事業所名

株式会社高山グリーンホテル

所在地

岐阜県高山市

事業内容

ホテル業

従業員数

315名

うち障害者数

5名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	電話予約受付
内部障害	3	料理長、土産物販売、宴会サービス
知的障害	1	食器洗浄
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者のお客様
3. 障害者雇用の経緯、雇用状況
4. 障害者の就業環境対策
5. 障害者雇用についての今後の方針

事業所外観

1. 事業所の概要

昭和47年設立、翌昭和48年7月に営業を開始し、本年平成20年で創業35年を迎えた。創業者新谷泰助が、当時はまだ観光地としては無名であった高山の将来性を確信し、旅館形態の宿泊施設が主流であった中で近代的なリゾートホテルを立上げた。

その後、温泉掘削や和風新館「天領閣」の増築等々を重ね、現在では日本有数の観光都市となった飛騨高山を代表するホテルの一つとなった。

いかに素晴らしい施設があってもそれを動かし命を与える「人」がいなければ、施設は単なるハードに過ぎない。「人」というソフトがあってこそ初めてそこに「おもてなし」が生まれる。私たちが創業時から最も大切にしてきたのは「人」である。

2. 障害者のお客様

高山市は「観光客にやさしいまちは住民にもやさしいまち」として、観光都市と住民福祉が両立するバリアフリーのまちづくりを目指している。

施設のバリアフリー化を推進し、身体の不自由なお客様が安心してご利用いただける「ユニバーサルルーム」9室を備え、車いすに乗ったまま温泉に入浴できる車いす入浴システムを導入するなど、障害のあるお客様にご利用いただけるよう設備の改善に取組んできた。ソフト面においても手話講座に積極的に参加するなど、従業員の障害者への接客レベルの向上に取組んできた。

障害のあるお客様の宿泊や関連団体の会議など多くの方々にご利用いただき、又そのようなお客様から貴重なご意見やアドバイスを賜り、更なる改善に向けて施策の参考としている。

3. 障害者雇用の経緯、雇用状況

障害者雇用への取り組みは、平成11年当時障害者雇用が法定雇用率に達していなかったため「障害者雇用納付金」を支払うこととなった時からスタートした。それまでの障害者雇用に関する認識は不十分であったと言わざるを得ない。

しかし、これを転機に、高山を代表する企業の一つとして社会的責任を果たし、地域に貢献し、企業イメージの向上を図る上で少なくとも法定雇用率を上回る障害者雇用を目標として取組むことが重要であると認識を改めた。

平成12年以降新たに5名の障害者を雇用し、その後、退職者もあったが現在5名の障害者が勤務し、法定雇用率1.8%に対し当社の障害者雇用率は2.80%となっている。

ホテルの主要業務であるサービス現場での障害者雇用は限定的なものとならざるを得ない状況ではあるが、幸いそれ以外の部分は、仕事の種類や就業形態において他の業種に比較して多様である。その事が逆に、障害者一人一人の特性を考慮して働ける部署や時間の選択肢が広く、適材適所で採用しやすい雇用環境であると考えている。

料理長

電話予約受付

土産物販売

宴会サービス業務

食器洗浄業務

4. 障害者の就業環境対策

障害者が安心して働ける就業環境とするため以下のような対策を講じている。ソフト面では、ホテルの就業形態はシフト勤務が基本だが、障害のある従業員については、本人の事情によっては勤務時間が深夜に及ぶシフトを除外するなど弾力的な運用をしている。

業務内容は他の従業員と同様に能力に応じたものとし、その範囲内で変わらない人事考課を実施し、給与や賞与、昇給・昇格等の処遇面では健常者と同一条件としている。再雇用制度では、当然ながら障害の有無自体を雇用継続の判定材料とする事はない。

ハード面では机や事務機の配置に関して、移動距離をなるべく短くし、身体的な負担の軽減を図っている。また、最近では館内の従業員用トイレをすべてウォシュレット付洋式に切替え就労環境の改善を図った。

5. 障害者雇用についての今後の方針

［法定雇用率］

法定雇用率を上回る障害者雇用者数の維持を最低限の目標としている。現状では目標を達成しているが、雇用している障害者の高齢化を考慮して、新規雇用に取組む必要がある。その具体的な雇用策として、他の従業員の職務内容の見直しにより、更なる障害のある従業員の職域拡大を検討している。

［ニュートラルな採用スタンス］

当初、「法定雇用率」をクリアーするため障害者の採用を急いだ時期があったが、それ以降は特段の障害者採用活動をしていない。現在、地元でおこなわれる採用説明会等は障害者、健常者と区別せず採用の対象としている。 障害者だけを優遇することはなく会社が求める業務に対応できるかどうかという、能力本位・人物本位の採用スタンスを維持する方針である。

［就業環境の改善と関係機関との連携強化］

今後も、障害者が職業能力を高め発揮しやすい就業環境の改善に継続的に取組む必要がある。また、障害者の就業サポートや障害者を雇用する企業への支援に関する各種制度について、理解を深めることも重要な課題だと認識している。このため、これまで採用活動で関わりの少なかった支援センターや養護学校等との連携を強化したいと考えている。

執筆者 ： 株式会社高山グリーンホテル  総務部総務部長  日下部  一男