事業所名

株式会社エツミ光学

所在地

福井県大野市

事業内容

真空蒸着機による表面処理加工、サングラス製造(加工組立)

従業員数

151名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	機械メンテナンス
内部障害	0
知的障害	2	アルミ貼り作業、サンドブラスト作業、社内清掃
精神障害	0

目次

1. 法人設立の経緯と事業内容
2. 障害者雇用の経緯
3. 取り組み内容
4. 今後の展望と課題

事業所外観

1. 法人設立の経緯と事業内容

（1）設立の経緯

全国の眼鏡枠の90％以上を生産する福井県の鯖江市と大野市に昭和48年7月1日に「株式会社  朝竹レンズ」を設立した。当時の業務内容は、眼鏡フレーム・サングラスフレーム製造・サングラス用硝子レンズの加工・サングラス玉込仕上げ等であった。

昭和51年「株式会社エツミ光学」に社名を改称し、鯖江本社にてサングラス用プラスチックレンズ・アクリル製単焦点眼鏡レンズの製造を開始し、大野工場（現田野工場）にてコート（真空蒸着）を開始する。

平成14年1月大野市中据工業団地にて大野工場新築・操業開始、平成19年4月に大野工場増築・操業開始する。

サングラスレンズのミラーコート及び反射防止コートから始まり、真空蒸着という技術を使って独自の製品加工を開発すると共に、安定した高品質を保証することにより多くの受注を受け、順調な飛躍を遂げている。

（2）事業概要

株式会社エツミ光学は、名水百選「御清水」に代表される清らかで豊かな水、白山連峰の支脈に囲まれた美しく豊かな自然に満ちた奥越の小京都「おおの」の一員として、環境負荷の低減と環境保全に積極的に取り組む環境方針のもと、大野工場ではレンズの真空蒸着（真空中で金属や化合物などを電子ビーム等で加熱蒸発させ、蒸気を物体表面に数ミクロンの薄膜状につけること）の業務を行っている。

また、田野工場では、主に海外ブランドのサングラスレンズ加工組立の業務を行っている。

（3）社長方針

私たちは、「独創企業エツミ光学」をモットーに、高度な技術、開発力の追求に努め、お客様の満足向上に努める。

1．安全第一    『事故を1件も出さない！』

2．良品第二    『不良を1枚も出さない！』

3．能率第三    『ムダを1つも出さない！』

を各々認識し実行しております。

2. 障害者雇用の経緯

常日頃より、社長は「企業として出来る社会的貢献は積極的に果たしていく」と言う考えの下、ハローワークとの連携を取りながら障害者を雇用してきた。最初に雇用した障害者Aさん（知的・軽）は職場適応訓練6ヶ月を経て、平成11年10月1日付けで常用雇用労働者となり、サングラスにマーク付けする仕事に従事した。その勤務状況については意欲的で欠勤もなく始業時刻30分前には出社しているなど、真面目で且つ一途な勤務態度は、他の健常者への就業意識の高揚となったことから、引き続き障害者雇用への拡大に繋がって来ているところである。

3. 取り組み内容

（1）募集・採用

募集・採用についてはすべてハローワークとの関わりを持っており、場合によっては福井障害者職業センターのジョブコーチ支援とカウンセラーの指導を受け、障害者の雇用と雇用後のフォローアップ支援を続けながら雇用継続に努めているところである。

（2）障害者の業務・職場配置

○  障害者Bさん（左下肢機能障害）は平成19年4月8日トライアルを終了し常用雇用となる。

大野工場にマイカーで通勤し、真空蒸着、機械の清掃に従事している。

欠勤もなく元気に就労している。

機械メンテナンス作業

○  障害者Cさん（知的）は平成17年10月4日トライアルを終了し常用雇用となる。

大野工場にマイカーで通勤し、サンドブラスト、アルミ貼りに従事している。

欠勤もなく元気に就労している。

サンドブラスト作業(手動機)

サンドブラスト作業(自動機)

アルミ貼り作業

○障害者Dさん（知的・重度）は平成19年6月20日にトライアル雇用を終了し常用雇用となる。

田野工場に徒歩で通勤し、清掃、箱折り、廃プラの運搬、パレットの集荷運搬に従事している。無口ではあるが素直であり、作業の指導援助により出来高は少しずつアップしてきた。

作業スピードは遅いが、一度覚えた事は一人で出来るようになった。現在、いくつかの作業が出来るよう指導を行いスキルアップを図っており、欠勤もなく元気に就労している。福井県雇用支援協会からアドバイスがあった「業務遂行援助者の配置助成金」を活用し、援助者を付けたことが本人のスキルアップには大いに役立っている。

社内清掃

（3）雇用継続が困難であったケース

○  障害者Eさん（注意欠陥・多動性障害）は、平成19年9月27日トライアル雇用を終了し常用雇用となったが、統合失調症で11月中旬入院した。本人は会社を辞めたいとのことであったが、トライアル雇用を含めて約5ヶ月経過して仕事にも慣れて来たこともあり会社としては復帰を待っていた。会社、親、ハローワーク、福井障害者職業センターのジョブコーチで話し合い、もう少し経過を見て判断しようとの結論になった。

しかしながら、入院治療、投薬治療等で少し改善したが、仕事に復帰できるまでは回復せず最終的にケース会議で話し合った結果、12月27日の退職となった。

○  障害者Fさん（右上下肢機能障害）は、平成19年1月28日から雇用前訓練を開始した。本人は中学1年の時、交通事故による障害で右手が拳状に固まっており、サンドブラスト作業においてエアーガンを持っての作業が困難であったことから、作業を容易にするためにエアーガンをサンドブラスト装置内に固定した。

3月27日よりトライアル雇用を開始するが、4月17日から10日間、体調不良にて入院・自宅療養となる。回復後も、たびたび欠勤することがあったことから、関係機関との連携により対応してきたが、結果的に6月27日の退職となった。

上記のケースは、入院等のやむを得ない事情もあって雇用継続が出来なかったが、問題に対処する時に、各支援機関との連携・協力が出来たことが良い経験になったと思っている。

縁あって当社に勤務することになった障害者が退職するのは誠に残念であり、そのためにも、これからの雇用にこの経験を活かしていきたいと考えている。

（4）社内の支援体制

障害者の雇用に伴いジョブコーチの支援を受ける中、事業所独自でも仕事の教え方、接し方、等々を話し合いながら職場環境づくりに取り組んでいる。健常者・障害者を含め作業工程の改善等働きやすい環境づくりには常に心がけている。安価に出来る改善等については、会社方針として事前で実施している。

4. 今後の展望と課題

彼らを雇用することによって、当初は従業員の不安や戸惑いがあったが、彼らと接していくうちにそのような不安もなくなり、障害に対する理解を深めることが出来た。

また、彼らが欠勤もなく、一生懸命に働く姿が、他の人達の仕事に向き合う姿勢に少なからず影響を与えたことも障害者雇用の効果と言える。

今後の展望については、障害者雇用助成金を活用して機械を購入し、彼らが働きやすい職場環境を整えることや、障害者の職場での不安を少しでも解消させるための相談・指導も持続すべきであり、そのために、障害者雇用に関する各支援機関と密接な連携を図りつつ、協力し合っていく意向である。

執筆者 ： 株式会社ミツミ光学  総務課  山本  さちえ