2007年度作成

事業所名

三豊機工株式会社鹿児島工場

所在地

鹿児島県南九州市

事業内容

冷間圧造工具の製造

従業員数

174名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	5	金型製造
精神障害	1	金型製造

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 障害者雇用に対するポリシー
4. 障害者（知的あるいは精神障害者）雇用に対する取り組みと効果
5. 今後の課題

1. 事業所の概要

三豊機工株式会社は昭和40年、愛知県名古屋市で創業。現在は、愛知県春日井市に本社並びに中核工場を、平成3年より鹿児島県川辺郡川辺町(現 南さつま市)にも生産拠点を構えている。

同社は、高精度・高耐久性・高安全性を実現した、ダブルヘックス(Double Hex)なる商品名の金型工具でつとに知られ、国内シェア70%、世界20数カ国に金型を輸出している。また、さらなるグローバル化に対応するため、平成14年には米国シカゴに現地法人を設立、さらなる事業の拡大・発展を図っている。

平成19年には、その技術力の高さ、持てる技術が国民生活や経済活動に与える影響の大きさ、地域への貢献度などが評価され、中小企業庁が選定する「元気なモノ作り 中小企業300社」にも選ばれている。

また、地域行事や催物へも積極的に関わっており、各種スポーツ大会へ協賛し、鹿児島に春の訪れを告げる県下一周駅伝(2月中旬開催)へも選手を多数輩出している。

2. 障害者雇用の経緯

本社工場において、ハローワークを通して障害者（知的障害者）を雇用したことがきっかけ。障害者は、全てハローワークを通じて雇用しており、鹿児島工場でも本社に倣う形で障害者雇用に取り組んでいる。

3. 障害者雇用に対するポリシー

舟橋社長の話は、初めて接する人間にとって、もしかしたら過激に聞こえるかもしれない。しかし、それは、極めてよく真実を捉えており、実に明確であり、障害者に対する深い愛情に満ちた温かいものである。そのいくつかを紹介してみると、
  「誤解を恐れずに言えば、障害者の親御さんは、通常の場合なら、子である障害者よりも先に鬼籍に入られることになる。つまり、いずれ障害者は頼るべき人を失って一人になってしまうのである。だから、一人になっても自立して生きていけるように教育しなければならない。」

「障害者であることを理由として必要以上に甘やかしたり、過保護になってしまうことが、実は、障害者自身にとっての最大の敵である。」

「障害者と会社は共存共栄できる。」

「障害者を特別扱いすることは、実は、障害者を差別することと同じである。『区別』と『差別』の区別をきちんとつけなければならない。」
といった具合である。

この社長のポリシーが、社内によく行き渡っているからこそ、障害者の雇用が維持されているのであると思われる。

4. 障害者（知的あるいは精神障害者）雇用に対する取り組みと効果

①  障害者の自立心を育むために、入社したら必ず会社寮に入寮させ、業務だけでなく身の回りのことについても一から取り組ませることとしている。

②  健常者であっても障害者であっても、入社時はどちらも生まれたての赤子と同じ。どちらに対しても手間ひまを厭わず、現場で業務について指導・教育していく。

③  障害者に仕事を覚えてもらうためには、同じ事を何度も繰り返し教え込まなければならない。健常者の何倍もの時間と労力が必要なこともざらである。

④  業務については、とにかく障害者に「任せる」こととしている。そしてここが重要なポイントなのだが、障害者の作業を、周囲の健常者あるいは上長が絶対に目を離さず、常にそっと見守る態勢を取っている。安全管理に関わること以外、余計な口出しは一切しない。その代わり、障害者が行き詰っているときや何か言いたそうにしているときには、すっと声をかけ助け舟を出す。

⑤  こうすることで、コミュニケーションを取ることが苦手な障害者でも、やがて自分から質問をしてくるようになると言う。

⑥  こうなればしめたもので、几帳面で真面目だと言われる知的障害者の特徴と業務遂行の歯車が噛み合って、徐々に加速して回りだす。仕事に就いたばかりのころの遅れを挽回するばかりか、健常者と同等になる。

⑦  中には健常者以上の能力を発揮するものも少なくなく、他の模範となり、あるいは技術指導者として活躍するばかりか、会社の正当なる技術継承者・伝承者としての地位についている障害者もいると言う。それはまるで職人や匠の世界である。

⑧  案内に当たってくださった内田部長は説く。
  障害者は、健常者に比べ、職業人としてのスタートでは出遅れる。しかしながら個人差はあるものの、必ず「本人の目覚める」時期がやってくる。そこまで来れば、あとは歯車が回りだしてこれまでの遅れを一気に取り戻すのである。そこまで辛抱強く、粘り強く事に当たることが大切である。
  障害者を樹木に例えれば、幹の太り方はゆっくりで、年輪の刻みも小さいが、そのぶん身がぎっしりと詰まっていて、いずれ必ず花を咲かせ実をつけるから、育てることがとても楽しみである。

5. 今後の課題

これからも常に障害者に対する門戸を開いておくことが大切であり、自立した障害者を一人でも多く生み出すことが一つの目標である。職人・匠と言われるような人材を育てていくことが会社の発展にもつながることは間違いない。

執筆者  ：  社会保険労務士  ほりえ事務所  所長  石神  啓介

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