事業所名

株式会社信越ケイテック

所在地

長野県長野市

事業内容

産業廃棄物及び一般廃棄物の収集・運搬及び処理、再生及び再生製品の 販売

従業員数

46名

うち障害者数

5名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	資源選別作業
内部障害	0
知的障害	2	資源選別作業、再資源物の溶融機への投入作業
精神障害	2	資源選別作業

目次

1. 事業所の概略
2. 障害者雇用の経緯・背景
3. 助成金の活用で雇用の継続へ・・・長野県雇用開発協会との相談
4. 効果と今後の期待

事業所外観

1. 事業所の概略

（1）企業理念

Keep  Smileを経営スローガンに廃棄物の収集運搬・中間処理の環境事業を通じ地域との調和と共栄を図りながら環境型社会育成の一翼を担うことを誇りとして、感謝する心と笑顔を忘れず人々が健康で心豊かな生活をサポートできる企業でありたいと考えている。

そのために次のような「行動指針」のもとに取り組んでいる。

（2）行動指針

ⅰ  廃棄物の適正処理・減容化・信頼のできるリサイクルを促進します。

ⅱ  環境の負荷となる事故の防止策を励行し、業務改善を通じ、汚染の予防に努めます。

ⅲ  環境関連の法律、規則、協定等を順守します。

ⅳ  地域・お取引先と円滑なコミュニケーションを図り、環境啓発に努めます。

ⅴ  環境マネジメントシステムを定期的に見直すことで、継続的な改善に努めます。

ⅵ  以上をふまえ、次のことを重点的に取組みます。

①  廃プラスチックの再資源化率の向上

②  再製油の品質向上

③  業務の効率化

④  環境啓発運動

この方針は、全社員・協力会社に周知し地域やお取引先に公開している。

2. 障害者雇用の経緯・背景

（1）平成18年4月

平成18年4月に国のプラスチック製容器包装再生処理事業者登録の許可を受け、家庭用ゴミプラスチックのリサイクル受託処理をスタート、その人員の確保の必要が生じた。

（2）ハローワークへの相談

当初は、高齢者及び外国人労働者などさまざまな雇用対象を模索したが、安定的に雇用することが困難になっていた。

そこで、障害者の雇用を促進すべく、ハローワーク長野に相談、アドバイスを受けることとなった。ここで、少しずつ障害者雇用に関する知識を習得していった。

（3）長野障害者職業センターの紹介

具体的障害者の人選について、ハローワークより長野障害者職業センターを紹介された。2名の障害者の紹介を受け、3ケ月のトライアル雇用を採用した。

トライアル雇用の期間、長野障害者職業センターのジョブコーチ支援を導入した。

予備知識のなかった事業主側は、障害に対する理解の促進、障害者の職務の設定、指導法の習得を少しずつ得ていった。

この2人が少しずつ成長していく過程で、一層障害者雇用に関心を持った。

（4）長野県中小企業家同友会の仲間の支援

社長は、長野県中小企業家同友会のメンバーであり、メンバーのひとり柿島  滋氏（(株)柿の木農場社長）から障害者問題のネットワークつくりに誘われ、「障害者雇用にともなう助成制度」のあることを紹介されたことで、更なる障害者雇用拡大を決意した。

＊［事業主の苦悩］

また、当時、当社は、知的障害者の雇用について、雇用してみてその困難さも実感していた頃であった。

知的障害者は、家庭から収集してくるプラスチック廃棄物の再生可能物と再生不可能物の分別作業を担当していたが、健常者で3ケ月程度でマスターできる仕事であったが、9ケ月経過してもマスターすることが出来なかった。このことから、選別ラインからはずして仕事内容の変更することが検討された。

しかし、当社では、他に本人に合った作業も見当たらなかったことから、このままでは、障害者の雇用が危惧されたため、社内の幹部会議で彼にも出来る仕事が無いか、職務分析検討作業が行なわれた。

3. 助成金の活用で雇用の継続へ・・・長野県雇用開発協会との相談

障害者の継続雇用のために柿島滋社長のアドバイスで長野県雇用開発協会での相談を実施した。

（1）第1種作業施設設置等助成金の活用・・・当協会の助成金活用

「クリーンヒットパッカー」（発泡スチロールリサイクル処理機）の導入

第1工程の選別作業から既に選別されているトレーを今回導入された装置に投入するだけの単純作業を知的障害者に分担させることで作業が単純化され、知的障害者も積極的に仕事にとりかかれるようになった。

溶融は、低温処理であり、発火による事故の危険性もなく、緊急機能（スプリンクラー）装置も内蔵されていて、安全性が大幅にアップした。

ここで、知的障害者を雇用した経験から、受け入れ態勢さえ整えてやれば、障害者でも就労可能な分野が多くあることに気がついた。

（2）講習会等へのアレンジ参加

事業主側は障害者雇用の知識習得のため、協会等の主催する下記講習会に参加した。

①  障害者職場介助者・業務遂行援助者等講習会（協会主催）

②  障害者雇用のためのシンポジュウム（（社）廣望会主催）

③  養護学校・社会福祉法人見学会（長野県中小企業家同友会主催）

今回導入されたクリーンヒットパッカー

クリーンヒットパッカーを操作するAさん

4. 効果と今後の期待

（効果）

障害者では出来ないと思われていた作業が、受入環境さえ整えてやれば、就労は可能であると経営陣が気がついてくれた。

話は通じるが何でも抱え込んで強迫観念の持ちやすい精神障害者と同じ失敗を繰り返す知的障害者との違いを理解して対応することができるようになった。

人間の可能性は決め付けられないことを学び、設備を導入した当時知的障害者1名であった障害者が5名に増えた。

今後も、意欲がありながら就労機会に恵まれない障害者の受け入れ環境を整え、更に多くの障害者を受入れたいと考えている。

地域との調和と共栄のために社員総出による本社近隣の側溝清掃を実施した。

地元住民を招待して、工場見学会を催し意見交換会を実施した。

地元中学校の生徒さん2名の社会体験学習の受入を実施した。

各地養護学校生3名の職場体験実習の受入を実施した。

障害者雇用に係わる関係機関が多種あり、関係機関との連携が障害者雇用には有用であることを認識した。

（今後の期待）

今後市内に障害者を中心とした新設工場を設立予定である。

また、長野県の障害者職場実習設備等整備事業制度を活用して、障害者職場実習場の設置を計画している。

障害者の指導を担当する松澤寛之課長さん

当社ロゴ
[Keep  Smile]

執筆者 ： 社団法人長野県雇用開発協会障害者業務部障害者雇用アドバイザー  遠山  亨