

事業内容

社会的弱者（障害者・母子家庭の子女・低所得者等）に印刷業を通しての雇用による自力・自活の促進（オフセット印刷全般）

従業員数

31名

うち障害者数

20名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	19	総務事務1名、営業2名、制作・製版工程7名、印刷工程5名、仕上げ（ミシン、裁断、梱包）4名
内部障害	0
知的障害	1	梱包・仕分け等
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 取り組みの内容
3. 障害者雇用促進への提言

1. 事業所の概要

（1）事業所の変遷

昭和26年2月、戦争障痍者自らが、印刷業を通して「自力・自活」を目指し、任意団体として発足。昭和32年12月に社会福祉法人広島県肢体障害者連合会として設立し、現在に至る。

（設置経営施設）

(1) 指定身体障害者授産施設     セルプ宇品（入所）      定員60名

(2)                   〃                            〃       （通所）      定員20名

(3) 社会事業授産施設        宇品印刷授産場(通所)       定員30名

（2）社会事業授産施設の概要

当施設は、社会福祉法第2条に規定する施設で、身体の不自由な人、並びに世帯の事情により職業能力の限られている要保護者に対し就労の場を与えて自立更生と社会参加を促すことを目的としている。

法人・施設設立以来、印刷事業に関わる者は全て、障害の有る無しに関わらず「共に主体者」として、協働して事業運営に当たることを基本にしている。

（3）運営方針

障害を持つ人等がその能力を印刷事業に活用し、地域・社会に積極的に参加できるように努める。

障害は多種多様であっても共通して言えることは、自分の能力で働き地域・社会に参加できる喜びである。地域社会の温かい援助、技術協力等により地域・社会に役立つように努める。

2. 取り組みの内容

（1）事業内容

印刷（オフセット印刷）に関する全般（パソコン等による版下作成、スキャナー、CTP、デジプレートによる刷版作成。PS、シルバーマスターによる印刷。製本・製冊、裁断、仕上。）

※新しい機械の導入により、短納期・低コストに取り組んでいる。

（2）雇用条件等

正社員雇用（労働関係法適用、最低賃金以上）

（3）就労状況

印刷業の作業特性を踏まえ、各自の作業能力及び障害特性等を考慮した上で、印刷各部門・工程での就労を基本にして配属している。

以下、業務別内容である。

①総務(事務)・管理部門：身体障害者1名
②営業部門：身体障害者2名
③製造部門：

ア. 制作・製版工程：身体障害者(車いす使用者等)7名

イ. 印刷工程：身体障害者4名、高次脳機能障害1名、計5名

ウ. 仕上工程：身体障害者4名、知的障害者1名、計5名

（4）雇用促進と業務改善

当事業所の社会的使命である、「障害者等社会的弱者」を広く受け入れて、「自力自活」を実現してもらうために、一般企業では日常的に行われている業務改善を、「コスト低減委員会」「作業標準化委員会」「環境・設備保全委員会」の3つのプロジェクトで行っている。

尚、各委員会は各部門・作業工程からの全員参加で構成されており、各委員会は、障害のある人無い人相互が、同じ視点・立場からアプローチして問題解決、課題の克服に取り組んでいる。又、この様な取り組みが、より業務改善の実効を上げる近道であり、雇用促進にも役立っている。

3. 障害者雇用促進への提言

当事業所においては、設立の理念及び社会的使命により、その対象者は単に障害者だけでなく、所謂「社会的弱者」全般に門戸を開いて今日まで印刷事業を通じて事業運営を行って来たが、その課程において、全ての部門で障害者だけの作業工程は成り立たず、健常者との協働作業こそが事業運営を効率的・円滑に遂行できるということに確信が持てた。そして、その基本は昨年国連において採択された「障害者の権利条約」の中に示されている「合理的配慮」に尽きる。このことは事業者が前向き・積極的に取り組めば障害者雇用は事業運営に取って決してマイナスではなく、むしろプラスの方向に行く。又、そのことはハローワークや高齢・障害・求職者雇用支援機構等が進めている各種助成金制度等の活用をとおした障害者雇用の促進に応えることでもある。

当事業所でも、昨年来障害者職業センターやハローワークのバックアップを受け、障害者雇用に関わる助成金制度を活用し、「高次脳機能障害者」等の雇用に取り組んでいる。

しかし、社会福祉の範疇でなく一般企業での雇用が「ノーマライゼイション」に適った雇用の真の姿である。

執筆者  ：  社会福祉法人  広島県肢体障害者連合会
評議員 施設長  北乘  吉道(kitanori yoshimichi)

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