事業所名

株式会社ジーンズエムシーディ

所在地

秋田県秋田市

事業内容

ジーンズ加工の企画開発・染色やストーンウオッシュなどの洗い加工及び中古加工

従業員数

303名

うち障害者数

5名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	ジーンズ加工に携わる軽付帯業務
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	4	ジーンズ加工に携わる軽付帯業務
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組みの経緯・背景
3. 取り組みの内容と効果
4. 今後の取り組み、課題

事業所外観

1． 事業所の概要、障害者雇用の経緯

秋田市の誘致企業として平成元年9月に、ジーンズのトップメーカーエドウィンの自社工場として設立し、今年で創業20年目を迎える。常にヨーロッパ、アメリカのジーンズ市場を見据え、ジーンズウォッシュ加工の研究開発と、洗い加工や履き古した雰囲気など再現した中古加工を中心に、常に新しいことにチャレンジしている事業所である。

平成9年には、エドウィングループの動脈ともいえる物流部門を立ち上げ、国内外を問わずグローバルな視点で事業を展開している。これにより、エドウィングループの中で、常にチャレンジ精神をおこたらず、秋田県人ならではの繊細な感覚をもったモノ作りを提案し、世界に向けて最先端のジーンズファッションを発信し続けている。

さらに最近は、ITの普及に伴いグローバルな海外調達への移行が加速され、その結果コスト重視だけでは済まされず、企業活動における調達先の社会的責任、環境対応の説明責任を企業が負うこととなった経緯から、平成17年にヨーロッパの国際認証システムCSM-2000を取得、社会的責任の観点から障害者の雇用を推進し、職場の定着化を図っている。

2． 取り組みの経緯・背景

障害者5名の内訳として、4名が軽度の知的障害で1名が聴覚障害となっている。

その雇用の背景には、今回の障害者の方を雇用する以前は、平成17年の国際認証取得後に、社会的責任を意識し過ぎたあまり、企業責任の雇用率だけを重点に人数だけを確保しようと、一度に多くの障害者を雇用したことにより、定着化に失敗するという経験があった。

当時は受け入れ体制も整えないままに、さまざまな部署の作業に従事させてしまったことから、健常者とのコミュニケーションがうまく取れず、精神的負担等から、結果として退職するケースが多かった。

こうした経緯を踏まえて反省するとともに、種々検討を加えたところ、現在はハローワークと障害者支援センターを通じ、できるだけ同じ障害を持つ者を紹介してもらい、メンタル面なども支援センターとともにフォローすることで定着化を図っている。

3． 取り組みの内容と効果

これら5名の障害者の作業としては、当社の加工業務に携わる軽作業を主に担当しているが、その具体的な内容としては、加工前のジーンズを表から裏へ、もしくは裏から表に返す作業をメインとして行い、さらには加工終了後の製品を最終工程へスムーズに流すための事前処理を行うなど、各行程間のつなぎ業務も行わせるようにした。当社において、これらの作業は、加工前や加工後のつなぎ業務として必ず行わなければならない業務であり、これらを行なわずに次の工程に流した場合は、ラインに支障が出て、その日のノルマを達成することができなくなる。そんな背景の中、彼ら5名のポジションは、彼らの専属業務として作った作業ではあるが、今では当社にとって必要不可欠な業務となっている。

彼ら自身も今では2年の勤続者が1名、1年6ヶ月が2名、6ヶ月が2名という具合に定着率が高まり、さらには彼ら同士が切磋琢磨のうえ業務を進めるなど、結果として作業能率も上がるという相乗効果まで表れるようになった。

ジーンズを裏表に反転している作業

最終工程に入る前のジーンズを伸ばしながら加工に使ったテープを取り外す作業

4． 今後の取り組み、課題

今後の課題としては、まず障害者の受け皿を大きくして、設備面などの改善により、より働きやすいような、きめの細かい作業環境を整えていく必要がある。社会全体からみれば障害者雇用において、抵抗を感じている企業も少なくないであろうと思われる中で、模範となれる企業を目指し、努力を続けているところである。

また、現在、産業医の活動を通じて、心療内科の先生の指導により、障害者のみならず健常者などを対象としてメンタルヘルスに関する講習会を開催しているが、これらの部分などを益々強化し、作業効率の向上を図るとともに一層の職場環境の改善を行っていきたい。

執筆者  ：  株式会社ジーンズエムシーディ  総務グループ総務係長  鈴木  学