事業所名

株式会社セントラルサービス

所在地

群馬県前橋市

事業内容

一般労働者派遣業・業務請負業

従業員数

270名

うち障害者数

8名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	2	総務事務・現場作業
肢体不自由	4	総務事務・現場作業
内部障害	1	軽作業
知的障害	0
精神障害	1	データ入力・在庫管理

目次

1. 事業の概要、障害者雇用の経緯等
2. 取り組みの内容、効果
3. 今後について

事業所外観

1． 事業の概要、障害者雇用の経緯等

創業は、平成元年1月。常用雇用労働者数は、260～270名。（派遣スタッフは概ね1,200名に及ぶ。）その内、障害者を8名雇用している。障害程度の内訳は、重度障害者2名、軽度が6名。障害の種別内訳では、聴覚障害2名、内部障害1名、精神障害1名、肢体不自由4名である。

当社は、2年前までは障害者雇用の実績はなかった。管轄のハローワークからは、再三にわたって、障害者を雇用するように強く要請があった。

当時は訳も分からず、職場の施設的にも、事務室はエレベーターのない2階でもあるし、車いす用のトイレもなく、採用してもやっていけるかどうか大変不安だった。そのとき、ハローワークから精神障害者の紹介を受けた。紹介を受けた障害者は、高機能自閉症だが、大学を卒業し、パソコンのスキルも高く、ハローワークでも事務などの職種に適性があると判断したようだが、時々、自分の置かれている環境が分からなくなったりする場合もあるということで、とりあえず、当社で2週間程度の訓練を行い、適性を見極めることになった。このときはハローワークの職員も付きっきりで指導し、これが、障害者雇用の先駆けとなった。

2． 取り組みの内容、効果

（1）障害者の従事業務・職場配置

8名のうち、前述の精神障害者、聴覚障害者（重度）、肢体不自由者（重度以外・・リュウマチ）の3名は本社に所属し、派遣登録スタッフの個人データの入力や作業服等の在庫管理等の総務事務に配置し、内部障害者（重度）は、本社の現場における軽作業。残りの4名（聴覚1、肢体不自由3）は、桐生営業所に2名、藤沢営業所に2名配置し、それぞれ現場作業に従事している。営業所長に採用権限を付与しているが、定期的な幹部会議において、障害者雇用を指示しており、規模の大きい営業所での採用に繋がってきている。

（2）障害者雇用に関連して実施したこと

本社事務のケースであるが、当初は、ワンフロアの中で総務、企画、営業等全ての部署が机を並べて仕事していたが、精神障害者は、思い込みが激しく個人情報への対応が敏感で、自分のことを指摘されているのではないかと落ち込んだり、天気の変化や環境の変化で時々過呼吸に陥ったり、自分が何をしてよいのか分からなくなったり、また、聴覚障害者は話が聞こえないことからコミュニケーションが取りにくいなどの障害が出た。

このことから、上司に状況を説明し、隣接する1室に総括、健常従業員1名、臨時従業員1名と、いつも2人の障害者の相談に乗っている肢体不自由者の3人を集め、総勢6名で総務課を設置し、互いに協力しあえる体制を整えた。この体制作りをしたことで、チームワーク力を高める結果となり、精神的にも落ち着いて仕事に向かえることが出来て、強いては現在も定着できている原因であると確信している。

（3）障害者雇用に伴う効果

職場全体が、障害者を雇用して初めて障害者の気持ちが多少なりとも理解できるようになってきた。また、彼らは出勤も早く、挨拶もきちんと出来ており、他の従業員のよい模範になっていること。「社是の唱和」、「挨拶の徹底」など会社として重視していることへの彼らの取り組み姿勢はすばらしい。

事業所内風景

3． 今後について

（1）本社移転に伴う職場環境改善計画

現在の建物が道路拡幅に伴い区画整理に当たるため、来年1月には、本社を移転する予定である。4階建ての建物にエレベーター、障害者用トイレの設置、バリアフリー化で車いすでも移動可能な通路スペースを確保する予定で、車いすの下肢障害者でも採用可能な新社屋を目指している。

（2）障害者雇用の拡大の可能性

現在、派遣スタッフ用のアパートの借り上げ部屋数が県内外あわせて250室にもなる。清掃業務など知的障害者でも充分可能な仕事が増大すると考えており、高年齢者等とのセット採用などを検討している。

（3）会社としての課題

人材派遣会社として、今後も成長発展するために会社が重視していることは、コンプライアンス（法令遵守）と従業員や派遣スタッフのCSの向上である。

総務・経理担当  原  顧問

執筆者  ：  有限会社川上労務センター社会保険労務士・中小企業診断士  川上  金四郎