事業所名

株式会社悠香

所在地

福岡県大野城市

事業内容

基礎化粧品、医薬部外品、自然栄養補助食品の企画、開発、通信販売

従業員数

339名

うち障害者数

5名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	2	コールセンター受注業務
内部障害	3	守衛・社員送迎運転業務
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 取り組みの具体的な内容
4. 取り組みの効果
5. 今後の課題

事業所外観

1. 事業所の概要

株式会社悠香は2003年に設立した新しい企業である。「悠香」という社名は、湧き水がせせらぎになり、小川から大河になり、やがて大海原へ流れていく川の流れをイメージし、“ありがとう”の心や“思いやりの心”が悠久に香り漂う世の中作りに貢献したいという思いから生まれた社名である。大海をめざすとは、会社として力をつけて社会貢献したいということである。世の中の女性の美と健康に役立つ情報を発信しながら、会社を伸ばし、社員に還元したいと考えてきた。

2～3人で、机一つからスタートした事業は、商品を開発し、コールセンターを立ち上げ、今では、300人を超える社員が働く企業に成長している。社員の平均年齢が29歳という、若い力にあふれた企業である。また、全社員に占める女性の割合が95%と、女性の力を活用している企業でもある。

事業内容としては、農薬不使用、有機JAS認定の茶葉成分を中心に、天然素材を利用した基礎化粧品、医薬部外品、自然栄養補助食品の企画、開発、通信販売である。天然素材の「日本茶」に着目し、自然素材、無農薬にこだわり、商品を作り、通信販売で商品を普及する。大野城市にある本社には、広告を担当するメディア企画部、商品のデザインを担当する制作部、アイデアを形にする企画部（商品企画、プロモーション企画）、通販システムの運営・開発を担当するシステム分析部、顧客の受注を受けるコールセンター、人事・総務などの管理部等がある。

会社の経営理念は「日本一お客様に愛される企業」、「顧客に支持され、愛される商品提供し」、まさしく「日本一」を目指している。

2. 障害者雇用の経緯

株式会社悠香では、障害者雇用には積極的に取り組んでいるが、健常者も障害者も区別はないという考え方が原点となっている。病気や障害など身体のことはやむをえない、能力のある人がその能力を発揮していけば、会社も発展し、自分自身も豊かになっていくという理念が基本にある。

障害を特別視していない。誰がどのような障害を持っているのかは、社員の間では特に意識することなく、社員は平等に、あたりまえに、輪を大切にして、仕事をしている。そのような中で、障害のある人は、自分自身が希望するとおりに働いている。

3. 取り組みの具体的な内容

（1）障害者の状況に配慮した取り組み

健常者も障害者も区別はないという考え方が原点だが、個人の状況に応じて働けるように、さまざまな配慮をしている。継続的な通院が必要な人もいる。そのような人には、通院しながら業務ができるように、通院に配慮した勤務体制が組まれている。

現在、障害のある5名は、コールセンターでの受注業務と守衛業務についている。コールセンターの業務では顧客からの受注が中心で、顧客の電話を受けながらパソコンで入力するなど、パソコンのスキルは必要だが、比較的ストレスのない仕事内容になっている。

守衛業務では、入退者の管理、駐車場への送迎などが主な業務である。身体への負担を考慮して、比較的軽作業が中心である。シフトを組む場合は、通院時間を考慮して、無理なく働けるように配慮している。

また、社屋はハートビル法の基準に合わせて、障害のある人に配慮されている。車いすで移動できるように廊下は広く、車いすがすれ違えるほどの幅が確保されている。社員の健康を考えて、健康な社員にはエレベーター使用禁止となっているが、エレベーターは車いすで乗り降りすることを前提に設計されている。

1階には専用トイレも設置している。車で通勤している人には、一番近い駐車場を確保するなど、細やかな配慮がある。

コールセンター

守衛室

障害者に優しい通路

送迎車両

（2）コミュニケーションの対応

「障害者も健常者も区別することなしに」という会社の方針のもと、社員の輪を大切にしているので、社員のコミュニケーションは図られている。職場で大切なものは「笑顔」だと意識できるように、つねに社員に働きかけている。

「人に感謝される職場」、「最高の人間関係が築ける職場」、「自分自身が成長できる職場」を目指しているが、人の輪を保っていけるように、会社としても気配りしている。顧客に愛される企業とは、社員にも愛される企業である。この会社で働き続けたいと思えるように、さらによい環境を目指している。

（3）取り組みのまとめ

仕事の内容や役割によって、正社員と契約社員という区別はあるが、正社員への途は、資格などの要件を満たし、試験に合格するということで開かれている。試験については、誰もが平等であり、障害があっても例外ではない。

障害の有無にかかわらず、各種の試験に合格すれば正社員となれる制度が導入されている。正社員になるのには高いレベルが要求されるが、意欲を持ち能力があれば、誰もがいろいろな仕事に挑戦していけるという制度を導入している。

障害のある人も積極的に受け入れるが、顧客対応が仕事の中心なので、人と輪を持って働き続けることができるかどうかを重視して、採用を決めている。技術的なことについては、トレーナーがしっかり指導するシステムとなっている。

4. 取り組みの効果

明るく誰もが働きやすい職場作りに取り組んできた。「日本一愛される企業」を目指して、顧客に愛されるだけではなく、社員にも愛される職場作りの取り組みの成果がいろいろなところに表われてきている。

このように、「障害の有無には関係なくその能力を発揮してほしい」という企業の理念は貫かれていて、さらに個別対応もしっかりと、各人の事情に配慮した取り組みがなされている。

5. 今後の課題

さらに働きやすい企業にしていくために、福利厚生を充実させたいと様々なことを考えている。しかも特定の人だけが対象になるのではなく、全員が対象となるような制度を構築中である。まず、この会社で働き続けたいという環境を作りだすことが大切だと考えている。

仕事で一番うれしいことは、顧客の声。商品を購入した顧客から、手紙などでたくさんの喜びの声が寄せられる。顧客の声は、朝礼で紹介することにしているが、紹介しきれないぐらいに多い。そんな喜びの声が、さらに社員のモチベーションを上げる。

今後さらに社員のモチベーションを高め、その言葉とおり、「顧客にも社員にも愛される企業」を実現していくことが、これからの課題である。

執筆者  ：  社会保険労務士（ファイナンシャルプランナー）  菅野  美和子