事業所名

有限会社再耕庵タクシー

所在地

佐賀県鹿島市

事業内容

一般乗用旅客自動車運送業

従業員数

69名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	6	ドライバー・オペレーター
内部障害	0
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 取り組みの経緯・背景
3. 取り組みの内容及び効果
4. 今後の課題・展望

事業所外観（玄関前）

1. 事業所の概要

（1）沿革

昭和3年5月鹿島市において再耕庵タクシーを開業する。昭和36年11月に有限会社再耕庵タクシーとして法人設立。昭和57年6月より、県下に先駆けてタクシー代行運転事業を開始する。平成5年8月から、九州で初めてGPS配車システムを導入、平成15年4月からは、介護基準該当事業所認可を受け介護タクシー事業を開始し現在に至っている。

障害者の雇用については、昭和61年3月頃より採用し、平成20年1月現在、6名の障害者を雇用している。

（2）従業員数  69名  うち障害者6名（平成20年1月1日現在）

（  ）内は重度障害者

2. 取り組みの経緯・背景

従業員数は69人(除外率65%で算定対象労働者数25人)でその内、障害者の雇用数は6名(内重度2名)、雇用率は32.0%となっている。障害者雇用の取り組みについては、昭和61年3月に身体障害者を雇用したのが始まりで、採用された障害者は障害程度が軽く、運転業務に支障がなかったため特に障害者とは意識しないで採用された。その後、障害程度が重度化したため、運転業務は難しい状態となり集金業務に変更している。タクシー事業の場合、従業員の大半はドライバーであるため、運転業務に支障が無ければ障害があっても問題はないが、障害が重度の場合、運転業務は難しいので、集金業務やオペレーターとしての仕事等を担当している。

3. 取り組みの内容及び効果

（1）障害者雇用の取り組み

雇用されている障害者は全員身体障害者で、肢体不自由の程度が比較的軽い障害者は、運転業務を行っている。ドライバーとして20年以上勤務しているも者も2名おり、他の従業員も永年勤務者が多いことが会社の特徴にもなっている。障害者の中には、ドライバーを長年行ってきたが、徐々に障害の程度が重くなり、運転業務から集金業務に仕事を変更して働いている者もいる。また、平成15年3月からは、ハローワークからの雇用要請もあり、車いす使用の重度障害者も雇用されている。この時期、オペレーターに欠員が生じて採用を検討していた時期でもあったため、オペレーターの仕事であれば、重度の障害者であっても就労は可能ではないかと判断し採用された。ただ、車いすでも仕事が可能となるよう職場環境の改善を行う必要があったため、佐賀県高齢・障害者雇用支援協会より助成を受けて、階段の手すりの設置、及び洋式トイレの改造等を行い、受け入れ態勢を整えて雇用に踏み切った。

（2）雇用の効果

肢体不自由者の場合でも運転業務に支障が無ければ、他の従業員と変わらない仕事が可能なため、特に問題はなく、雇用の効果も一般と同じである。重度の障害者の場合は、仕事の範囲が限られてくるので業務内容を検討したり、移動等の日常生活については配慮が必要であるが、勤労意欲が高く、仕事に対して一生懸命取り組まれている姿勢は、他の従業員に対しても良い影響を与えている。また、GPS等機器の操作に詳しく、無線の資格等も取得されているのでオペレーターとしては十分にその役割を果たしている。

（3）生活面での支援

障害があってもそれぞれが受け持つ仕事を行っているので、特に、生活面の支援ということはされていない。ただ、毎日の点呼を2階の事務室で行うことになっているが、車いす使用の従業員の場合、階段に手すりが設置されていても2階に上がることは困難なため、2階に上がらなくても良いようにする配慮を行っている。

運送業務の場合、安全運転が何よりも重視されるため、従業員の健康面については年2回の健康診断を実施するなどして配慮されている。また、従業員間のコミュニケーションも大切であるため、ミーティングを毎日実施したり、忘年会、花見など従業員間の親睦等も図られている。

オペレーター業務

トイレを洋式便器に改造

階段の両側に手すりを設置

4. 今後の課題・展望

現在雇用されている障害者の勤務年数は20年を超える社員が2名おり、60歳を超えた障害者の方も3名働いているなど、障害があっても健康であれば永年仕事ができるということが会社の特徴となっている。定年は63歳であるが、65歳まで再雇用の制度があり、基本的には解雇は考えていないということで、最高齢の従業員は72歳で現役のドライバーとして活躍している。

障害者の雇用については、希望があれば今後も採用を進めていきたいと考えているが、現在、定員一杯で空きが無いということで、就職を希望して待機している方がいる状況であった。

再耕庵タクシーは、運送業ということで運転業務が主な仕事になるため、障害があっても運転が可能であれば、雇用することに問題はないという考えで雇用している。また、同じ職場で働く仲間として、家族の一員という意識を大切にしながら職場の雰囲気づくりを大切にしている。そして、重度化した障害者の雇用の継続にも工夫がされており、職場環境を改善して車いす使用の障害者の雇用にも取り組むなど積極的に障害者雇用に取り組んでいる。このような障害者雇用が進んだのは、経営者の姿勢に加えて障害者雇用助成金制度を有効的に活用していることもその要因である。

今後、さらに雇用助成金制度の充実や積極的な活用が図られれば、同じ業種や同規模の事業所にあっても重度障害者も含めた障害者雇用が促進される。

執筆者  ：  西九州大学  健康福祉学部  社会福祉学科  准教授  田代  勝良