2007年度作成

事業所名

タイヨウ株式会社

所在地

香川県高松市

事業内容

貸おしぼり製造・レンタル、他にOA機器販売、飲食店（うどん店）など幅広い業務展開を行っている

従業員数

83名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	6	工場内における仕分・洗浄・包装等の軽作業
精神障害	1	工場内における仕分・洗浄・包装等の軽作業

目次

1. 取り組みの背景
2. 取り組み事例
3. まとめ

1. 取り組みの背景

当事業所は業務用の貸おしぼりや貸タオルの県内主力企業である。前身であったクリーニング店のノウハウを生かし、飲食店や各種宿泊施設を中心に、幅広い取引を誇っている。現在ではコンピュータ関連事業や飲食店経営など、業務の多角化を図っている。

障害者雇用に関しては長い歴史をもち、長年の勤続を誇る障害者もいる。当事業所は法定雇用率を大幅に上回っており、法令遵守という観点から障害者を雇用するというスタンスではない。障害があっても生かすことのできる能力を発揮してもらいたい、また、そのような場を提供したという経営者の思いのもと、現場も一体となって障害者雇用を進めている。

平成19年度には障害者雇用優良事業所として、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長表彰を受賞した。

2. 取り組み事例

（1）実習などを活用しての職場配置

・障害の状態、程度などに応じて、職場配置を決めている。ハローワークや養護学校を通じての採用が多いが、特に養護学校出身者については在学時より実習などを通じ、仕事を体験してもらっている。

・職場実習期間において適性などを見極めて配置しているが、能力などに応じて配置転換するなど、各人の能力を最大限に発揮できるように配慮している。

・養護学校在学生の職場実習期間中は毎日、学校の先生も付き添ってくれている。また、実習以前に養護学校生徒の職場見学も受け入れており、職場に対する理解を深めてもらうとともに、事業所・学校の連絡も密にしている。

・就職後もケアマネージャーが親身になって教育指導の手助けをしてくれており、仕事を習得するまでに時間がかかっても周囲が温かい目で見守り、与えられた職務をこなしていけるよう配慮している。

（2）管理者によるケア

・当事業所では専務取締役を筆頭に、工場長など複数の障害者職業生活相談員がおり、業務面だけでなく日常生活などについても障害者の相談やケアにあたっている。

・普段から障害者と接していく上で、障害者職業生活相談員講習が非常に大きな動機付けとなったとともに、様々な面でプラスともなっている。

・現場においては工場長をはじめとした管理者が障害者の指導監督にあたっている。特に夏場の工場内は非常に高温となるが、障害者はもくもくと仕事をしてくれる。ただ、管理者が十分注意し、脱水症状などを起こすことがないよう、水分を摂取させるなどして、健康面にも留意している。

・障害者間においても先輩社員が後輩社員の面倒をみるなど、新しく入社した障害者が一日も早く職場や仕事に馴染むことのできるよう、幅広い側面から支援している。

（3）長期の雇用を目指して

・当事業所には35年勤続を誇る障害者がいる。他にも長期の勤続を誇る障害者もおり、現在若手の障害者にも長年に渡り活躍してもらいたいと考えている。

・就職前後における業務面のサポートは当然として、就職後も能力や適性に応じて配置転換を行うなどし、障害者にとってもより働きやすい環境を提供できるように配慮している。

・時折、集中力が不足している面が見られることも事実である。ただ、業務効率のみを追求していたのでは障害者雇用はうまくいかないと考えている。決して甘やかすことはしてはならないが、周囲の理解や温かい目は必要であると考えている。

（4）障害者と相対する上で

・大規模な事業所ではないため、事業所トップから現場に至るまで、障害者とともに働いているということを肌身をもって感じている。ただ、それは人それぞれ個性や性格が異なるのと同じようなものであるという感覚で、障害があるからといって特別扱いをする必要はないと考えている。

・障害の程度によっては作業効率等でハンディを負うことにもなるが、各人のもてる力を出してくれればよい。また、障害ゆえの気分のむらが見られることもあるが、現在では周囲も慣れており、特に問題となるようなこともない。

・レクリエーションなどには障害者も積極的な参加がみられ、普段の仕事を離れて良い懇親の場となっている。気分転換にもなり、健常者・障害者ともに良い刺激となっている。

・現在、精神障害者も雇用している。ハローワークからの紹介での採用となったが、仕事にも徐々に慣れてきてくれている。採用当初は半日程度の勤務だったが、現在は1日フルタイムで働いてくれている。時折、ジョブコーチなども訪れてくれるなど、公的なサポートもあり、色々な面で助かっている。

3. まとめ

当事業所は、知的障害者においては採用以前の段階から実習などを通じて、障害者本人の適正を見極めているほか、障害者自身にも職場を体験してもらうことで、スムーズに職場に溶け込めるように配慮している。また、養護学校との連携も密で、在学中には職場見学などを行い、障害者自身やその保護者、養護学校の先生なども十分職務内容等を理解してくれているため、定着率も高い。

規模的に小さな会社であるため、日常的に障害者と触れ合う機会があり、それが心のバリアを取り除いてくれている。障害者自身、非常に健康かつ真面目であるため、職場においては重要な戦力となってくれているし、そのことを他の健常者社員も理解しているため、職場における雰囲気は非常に温かい。

当事業所では経営者も障害者雇用に理解があり、かつ積極的である。また、障害者雇用は社会全体で取り組むべき問題であり、法定雇用率を達成していなくても、障害者雇用納付金さえ支払えばよいという問題ではないと考えている。

障害者雇用率も10%を超え、工場規模などを考慮すると、更に追加での障害者雇用はなかなか難しい面があるというのも事実である。しかしながら、障害者・健常者の垣根を取り払い、適性や能力のある人がいれば、職場状況に応じて積極的に採用していきたいと考えている。

執筆者  ：  財団法人香川経済研究所  主任研究員  川上  浩志

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