創ろう、障害者と共に生きる企業、地域、社会
～ペットボトルを障害者と共にリサイクルしています～
- 事業所名
- クリーンスペース株式会社
- 所在地
- 京都府京都市
- 事業内容
- 産業廃棄物収集運搬業、ペットボトル再資源化処理
- 従業員数
- 19名
- うち障害者数
- 11名
障害 人数 従事業務 視覚障害 0 聴覚障害 0 肢体不自由 0 内部障害 0 知的障害 7 選別・圧縮・機械管理・作業補助・清掃 精神障害 4 選別・機械管理・作業補助・清掃 - 目次
1. 事業所の概要
平成16年4月、クリーンスペース株式会社を設立、同年8月に産業廃棄物収集運搬業許可証を収得し、『未来に残そう－すばらしい地球環境を』を基本理念として環境負荷の低減に努力する。
酸・アルカリ・汚泥・廃油等の有害物質や化学薬品の処理を得意とする業者として、京都府の他、京都市、滋賀県、大阪府、大阪市、高槻市、東大阪市、姫路市、奈良市、三重県、北九州市、大分市などの産業廃棄物収集運搬業を営む。有資格者が多数在籍しあらゆる廃棄物に対応でき、同業者及び化学薬品卸、製造業者等からの信頼を得る。
平成18年12月より工場1階をペットボトルの再資源化処理施設として新たにペットボトル部門を設立し、ペットボトルを知的障害者・精神障害者と共にリサイクルしている。
平成20年6月17日には古紙・金属くず及び空き瓶の廃棄物再生事業者の登録を受けた。
2. 障害者雇用の経緯と現状
（1）経緯
当社は障害者授産所及び福祉施設へレントゲンフィルム(有価物)の梱包作業等を障害者の作業として依頼していた。
平成18年2月に知的障害者1名を軽作業職として雇用したことが最初であるが、産業廃棄物収集運搬業を主としている当社では障害者の業務範囲は少なく、誰でも出来て・危険でなく・納期に迫られず・伸び伸びと出来る仕事を模索していたそのような時、以前より当社が参考としている共働学舎（授産所）の田中公明氏のご指導を頂き、平成18年12月より障害者10名を雇用してペットボトルのリサイクルを創めた。
障害者雇用については授産所や養護学校などに声掛けをしていたので受入れの苦労はほとんどなかった。
（2）障害者雇用の状況
現在の雇用障害者は11名（知的障害者7名（うち、重度4名）、精神障害者4名）は全員男性で、ペットボトル部門として工場の主な戦力となっている。
本人の個人的事情により退職した障害者は2名いるが、現在の11名はまとまりがあり、毎日、勤務時間の1時間前から出社し、和気あいあいと楽しんで仕事をしてもらっている。
①Aさん（知的障害）＜勤続2年＞ペットボトルの荷受係・清掃
②Bさん（知的障害）＜勤続2年＞ペットボトルの手選別（第一手選別業務）
③Cさん（知的障害）＜勤続2年＞ペットボトルの圧縮梱包及びラベル剥し機への投入を行う
④Dさん（精神障害）＜勤続2年9ヶ月＞ペットボトルの手選別（第一・第二手選別業務）・清掃
⑤Eさん（精神障害）＜勤続2年＞ペットボトルの手選別（第一・第二手選別業務）・清掃
⑥Fさん（知的障害）＜勤続2年＞ペットボトルの手選別（第一・第二手選別業務）・清掃
⑦Gさん（知的障害）＜勤続2年＞ペットボトルの手選別（第一・第二手選別業務）・機械点検の補助
⑧Hさん（知的障害）＜勤続2年＞ペットボトルの手選別（第二手選別業務）異物選別装置確認
⑨Iさん（精神障害）＜勤続5ヵ月＞ペットボトルの手選別（第二手選別業務）異物選別装置確認
⑩Jさん（精神障害）＜勤続5ヶ月＞ペットボトルの手選別（第二手選別業務）異物選別装置確認
⑪Kさん（知的障害）＜勤続5ヵ月＞ペットボトルの手選別（第二手選別業務）異物選別装置確認
3. 取り組みの内容
（1）ペットボトルリサイクルプラントの導入
当社のペットボトルリサイクルプラントは障害を克服する機能を備えた設備である。この設備は健常者と障害者が協力しながら作業が行える仕組みになっており、電源の切換え等、通常の装置とは異なり障害者でも出来るよう改善されている。
ラベル剥し機や湿式粉砕機を始め、比重選別・異種別選別装置など人的困難な作業は、特殊な装置を導入している。
このペットボトルリサイクルプラントにより、従業員は健常者より障害者が多数占めるが、高品質で高い純度のペット原料の生産を行っている。
（2）障害者授産所や共同作業所との輪
京都府内の20の障害者施設と提携しペットボトル収集作業やレントゲンフィルムの整理作業を行って頂いている。
（3）障害者雇用助成金の活用
ペットボトルリサイクルプラントの導入にあたっては、作業施設設置等助成金を活用し、障害者の技術的・肉体的な負担を軽減した。
その他、通勤用送迎バスの購入、職業コンサルタントの配置、業務遂行援助者配置、等々の助成金を活用した。
（4）障害者の仲間との共生に対する考え
“障害があるということは生産性を第一義に考える資本主義社会にとって「働き難い」ということであり、その「障害がある人」が「役に立たないもの」を再度「役に立つもの」に変えていくということは大変意義のあることだ。”とは、実際に障害を持ちながら作業を行っている作業者の言葉である。
この言葉は、私たちクリーンスペース株式会社の座右の銘であり、作業に取り組む上での原点である。
ペットボトルは、私たちの生活に大変身近であり、身近なものを身近な形で再利用していくということは、知的障害、精神障害を持つ人たちにも、わかりやすく、取組やすい作業である。
私たちは、このペットボトルの再利用という作業を、これからも楽しく続けていきたいと願っている。
4. 最後に（障害者雇用に想うこと）
平成18年2月より知的障害者（10月頃に精神障害者であることが分かった）の男性1名を軽作業職として、同年4月よりアスペルガー症候群の女性 1名を事務職として雇用した。二人のコミュニケーションはあったが、女性はよく休まれるのと、当社も初めてなので彼女に仕事を合わせてあげられなかった事もあり、残念ながら、秋には退職された。一人になった男性は萎縮して仕事をしている様でもあった。
同年12月よりペットボトルのリサイクルを始め、雇用障害者は10名となった。10名の仲間がいると皆が仲間意識をもって互いの欠点を補うようになったり、楽しい職場になり、誰も萎縮する人がいなくなった。
ある精神障害者は、「私はここで採用されるまでに20数件の会社へ面接に行き全て断られました。ここで採用され感謝しています。一生懸命働きますので宜しくお願いします。」と言ってくれた。
当社にとって非常に有難い言葉であったし、他の会社でもこの様な事を言ってくれる社員は少ないのではなかろうか。仲間としてこんな社員がいてくれることが当社の誉れである。
私共は、工場を新設して現在の11名の仲間が25名以上になることを目標とし、障害者の仲間と共に楽しくペットボトルのリサイクルを行っていきたいと思う。
《創ろう、障害者と共に生きる企業、地域、社会》を目指したい。
執筆者 ： クリーンスペース株式会社ペットボトルリサイクル部総務部長 中川 邦彦
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